ゴルフ練習では打たないのにやさしいと感じる3Wの謎を探る

ゴルフ場のファーストショットで、ドライバーに不安があるときは、それよりやさしいクラブの3Wに持ち替えることがあります。

ところで、なぜドライバーは難しく、3Wはやさしいと感じるのでしょうか。

今回はドライバーと比較しながら、3Wの特性を確認していきます。

ゴルフ場でドライバーより3Wがやさしいと感じる理由

ゴルフ練習場でもっとも練習をするクラブは、ドライバーだと言われています。

初心者のころはスイングフォームを固めるために、7番アイアンや5番アイアンを使って打ち込みをしていたと思いますが、コースデビューするころにはドライバーが主流になっているようです。

そうした理由から数多く打っているはずなのに、球筋が安定せずコースの中でもっとも不安なクラブがドライバーというのは、アマチュアゴルファーに限ったことではありません。

世界のトッププロでも飛距離を捨てて、フェアウェイのセンターを狙うことは良くあることです。

そんな場面で使うのが3W(スプーン)です。

3Wの持っているイメージが「やさしいクラブ」であることは、プロ・アマを問わず共通認識のようです。

まずアマチュアの場合には、ドライバーに比べて全長が短いことが理由のひとつのようです。

短いクラブのほうがヘッドコントロールをしやすく、確実にミートができると考えたのかもしれません。

ただプロゴルファーの場合は、指の太さ3本程度の長さの違いで、コントロールができないということはないはずです。

一流プロが選択する3Wはやさしいゴルフをするためではない

プロゴルファーがドライバーを止めて3Wを選ぶ理由は、ロフト角にあると考えられます。

3Wを良く使うタイガー・ウッズのドライバーは、ロフト角が9.5度で3Wは13度と、アマチュアでも使えるようなタイプです。

「往年の名選手」と言われるようになってきましたが、いまもドライバーの飛距離は300ヤードを超えてきます。

初速は80m/sを超え、スピン量は2300回転前後をキープし、全盛期と遜色のない数値をたたき出しています。

それでも3Wを使うのは、ロフト角が関係していると考えられます。

タイガーのドライバーショットの打ち出し角は13度です。

ドライバーのロフト角が9.5度で、ティーアップしたボールを4度のアッパーブローでインパクトすることで、適正の13度で飛球させています。

ただ初速80をマークするタイガーのスイングスピードは、重心がわずかに左に寄っただけで13度を下回ってしまいます。

そんなリスクを回避するためには、最初から13度の打ち出し角のある3Wで、やさしいレベルブローのゴルフスイングを選択したのだと思われます。

ゴルフのトッププロがやさしい3Wを使う理由

技量のあるプロゴルファーが3Wを選択するには、ヘッドの形状も関係しているようです。

日本人の血が流れているリッキー・ファウラーのドライバーは、重心深度の深いタイプを使っているので、一般的には曲がらないドライバーだと言えます。

曲がらないのだから、そのまま打てば良いはずですが、あえて3Wを選択するのはドライバーよりもヘッドが小さいため重心深度が浅いことに理由があると思われます。

ドライバーも3Wも同じシリーズのものを使っていますが、ドライバーだけフェースから奥行きのある長い形状です。

曲がらない変わりに、ドローやフェードを打つことが難しくなっています。

対して3Wはドライバーに比べると重心深度が浅く、球離れが良いクラブです。

そのため球筋をコントロールできることから、横風やコースレイアウトによっては、ドローやフェードで打ち分けられる3Wを選択しています。

こうした理由からやさしいクラブだから使っているわけではなさそうです。

つまりプロならではの難易度の高いショットが使えるというのが、3Wを選ぶ理由ということになります。

3Wがやさしいゴルフクラブと感じる理由

プロゴルファーがティーショットで3Wを使うのは守りのためではなく、理想とする打ち出し角であったり球筋の打ち分けであったりと、攻めのゴルフのために使っていると考えられます。

対してアマチュアゴルファーが3Wに持ち替えるのは、ドライバーよりもやさしいゴルフクラブと考え、安定性を求めているからでしょう。

長いドライバーよりも短い3Wのほうが確実にミートできるというのが圧倒的な考え方のようです。

実際に持ち替えて打ってみて、ドライバーと比較すると曲がらないことが実感できるはずです。

それではなぜ3Wは曲がらないのでしょう?

