アイアンの打ち方にダウンブローのスイングがあります。
ヘッドを上から下に向けて振り下ろす軌道で、ボールを潰すように打ち込むスイング方法です。
今回はこうしたダウンブローの本当の打ち方と、強い衝撃による身体のダメージを緩和する打ち方を紹介します。
アイアンをダウンブローのスイング軌道で打つ理由
アイアンを鋭角的に打ち込んで、ボールの先のターフを削り取るようなショットをダウンブロースイングといいます。
ゴルフスイングの軌道には3つあり、1つ目はティーの上にあるボールを打つためのアッパーブロー、2つ目は芝面のボールをクリーンに打つレベルブロー、そして3つ目がディボットにはまったボールに対して鋭角的に打ち込むダウンブローです。
それなりの理由があってダウンブローのショットをするのですが、一般的にはヘッドを振り抜くことができない場面で使われます。
先行組のプレーヤーが抜いたターフの痕にボールがはまったときや、夏枯れのベアグラウンドの上のボールなどは、直接ボールに打ち込むとミスショットが考えられるので、ダウンブローのほうがミスは少なくて済みます。
ただ地面が硬いときにダウンブローで打ち込んでしまうと、手首や肘または肩などにダメージを受ける可能性があります。
そのため、故障を前提としたこの打ち方はすべてのアイアンショットにするのではなく、状況に応じてレベルブローとダウンブローを使い分けることが必要なのです。
ダウンブローの軌道にするとミスになる?
アイアンを上から振り下ろすダウンブローは、ボールを潰すつもりで打ち込むようにします。
ボールの斜め上からフェースを打ち込むわけですが、そのためにはフェース面をある程度は下側に向けておく必要があります。
つまりダウンブローの軌道でインパクトする場合は、アイアンのロフト角に関係なくフェースを設計より立たせた状態でインパクトをする必要があるということです。
ボールの斜め上をインパクトするためには、ボールポジッションは中央よりも右側になくてはいけません。
またフェースを立てるために、グリップをボールよりも左側で構えるハンドファーストにしなくてはいけません。
ただし鋭角的なスイング軌道で、しかもフェースが立っているのですから、インパクトではヒールが先行してスライスもしくはプッシュアウトする可能性が高くなります。
もしもインサイドから振り出せずに、真上から鋭角的に振り降ろしているようであれば、手打ちになっていて、さらにスライスの要因が高まることになるでしょう。
アイアンをダウンブロー軌道にするコツ
アイアンをダウンブローの軌道で鋭角的に打ち込むことで、身体にダメージを受ける可能性は高くなりますので、ケースバイケースで使うスイングであると考えたほうが良さそうです。
さらに打ち出す方向性が安定せずに、プッシュアウトやスライスについても注意が必要になるといえます。
ただ方向性については、アドレスで左手甲とフェース面を合わせておけば、左手甲をボールに打ち込むだけでフェース面の歪みは解消できます。
注意しなければならないのは、アドレスのときのハンドファーストです。
通常のスイングでのハンドファーストは、「インパクトの形」であってもスイングイメージでは、身体の中央でボールをとらえるようにします。
一方でダウンブローでのハンドファーストは、フェースを立てるためのものですから、構えたときと同じように再現しなくてはいけません。
その際ダウンスイングで「コック」を使うと動作が複雑になるので、「ノーコック」にするようにしたほうが良いかもしれません。
レベルブローとダウンブローの軌道は同じと考える
アイアンでダウンブローのスイング軌道を続けると、身体にダメージが残るのは鋭角的なダウンブローだけです。
ボールを斜め上から打ち込む軌道は変わりませんが、身体への負担が少ないダウンブローの打ち方があります。
「あります」というよりも、こちらがスタンダードなダウンブローだと思ってください。
まずレベルブローのスイングをします。
ボールの真下にスイングの最下点を合わせると、フェースはボールの側面をインパクトします。
この正しいレベルブローができていれば、ダウンブローはとても簡単にできます。
次に本来のダウンブローのスイングをします。
それはスイングの最下点をボールよりも左側にセットしレベルブローするだけです。
するとヘッドの軌道はボールをインパクトしたあとでスイングの最下点に到達するはずです。
あとは使用するクラブの番手によって、スイングの最下点の位置を変えれば、無理にハンドファーストでフェースを立てなくても、荒れたライからボールを打つことはできます。
アイアンの膨らみがダウンブローには必要
そもそもアイアンをダウンブローに打ち込む必要があるのは、ライの状態が悪いか、もしくは低い角度で打ち出すしかない場面が考えられます。
これ以外では、ラフの草丈の抵抗を受けて、ヘッドが抜けない場合も考えられるでしょうか。
ラフの芝でヘッドが抜けない場合、レベルブローもダウンブローも同じことですが、打ち込んだままダウンスイングを終わらせることがあるかもしれません。
ただ一般的にはスイングを途中でストップすると、方向性が安定しないのでおすすめできない打ち方です。
このような場面では、仮にピッチングウェッジの距離であってもサンドウェッジを使い、一旦フェアウェイに出して次のショットでグリーンを狙うべきです。
サンドウェッジを使う理由は、短いクラブだからではありません。
バンカー用のサンドウェッジには、ソールの膨らみ、バンス(バウンス)があるからです。
そのバンスによって砂の中に潜り込まずに、エクスプロージョン(爆発)ショットで砂とボールを一緒に打ち出すことができるようになっています。
このバンスをダウンブローの軌道に利用すると、草丈があっても振り抜けるショットが可能になるでしょう。
ダウンブローに打ち込むとV字軌道になる?
先ほど説明したバンスがあればすべてのアイアンをダウンブローで打つことができます。
芝面に打ち込んでも跳ね返されるわけですから、スイングの途中でストップする心配はなくなくなるからです。
一方でバンスがあるということは、芝丈の短いフェアウェイでレベルブローの軌道でインパクトしようとすると、バンスの膨らみでフェースの刃が浮いてしまいトップするかもしれません。
ただダウンブローの場合は、ソールが芝面に接地する前にボールをインパクトしますので、バンスの膨らみは問題ありません。
逆に接地してすぐに跳ね返るとしたら、「V」字のスイングになっているので、方向性と距離感がよくなるはずです。
アイアンに限ってはダウンブローを多用しようとするのであれば、レベルブローのままボールの左に移動させるスイング軌道で、しかもバンスのあるアイアンを選ぶと、ターゲットに向けて容易にボールを運ぶことができるはずです。
ダウンブローの軌道にしてもダメージはない
アイアンをダウンブローのスイングで打ち込むと、荒れたライでもターゲットに向けてボールを運ぶことができるようになります。
ただ上から下へのスイング軌道は、身体のダメージも考えておかなければなりません。
そこでレベルブローのスイングの最下点をずらす簡単ダウンブロー打法なら、ダメージを残こすことなくショットすることができるはずです。