アプローチウェッジより確実なクラブ『チッパー』の打ち方

アプローチでダフリやトップ、もしくはシャンクに悩まされているようなら、確実性の高いクラブを使ってみませんか。

往年の名器といわれた『チッパー』です。

最近になって見直されてきています。

アプローチウェッジよりも確実にグリーンオンができるチッパーについて紹介します。

アプローチ用のクラブであるチッパーとは?

チッパーがアプローチ用クラブとして「往年の名器」といわれたのが、今よりも半世紀以上前のことです。

つまり50年前には、すでに過去のクラブだったわけですが、近年そのチッパーが見直されてきて、キャディバックの中の1本にしているゴルファーが増えているようです。

ゴルフのテレビ中継が始まったことで、ゴルフファンの多くはプロがチッパーを使わずにアプローチ用のサンドウェッジを使っていることを知ります。

やがてプロの難しいアプローチ法を見たゴルフファンのキャディバッグから、チッパーは消えていくことになります。

「転がすアプローチはダサい」という風潮に加えて、テレビに映るようなコースに改修されてグリーン前にはガードバンカーが配置され、チッパーを使える場面が少なくなったことも消えていく要因だったようです。

以前はニブリック(9番アイアン)がアプローチ兼用のアイアンだったのですが、やがてバンスの小さなアプローチサンドが流行り、苦もなくバンカー越えができるようになり、キャディバックの中にアプローチウェッジが入るようになっていきます。

アプローチイップスの特効薬のクラブがチッパー!

日本のゴルフ発祥は山岳コースの六甲だったことから、山肌のコースが一流という風潮が続いていきます。

やがて本場英国のリンクスや米国のシーサイドなどを目にする機会が増えてくると、新設するコースにフラットなリンクスタイプが作られるようになってきます。

加えて乗用カートを導入したセルフ化によって、走行によってラフの芝が寝ないようすることとロストボール防止のために、ラフの芝を刈り込むようになってきました。

人間の背丈ほどもあったガードバンカーの多くは浅く改修し、花道を広くとってグリーン手前40ヤード以内にカートが乗り入れないような工夫がされるようになったのです。

さらに一般でも認知されるようになった「イップス」によって、アプローチに苦労をしている人が増えたこともあって、チッパーが見直されることとなりました。

パターと同じ感覚でアプローチができるクラブですから、簡単さは間違いがありません。

まだまだ隠れファンの中で愛用されているようですが、1度使ってみるとチッパーの威力に魅せられることは間違いないでしょう。

アプローチ用のクラブであるチッパーとジガーの違い

もともとチッパーとジガーという2種類のアプローチ用のクラブがありました。

最近はチッパーとジガーが同じクラブとされていることが多いようです。

ジガーはロフト角の違うチッパーの一部としていますが、2つのクラブは打ち方が同じだけで使う場面は異なります。

チッパーはランを主体とするクラブで、ジガーはキャリーのあるピッチエンドランを主体とするクラブだからです。

一般的なチッパーのロフト角は37度で8番アイアンと同じくらいです。

一方でジガーのロフト角は、10度増えて47度なのでウェッジと同じくらいです。

この2種類のクラブのうちでジガーが消えたのは、それに代わるアプローチウェッジやアプローチサンドなどを持っているからです。

第1世代のチッパーやジガーは、それまでのニブリップに代わる「新兵器」と呼ばれるクラブでしたが、第2世代の現代ではミスのないアプローチができるクラブとして、転がすことに特化した役割を担うこととなります。

チッパーの形状はパターと違う

チッパーを使ったアプローチは、ランを主体とするといっても、パターのように最初から芝の上を転がすわけではありません。

カップまでの距離にもよりますが、ザックリした距離感はキャリーが1に対して、ランが3というところです。

ただしグリーンの速さによっては、ランの距離は伸びますし、総距離が短ければランの距離も短くなります。

この辺の距離感は、使う中で覚えていくことになりますが、1ラウンドで十分に使いこなせるようになります。

昔はL字パターの変形型だったので、距離感に慣れるまでに時間がかかりましたが、現在はマレット型が多いのでフェースを合わせやすくなり、距離もすぐに合わせられるはずです。

ただパターと違うということは覚えていなければなりません。

クラブの構造はアプローチ型になっているため、フェースの刃にあたるリーディングエッジが軸(シャフト)よりも前に出ています。

またソールするとリーディンエッジはわずかに浮いているので、その形でインパクトができれば振り切るときに抵抗を受けることはありません。

チッパーの打ち方と注意点

チッパーのパッティングの仕方を誤解している場合があります。

チッパーはパターと同じような打ち方ですが、高速グリーンに対応するようなヘッドをスライドさせるパッティングではありません。

チッパーは伝統的なペンデュラムストローク(振り子打法)でパッティングのように打ちます。

基点を設けてヘッドを揺らすパッティングは、最下点さえ間違えなければ、確実にボールをとらえることができます。

ただしパッティングとは違って、ヘッドの重さだけではボールを飛ばすことができないので、自らの意思でスイングしなくてはいけません。

しかしながらペンデュラム式でスイングすると、リーディングエッジが芝に刺さる恐れがあります。

もしかするとダウンスイングでグリップが左に移動して、ダフリになるかもしれません。

安全なアプローチのためクラブ選択なのに、ミスショットしては元も子もありません。

そこで両肩と両肘とグリップで五角形を作って、その形を維持することを心がければ、ミスショットを防ぐことはできるはずです。

チッパーの役目はアプローチの安定感

チッパーでアプローチをするときは、ハンドファーストで構えてはいけません。

なぜならハンドファーストで構えるということは、振り子型のストロークができないからです。

さらにグリップエンドが左方向を指すため、ザックリの可能性も高まります。

ミスの少ないクラブではありますが、出っ歯のフェース形状なので、正しい打ち方をしなければなりません。

またピッチ(空中)が1に対してラン(転がり)が3だということも理解して、ターゲットポイント決めないと、正しい距離を出すことはできないからです。

基本は「寄せるクラブ」であって、入れるクラブではありません。

ボールを打ち出すときの強さによってはバックスピンが強くなり、想定したラインから外れることもありえます。

それでもシャンクやザックリ、もしくはトップによるミスはなくグリーンオンはできるはずです。

この安定感こそがチッパーの役目なのです。

チッパーは安定感のあるアプローチ用のクラブ

初心者から上級者まで、アプローチでミスショットなく、グリーンオンが狙えるクラブがチッパーです。

ただし飛距離が短いのでバンカー越えなどの場面では使えませんが、花道にボールがあれば1:3の割合で転がってピンに寄ってくれる安定感のあるクラブです。

興味があればバッグに入れてみましょう。