アイアンは同じ番手でもボール位置を変えると球筋も変わる

アイアンは番手によって距離が違うだけではなく、飛距離を狙うロングアイアンとグリーンを狙うミドルアイアン、そしてスピンを効かせて止めるショートアイアンと、それぞれに役割があります。

その球筋を変えるためには、ボール位置を変える必要があります。

今回はアイアンショットにおけるボール位置について説明していきます。

アイアンのボール位置は番手によって変える必要があるの?

アイアンのボール位置は番手によって変える場合と、番手を変えても同じ位置にする場合があります。

一般的には番手によってボールの位置を変えます。

番手によってシャフトの長さが違うため、ボールの位置を変えることで正しいインパクトができると考えられています。

この考え方は半世紀以上前に、『モダンゴルフ』という本の中で紹介されたものです。

グリップの握り方や構え方、ボールの位置などが図解で示されているため、これからゴルフをはじめる人にとっても分かりやすい書物です。

またこの書物に記載されている内容は、PGA(日本プロゴルフ協会)教本などにも取り入れられていて、時代が経過していても普遍の価値がある代物だと言えます。

そのモダンゴルフによると、ボールの位置は7番アイアンを基準にします。

7番アイアンを構えたときにボールはスタンスの中央に置き、番手が変わるごとにボールを半個ずつ移動します。

8番アイアンならボール半個右側、9番アイアンなら1個分右側に置くといった感じです。

アイアンのボール位置は番手ごとに変えると紹介した一冊の本

先ほど紹介した『モダンゴルフ』は、バイブルと称されるゴルフ教本です。

それまで各人の経験値によって決められていたものを、すべてのゴルファーに当てはまるように書かれたのがモダンゴルフです。

ボール位置以外にも、我々がスイング軌道で良く使う「スイングプレーン」の概念も、この教本の中で初めて紹介されています。

ただゴルフの道具は、モダンゴルフが出版されてからすでに50年が経ち、半世紀の間にアイアンは進歩し、当時のものと比べると格段の進歩を遂げています。

さらにコースレイアウトの難易度も、モダンゴルフの初版のころとは違い、コースの距離を伸ばし池やバンカーの配置を増やして、ピンポイントに狙うアイアンショットが求められるようになってきています。

そうなると番手にボールの位置を合わせる基本とは別に、実際のコースではフェースを開いたショットや、ヘッドを鋭角的に打ち込むダウンブローなど、基本のボールの位置とは違う打ち方が必要になってきたのです。

アイアンの番手に関係なくボール位置の位置を右にする状況

アイアンの基本のスイング軌道は、インサイドインでレベルブローのスイングです。

この基本の打ち方であれば、7番アイアンを基準にして、番手に合わせてボール位置を変えることになります。

ところがフェアウェイにあるはずのボールが、ターフを削り取ったディボットにはまっているとしたら、レベルブローのスイングでは打ち出すことができません。

このような状況では、ダウンブローでヘッドを打ち込むのが定石です。

ダウンブローの場合には、ボールの位置をいつもよりも右側でセットします。

基本的には普段通りにスイングをすると、スイングの最下点でボールをとらえるとレベルブロー、スイングの最下点の手前でボールをとらえるとダウンブローになります。

ただボールが地面に沈んでいる状態ですから、ヘッドを押し込む必要があります。

気持ちだけ右肘を伸ばして、長めにフォロースルーを取ります。

これだけで、ボールよりも左側のターフが削れて、沈んでいるボールごと打ち出すことができます。

アイアンの番手によってボール位置を変えるときの注意点

グリーンに近づいてきて止まるアイアンショットを打ちたい場合は、フェースを開いて打ち出す角度を上げ、スピン量を増やす打ち方が必要です。

フェースを開いて打つときは、まず左足を下げるオープンスタンスにして、ボール位置をいつもより左側にします。

使用する番手によってボールの位置は異なりますが、ボールを上げようとすると体重が右足に残ってトップの原因となるので注意が必要です。

オープンスタンスで、しかもフェースを開いているとなると、手首を固定してスイングをしているはずです。

そうするとスイング軌道はアウトサイドインになり、いわゆるカット打ちでボールをとらえることになります。

ただこの打ち方だとスライスの心配をするのではないでしょうか。

アドレスで仮想のターゲットを左方向に定めて、打ち出したボールの曲がりによって、ターゲットへと運ぶように思えますが、フェースは開いていることでターゲットに向けて飛び出すため大丈夫です。

斜面でのアイアンショットは番手とボール位置の把握が大事

アドレスでアイアンのフェースが開いていると、リーディングエッジはターゲットよりも右側を向いています。

この状態でオープンスタンスを取ると、リーディングエッジはターゲットのほうを向くはずです。

そのままアウトサイドインのスイングをすれば、不思議なことにボールはターゲットに向けて飛び出し、しかも高弾道でバックスピンがかかっているはずです。

ただ番手によっては左側に打ち出すこともあるので、日ごろの練習で打ち出す方向性を確認しておくことをおすすめします。

レベルブローとダウンブロー、それにフェースを開くアイアンショットができれば、アイアンの攻め方の幅は広がること間違いなしです。

ただし、これらの打ち方は多少のアンジュレーションがあったとしても、フラットな状態を想定していますが、完全な斜面のときには姿勢やボール位置、もちろんスイングの仕方も違っていきます。

左右の傾斜は地面なりに立ち、前後の傾斜は重力なりに立ちます。

コース内で常に想定できる場面なので、当然ボールの位置を理解しておく必要があります。

アイアンは同じ番手でもボール位置を変えて練習しよう!

アイアンは番手によって、その役割が少しだけ違うときがあります。

フェアウェイの真ん中であればスイングの最下点をボール位置として、レベルブローのスイングに徹しますが、運悪くボールがディボットに入っていればボールの位置を右にして、ダウンブローのスイングで打ち出しましょう。

ただしダウンブローは、ミドルアイアン以下であればヘッドを打ち込めますが、ロングアイアンでターフと抜くようなショットは難しいかもしれません。

もしもスライスが頻繁に出るようであれば、ボール位置を手前に近づけてみてください。

ボールとの間隔を狭めると、スイングが縦振りになって、インパクトでシャットフェースにしやすくスライスを防ぐことができます。

ただしショートアイアンで縦振りを意識すると、フックする可能性が高くなるので、番手とスイング軌道を確認しておく必要があります。

ロブショットのように、フェースを開いて高く打ち上げる場合には、オープンスタンスでボール位置を左側にします。

もちろんショートアイアンからウェッジで打つショットの仕方ですから、使える番手は限定されます。

ひと括りにアイアンといっても、使う目的が少しずつ違いますので、その目的に合わせた使い方ができるように、日ごろからボール位置を変えて打つ練習をしておくと良いでしょう。

同じ番手でボール位置の違いに慣れておこう

アイアンは番手によって距離が違うだけではなく、スイング方法や球筋も変わってきます。

それに伴ってボール位置も変わることから、日ごろの練習ではスイングの最下点をボール位置にするレベルブローだけではなく、右に置くダウンブローや左に置くロブショットなども併せて練習することで、違うボール位置にも慣れておくことをおすすめします。