再現性が高いパターのストロークを実現するためのには、適切な形のアドレスが必要です。
ストロークの技術が高くても、アドレスの形が適切でなければ打ち方の再現性は高くならず、良い結果は望めません。
ここではパターの基本的な打ち方について、アドレスの形から掘り下げ解説します。
パターの形状による打ち方の違い
まず始めに、パターヘッドの形状によりストロークの際、それぞれの軌道に違いが出ます。
古典的なL型やピン型のパターは、重心がシャフト軸線上にないヘッドの構造上、少しだけフェース開閉を伴う緩やかな円軌道を描きます。
これは通常のショットと共通の動きであるため、距離感が出しやすいという特徴があります。
またフェースバランスのマレット型やツーボール型は、直線的に動きやすく、高い方向性が特徴です。
簡単ですが、それぞれの長所が見えてきました。
では、それぞれに適した打ち方とアドレスの基本とはどのようなものなのかについて、解説します。
パッティングの基本的なボール位置
パターヘッドの軌道が変わっても、インパクト付近の動きには大きな差がなく、ボールの前後10cmはほぼ直線と考えて良いでしょう。
目標に向け正確に打ち出すために、この前後10cmはとても大切で、この部分が狂わなければミスパットは激減します。
これを可能にする一つ目の要素が、アドレス時のボールの位置、両目からの距離が均等になるよう目の真下にセットすることです。
確認方法は、アドレスし、指先でつまんだボールを目元に合わせ、手を離し落ちた場所が目の真下となる方法です。
二つ目の要素が、両目の瞳を結ぶライン、これをパッティングラインに揃えます。
このラインが狂うと、理想的なストロークをしても正確なラインにボールを乗せることができません。
とても大切なポイントですので、必ず取り入れてください。
これの確認は、シャフトを両目に揃えれば簡単に確認できます。
フックラインもスライスも、上りも下りも、打ち方は少し変化しますが、ボール位置の基本はこれで問題ありません。
次は、ボール位置に合わせた、適切なアドレスについてです。
基本に沿った打ち方を支えるアドレス
ボールと目の位置関係を崩さずに安定したストロークを実現するためのアドレスを考えていきましょう。
パッティングアドレスで最も重視するべき点は、安定した下半身です。
これはゴルフスイング全般に言えることで、フルショットを必要としないパッティングの場合無視されがちですが、非常に重要な部分であり、安定したストロークの要です。
具体例として、両足の間隔は肩幅程度、膝を外側に開きながら軽く曲げます。
腰と背中のラインは直線、反り腰にならないよう注意してください。
外圧がかかってもふらつかない安定した下半身のコツは、腹圧を高め、軽くひらいた膝頭を外に向けたまま、内側に絞り込むことです。
感覚としては、両足の間にはさんだゴムボールを潰すイメージです。
前傾角度は、ボールの真上に両目が位置し、腕とシャフトが直線になり、安定した下半身を維持できる角度です。
ここで重要なポイントは「肘から先の腕とパターのシャフトは直線になる」ということ。
少しわかりにくいですが、鏡などで確認し身につけてください。
本当に重要だからです。
このアドレスを身に付ければ、パットの基本的な打ち方が身につきます。
安定した再現性の高いパターの打ち方
安定した下半身と適切な目の位置、前傾角度、腕とシャフトの関係全てが整っていることを前提で話を進めます。
「L型」「ピン型」「マレット型」は緩やかな円軌道、直線的な動きと違いはあります。
しかし全てに共通しているパットの打ち方の基本は、「ショルダーストローク」で、タップイン以外は決して手先で打つことはありません。
両肩を結ぶライン、両上腕、肘先の腕が五角形を作る、この五角形の大きさは体格や使用するパターにより変化しますが、基本はこの五角形です。
グリップを握る圧力は、軽く絞ったおしぼりから水がもれない程度に握り、両手のひらはそれぞれの肘に向かい開く方向に軽く力を加えます。