理由はドライバーに比べて、ヘッドが小さいからです。

そもそもアイアンと違って、ドライバーや3Wのフェース面はバルジやロールという膨らみのあるトツ型になっています。

そのおかげでインパクトで多少フェースが開いても、湾曲しているフェースのお陰でターゲットに向けて打ち出すことができます。

特にヘッドの上下の幅が狭いため、3Wはドライバーと比べて曲がらないクラブになっています。

上下の幅が薄いヘッド形状をシャローへッドと言いますが、まさにヘッドの小さい3Wは、シャローへッドの曲がらない球筋を打ち出せるクラブと感じているのです。

3Wは短いからやさしいゴルフクラブなわけではない?

3Wがやさしいゴルフクラブと感じることで、安心感が生まれてきます。

一生懸命練習しているドライバーよりも、普段は練習場で打つこともない3Wのほうが、頼りがいがあると思い込んでいることが良いのかもしれません。

飛距離を意識してしかも苦手意識のあるなか、アドレスに入ると力んでしまうのは仕方のないことです。

ドライバーの苦手意識は、球筋をコントロールできないことにありますが、わずか数センチ長いシャフトにしていることが、いつまでも払拭できない原因となっています。

一般的なドライバーの長さは45インチ程度です。

一方で3Wの長さは43インチ程度ですから、その差は2インチしかありません。

つまりグリップエンドを5センチあけて握れば、43インチのクラブと同じ長さで使えることになります。

クラブの長さが原因でないことは、ドライバーを短く握れば分かることです。

3Wの球筋が荒れないのは、ヘッドの形状が簡単にボールをとらえられるシャローであることと、ロフト角が一般ゴルファーの理想とする14度前後であることの2つが大きな要因なのです。

やさしいと感じる3Wで攻めのゴルフを楽しもう!

アマチュアにとってティーショットで3Wを使用するのは、気が引けると考える向きがあるようです。

やさしいクラブを選択することが攻めるゴルフではないと思い込んでいるのは、ドライバーに対するプレッシャーがあるからです。

一流プロに習って攻めのゴルフのために3Wを活用すれば、コンプレックスはなくなるはずです。

ちなみにアマチュアゴルファーのドライバーの平均飛距離は230ヤード程度で、3Wは210ヤードといったところです。

400ヤードのミドルホールで、残り170ヤードと190ヤードは大きな違いがあります。

前者は5番アイアン、後者は5番ウッドの距離になるかもしれません。

精度から考えるとアイアンの方が安定感はありますが、その選択は過去のものであって、現在ならユーティリティの4Uを使うはずです。

ラフに入ったとしてもヘッドを振り抜くことができるクラブがあるのですから、あえて飛距離を抑える3Wでティーショットを選択するのはありです。

もともとゴルフは距離を競うスポーツではありません。

「乗ってナンボ、入ってナンボ」と言われる結果主義のスポーツなので、やさしいと感じるのであれば、堂々と3Wを使ってベストスコアを目指すべきではないでしょうか。

やさしい3Wを選択するのは長さが決め手ではない

ティーショットでゴルフクラブを選択するとき、ドライバーの苦手意識からやさしいと感じる3Wに持ち替えることがありますが、単純に長さの比較だけで選択しているのであれば、それは間違っているかもしれません。

3Wのヘッド形状とロフト角がコントロールしやすくしていることを改めて理解し、積極的に使っていきましょう。