ドライバーを引いて手首が折れるのは捻転不足が原因なのか

ドライバーをかっ飛ばそうとテークバックしたところ、トップで左手首が甲側に折れることがあります。

これは、いわゆるオーバースイングで、ダウンスイングではヘッドの遅れに繋がり、正しいインパクトができなくなります。

そこで今回は、その悩みの種となる手首が折れる原因と対策法を紹介します。

ドライバーのテークバックで左手首が折れる理由

ドライバーショットがスライスする原因の1つに、左手首が甲側に折れている場合があります。

左手首が折れるこの状態が理解できたとしても、矯正するのは意外に難しいものです。

アドレスの姿勢からテークバックを開始して、グリップをトップの位置まで引き上げる時間はスロー系で3秒程度、クイック系なら0.3秒程度です。

テークバックをスロー系にしているのは、いくつかのチェックポイントで正しい動作をしているかを確かめていることが考えられます。

本当に正しいフォームなのかは別としても、完成形をイメージしてグリップを引き上げていることでしょう。

一方でクイック系のテークバックは、グリップをトップの位置に引き上げることのみを目的にしているため、「捻転」を理解していないと考えられます。

アドレスの時点で、頭の中はダウンスイングがイメージされているため、振り下ろす速さと同じスピードで振り上げてしまいます。

速いスピードで振り上げたグリップがトップの位置で急にストップするため、クラブの加重が増して左手首が甲側に折れてしまう要因となります。

ゆっくり引けば手首が折れることはない?

先ほど触れたように、トップの位置で左手首が甲側に折れるのは、テークバックのスピードが速すぎることが原因なので、スピードを抑えてスロー系にすれば解決できるはずです。

ただ実際には、この速いリズムでなければテークバックができなくなっているゴルファーも多いようです。

ドライバーをゆっくり引こうとしても、ヘッドをセットしたらビュンと音が出るような引きでテークバックをしてしまうのです。

そうした身体の中に入ってしまったリズムを変えるためには、新しいスイングスタイルを覚えたほうが簡単です。

テークバックで「捻転」をすることで、クイック系のテークバックは治まり、トップの位置で手首が折れる心配もなくなります。

捻転は身体をねじり回転させることですが、それは表面的に現れたものであって、身体の内部では違う動きをしています。

身体の中では背中の大きな骨である肩甲骨を広げたり狭めたりしているのです。

左肩甲骨を外側に移動させると左肩は右回転を始めます。

そして右肩甲骨は背骨側に移動させると、右肩も同じく右回転を始めます。

この動作をしていないから、クイック系のテークバックになっているのです。

ドライバーを引いて左手首が折れるのを防ぐ右手首の折れ具合

テークバックで左肩甲骨を外側に移動させ、ダウンスイングでは広げた肩甲骨を背骨側に移動させます。

この動作ができれば、背骨を軸とした回転ができるようになり、さらに捻転によるパワーをダウンスイングに活かすことができるのです。

肩甲骨を移動させる捻転のテークバックをすれば、トップの位置まで振り上げるような動作はなくなるはずです。

ドライバーのグリップの動きがストップすることで、手首が折れることは防ぐことができるわけです。

ただ手首が折れるトップの形を身体が覚えてしまったので、テークバックのスピードを遅くしても、左手首が甲側に折れる可能性があります。

この場合は、右手の「ヒンジ」を意識してトップの形を作ると、左手首の折れを解消することができます。

右手首が甲側に折れることをヒンジと言いますが、これはドアを開閉する蝶番(ちょうつがい)の英語(hinge)読みを使ったものです。

ヒンジの表面は180度開きますが、裏面は90度で止まるようになっています。

トップの位置での右手首の形を、この90度の角度に見立ててヒンジと呼ぶわけです。

トップで右手首のヒンジが作られていれば、相対する左手首が甲側に折れることはありません。

テークバックで手首が折れるのを防ぐ右肘の先

ドライバーをトップの位置まで引き上げたとき、右手首が折れてヒンジができていたら、左手首が甲側に折れることはありません。

右手首が甲側に折れているとき、右肘は地面を指しているはずです。

このとき肘から先は真っ直ぐに伸びて、ドライバーの全重量を支えていて、左手は上から押さえている形になっているでしょう。

トップの位置で右脇が開いて右肘が浮いてしまうと、ヒンジが作られることはなく、左手首が甲側に折れてしまうことになります。

つまり左手首が甲側に折れるときの修正ポイントは、ヒンジを作ること以上に右肘を浮かせないことなのです。

浮かせないようにするためには、右肘が地面を指していることをチェックする必要がありますが、仮に左手首が折れているようなら、右肩の位置に問題があるのかもしれません。

説明したように捻転するテークバックは左肩甲骨を外側に移動すること、そして右肩甲骨を背骨側に移動することです。

テークバックのスピードを抑えたことで、左肩甲骨の働きは確認できたはずですが、右肩甲骨の動きは分かり難いものなのです。

手首が折れるのはドライバーを引く右肩甲骨に原因がある?

ドライバーを握ってトップの位置までグリップを引き上げたとき、右肘が浮いていて左手首が甲側に折れるとしたら、右肩甲骨が動いていないからかもしれません。

アドレスで両肩は飛球線に対して平行な状態です。

捻転するテークバックによって左肩は右回転するわけですが、このとき対角線上にある右肩は同時に右回転しなければなりません。

つまり飛球線に対して左肩が90度回転したのであれば、右肩も90度回転してアドレスのときの背中側になければならないということです。

ところが右肩はアドレスのときとほぼ同じ位置に留まり、右側に動いていないかもしれません。

背骨を中心に左サイドを内側に折れ、右サイドはそのままの状態になっているのです。

開いた本が閉じるように、身体が中心から折れる状態あれば、捻転しているとはいえません。

テークバックでグリップが右サイドに近くなると、右脇を開いて肘を浮かせることで、肩甲骨を背骨側に移動させてしまいます。

このとき右手首が伸びてしまうため、反対側の左手首が甲側に折れてしまうのです。

短くドライバーを握ると左手首が甲側に折れることはない

右肘が地面を指すようにするためには、右肩甲骨を背骨側に移動させるテークバックが必要になります。

ゆったりしたリズムでテークバックすることでドライバーの加重から手首が折れることはなくなり、しかもトップの位置では左手首のコックと右手首のヒンジを意識して正しい形が作れます。

これで手首が折れる心配はありませんが、もしも「クセ」が抜け切れずに不安があるようでしたら、グリップエンドを余らせ短く握ってみてください。

さらにドライバーのテークバックでヘッドの加重が軽くなり、オーバースイングが抑えられるはずです。

それでも手首が折れてしまう場合は、グローブの甲側に定規を差して、強制的に左手首を甲側に折れないようにする方法をとりましょう。

もちろん練習のみの矯正の仕方なので、ラウンド中に行うとルール違反になってしまいます。

ただ手首を固めることを重視するよりも、軸を中心に回転する肩甲骨を使うテークバックができれば、手首が折れることはなくなります。

ドライバーを引いて左手首が折れるのは捻転ができないから!

ドライバーをトップの位置まで引き上げたとき、左手首が甲側に折れるのは引きのリズムの速さにあるようにみえますが、根本は肩甲骨を使う捻転ができていないからです。

回転軸である背骨を中心にした捻転をし、トップで右肘の先が地面を指せば、左手が甲側に折れることはありません。