ドライバースイングの中で、「右手で押し込む」というインパクトの仕方があります。
以前は右手を使うと球筋が安定しないと言われていましたが、ドライバーそのものの性能が高まった現在は、右手を使うことで球筋が安定し飛距離もアップすると言われています。
そこで今回は右手を押し込むインパクトについて考えます。
ドライバーを右手で押し込むスイングが今の流行り?
ゴルフのスイング理論は日々進化していて、気がつくとまったく違うスイングスタイルが主流になっていることがあります。
昔は左肘をピンと伸ばしてグリップを高く掲げるトップの形、まさに振り下ろすようなダウンスイングを、トッププロから今日始めたアマまで行なっていましたが、今ではそのスイングスタイルを見かけることはなくなっています。
現在は体の軸を中心とした円のスイングを主体に、トッププロたちが毎年新しいフォームを披露してくれています。
日々進化を遂げるスイングは、効率の良いフォームを目指して作り上げられてきたということです。
そのひとつにドライバーを右手で押し込むスイングがあります。
ゴルフでは「押し込む」と使っていますが、正しくは「押し付ける」といったほうが良いかもしれません。
押し込むとは、狭いところに無理矢理入れることの意味ですから、スイング中に右手を押し込む状態はないはずです。
力を入れてギュッと押すという意味の「押し付ける」であれば、インパクトの瞬間がまさにそれとイメージしやすいでしょう。
ドライバーにパワーを与える右手で押し込むように打つ
ドライバーのスイングで、インパクトのときに右手を押し込むと飛距離がアップします。
グリップは両手で握るものですが、左手には左手の役割があり、右手にも同じように役割があります。
一般的には左手は方向性をコントロールするため、スイングは左手主導が良いと言われています。
ただ左手でも飛距離を伸ばすためにインパクトの直前でコックをリリースしてヘッドスピードを上げていますから、一概に方向性だけが左手の仕事ではありません。
右手の場合は、一般的にパワーをコントロールすると言われています。
右手の使い過ぎがフックの原因になると言われていますが、実際にはゴルファーの7割がスライスに悩みを抱えているのですから、右手を使っても問題はないはずです。
ただ両手にかかる役目のバランスが崩れるとスイングが歪み、ミスショットの原因となります。
そこでインパクトの直前に右手を押し込むようにすると、パワーを伝えることはあってもスイングのバランスを心配はなくなります。
ドライバーを握る右手を落として押し込むようにインパクト
具体的にドライバーのスイングで、右手を押し込むという動作を確認してみましょう。
まずトップの位置からダウンスイングをして、インパクトで「左手甲で払い打つ」イメージをとるのが普通のスイングのイメージです。
一般的にはこの左手甲で打つイメージを左手主導と言いますが、ここに右手で押し込むとさらに強いインパクトになると考えたわけです。
右手を押す込むといっても、スイングは円の軌道を描いていますから、押したことでフェースの角度が変わるかもしれません。
そのため安易に押し込むのではなく、イメージを持って効果的にパワーを伝えなくてはいけません。
そのためには、テークバックで右足に体重が乗り、ダウンスイングでその体重が左足に移動するスイングを理解する必要があります。
ドライバーは円の軌道でスイングをしますが、トップの位置からのダウンスイングでグリップが円の軌道になるイメージはないはずです。
実際のダウンスイングでのグリップは、上から下にストンと落とします。
体重移動をして右手を押し込むドライバーショットで飛ばす!
ドライバーのティーショットで右手を押し込むインパクトをするためには、体重移動のイメージをしっかりと理解する必要があります。
テークバックで十分に捻転をすると、腰が回転するので右股関節の上に体重が乗ります。
この捻転を開放すると体はコマのように左回転をしますが、グリップを持つ手を脱力してストンと落とすと、体の左回転に合わせて右腿の前に来ることが分かります。
グリップエンドを先頭に右腿の前まで落ちてきたら、一気に方向転換をしてグリップエンドがベルトのバックルを指すようにしてみましょう。
これが左手首のコックのリリースです。
まだ体重は右足の上にありますが、このあと右手で押し込むと同時に、左足に向けて移動します。
すでにヘッドは飛球線上に下りてきていますが、右手を押し込むことでターゲットに向けて進むことになります。
これがインパクトゾーンにおける加速するヘッドスピードです。
加速するのですからもはや飛ぶに決まっているわけですが、同時にフェースの向きを安定するため、飛んで曲がらないドライバーショットが期待できます。
ドライバーのスイングで右手を押し込むことのリスクを知ろう
ドライバーのダウンスイングでは、インパクトのときに右手で押し込むと飛距離アップは期待できますが、一方でリスクを伴うことも知っておきましょう。
テークバックで十分な捻転をしているからこそ、トップからグリップを落とすようにダウンスイングをしても右腿の前に向かってくるわけです。
もしも捻転が不十分であれば、トップで捻転を開放しても右腿の前にグリップは落ちてきません。
この場合は両肩が飛球線とほぼ平行な状態になっているので、体の中心に下りてくるでしょう。
そのため体の中心から右手を押し込むと、プッシュする可能性がありますし、スイング動作の連続性からすると、おそらくできないはずです。
結果的にトップの位置から、自分の力で右腿の前に向かって押すことになります。
すると余計な動作が加わったことで、右手で押し込むタイミングが遅れて効果的なインパクトができない可能性が高まります。
つまり形はできても、飛ばないということです。
ドライバーを右手で押し込むという本当の意味はこれ!
ドライバーを右手で押し込むというのは、スイングの最下点からインパクトまで、右手の手のひらでグリップをターゲット側に押すというイメージです
机の上に箱を置き、左側に向けて右手で押すと箱は移動します。
しかし箱が重たくて簡単に動かなければ、体のほうが右側に傾くはずです。
ゴルフスイングで右手を押し込むことの本当の意味は、この状態を作ることです。
単にグリップを押してパワーを与えるのではなく、体を右に傾けてトップの位置に頭を残すことで右手を押し込むのです。
これはビハンドザボールというスイングで、プロゴルファーの多くが取り入れている飛距離アップ法です。
習得するまでに相当な練習量が必要で、もちろん時間がかかりますが、途中で止めるとスイングがグチャグチャになるので、1度始めたら最後までやり通すことが大切です。
完成すれば正確なインパクトと、強力なパワーを与えるスイングができるようになるでしょう。
インパクトで右手を押し込むふたつの効用
ドライバーのスイングで、右手で押し込むようにインパクトすると、フェースの向きが安定して方向性が良くなります。
また右手の持つパワーを活かすことで、飛距離アップが期待できます。
究極はビハンドザボールのスイングですが、それには相当な練習量が必要ですから、それ相応の覚悟を持ってひたすら練習を続けましょう。