外側に向けて力を加える理由は、小さなテークバックから正確にボールをヒットするためです。
これは試せばわかりますが、インパクトに向け緩むことがなくなります。
装着されているグリップがノンテーパーの太めを使用されている場合、特にこの効果を実感できます。
もちろん、テーパータイプのピストルグリップが装着されていても、右指先の感覚が冴え好結果が望めるでしょう。
ヘッドの動きではなく、グリップエンドの動きに集中し、左右の肩を上下に入れ替えた結果がパットストロークであり、これが基本となります。
肩は回転運動ではなく、上下に動き、胸の向きは正面から変わりません。
この方法であれば再現性が高く、訓練によりソリッドコンタクト(パターとボールの芯が接触)が容易になり、距離感の育成にも効果絶大です。
上り、下りラインでのパットの基本
上りラインへの対応は非常にシンプルで、通常のボール位置を半個右に寄せてセットアップし、いつも通りの打ち方で対応完了です。
半個右に置くことでインパクトが強めになり、いつも通りの距離感で届くことでしょう。
これだけで「上りなので強めに」と思っていても、いざ手が動き始めると打ち切れない、という事態を防ぐ効果があります。
対して下りラインは上りの反対で、半個左に寄せ、いつも通りの打ち方をするだけです。
半個左に置くことでインパクトが弱くなり、距離が合いやすくなります。
下りは打ち過ぎることを警戒し、パットストロークが緩み、ショートしてしまいやすいです。
それを警戒しすぎると、打ち過ぎるという過ち。
こうした経験があると思いますが、いつも通りの距離感で対応できます。
もちろん、微調整は必要です。
経験上ボール1個以上動かすと違和感が出ますが、それ以内なら効果があり、特に下りのしびれる場面では有効な手段です。
ボールの行方が気になりヘッドアップしてしまうと、前傾角度が変わり、ヘッド軌道にずれが生まれ、ミスヒットします。
これは簡単だとも思える1mのパットが難しくなる原因です。
ご自身で試し、しっくりくる位置を探してみてください。
基本のパターセットアップが身についていればなおのこと効果が上がります。
左右に曲がるラインでのパットの打ち方
「スライスは平気だけど、フックが苦手」
「フックは得意だけど、スライスは嫌いで入る気がしない」
数多くのゴルファーがいますが、両方苦手という方は少ないのではないでしょうか。
パットの打ち方を観察していると、あることに気がつき、研究したところ、パターの構造とセットアップに原因があることを発見しました。
グリーン上のボールは、芝の上にありますが、ほんの少しですが芝に埋まっており、パターについているロフトはその埋まっているボールを浮かせるためについています。
このロフトが生むわずかなキャリーがないと、ボールはスムーズに転がらないのですが、このわずか4度程度のロフトが曲がるラインを難しくしています。
傾斜角度が5度のフックラインに対し、パターヘッドのトウが浮いたハンドダウンで構え、そのまま適正なラインにストロークをすると、間違いなく左に抜けます。
その理由は4度のロフトです。
このロフト分だけボールが左へ出てしまうのです。
同じ構え方で同じ傾斜のスライスラインの場合、左めに打ち出されたボールは読みよりも小さな曲がり幅でカップに向かいます。
そしてハンドアップで構えた場合、全く正反対の現象が起こります。
それぞれが難しいと感じるプレイヤーは、ぜひチェックしてください。
パターの打ち方の基本として「ヘッドは必ず水平に構える」が重要です。
安定した下半身はゴルフの要
「気にしたこともなかった」
「知っていたけれど、やったことなかった」
「え、そうなの」
いろいろなご意見があると思いますが、特別な技術を要するものではありません。
この文章の中から全てを理解するのはとても難しいと思いますが、安定した下半身はゴルフに不可欠な要素、静かな動きのパッティングにもとても大切なものです。
ご自宅の敷居の上にボールをイメージし、前後10cmを意識した素振りをするだけで効果があります。
ぜひご自身のプレーに取り入れてみてください。