他のクラブと同じようにパターにもロフト角があるのを知っていますか。
ロフト角は飛距離の目安にもなりますが、パターの場合には大きいからといって転がる距離が伸びるとは限りません。
ここではパターのロフト角に適応したストロークの仕方や、グリーンの状況に合わせた打ち方を紹介します。
ロフト角の大きいパターはバックスピンがかかる?
ゴルフクラブにはロフト角があり、その角度の違いによって飛距離が違ってくるように設計されています。
5番アイアンのロフト角はおよそ22度で飛距離は180ヤード、9番アイアンのロフト角はおよそ38度で110ヤードです。
一定のヘッドスピードであれば、ロフト角の大きいほうが飛距離は小さいということになります。
ところがパターだけは違うようです。
一般的なパターのロフト角はおよそ3度ですが、1度のものもあれば6度のものもあります。
アイアンに当てはめて考えると1度のほうが滞空時間は少ないので、仮にそれを飛距離とするならば、パターは例外ということになります。
仮に0度ロフトのパターヘッドをスライドしてボールをインパクトすると、ボールもそのままの状態で横にスライドしようするはずです。
そこにロフト角があると、浮いてから転がり出すので最初の芝の抵抗を受けません。
つまりパターにロフト角があるのは、順回転させるためのものと考えられています。
しかしながら実際にはロフト角によってバックスピンがかかるので、逆回転した状態で着地することになり、少しだけ状況が違ってきます。
ロフトの大きいパターでパッティングすると順回転で転がる
先ほどの流れからロフトが大きいパターでスライド式のストロークをすると、逆回転が強くなるのでボールの転がりが悪くなるといえます。
そのためロフト角が大きいパターの場合には、ペンデュラム(振り子)式のストロークが合っています。
そのペンデュラム式のストロークには、いろいろな打ち方がありますが、基本的な方法を以下に紹介します。
両肩と両肘とグリップで作った五角形を崩さずに、首を支点にして両肘を揺らします。
するとグリップは振り子のように揺れ、その先にあるパターヘッドも振り子の軌道で移動するでしょう。
その結果、パターライン上を湾曲した軌道でヘッドが下りてきますが、軌道の最下点を少しだけ過ぎたときにインパクトするようにしてください。
つまりアッパーブローで、ボールを下から打ち上げるのです。
そうするとボーリングの球を投げたときのように、順回転で転がるようになります。
もしもロフト角が小さければ、アッパーブローでインパクトしても、ボールを下から打つことはできずにレベルブローで横から打つことになります。
パターのロフトが大きいほど転がりが良くなる
ロフト角が大きいパターは、ペンデュラム式の打ち方に適しています。
逆にロフト角の小さなパターは、スライド式の打ち方に適しているといえます。
そこでパターの形状を考慮すると、さらに打ちやすさが実感できます。
パターヘッドが薄くてフェース面の上下が狭いと、ヘッドがアッパーブローで振り子の軌道を通せばボールの下部に入りやすくなります。
一方でフェース面が大きいヘッドは、ボールの側面からインパクトがしやすく、さらにフェースの面積が大きいことから弾みも期待できます。
自分のパッティングの仕方に合わせてロフト角を選び、フェース面の形状を選ぶことは大切なことです。
しかし打ち方ばかりではなく、グリーンに合わせたパターの選び方があっても良いのではないでしょうか。
ゴルフ場のグリーンには転がりの良いグリーン、一般的には「速いグリーン」といわれているものと、転がりが悪くて「重いグリーン」と呼ばれているものがあります。
ただしこの速い遅いは感覚的なものなので、パッティングしたゴルファーの技量や経験によるところが大きいかもしれません。
ロフトが大きいとスライド式パターストロークは困る?
速いグリーンのときは、スライド式のパターのほうが安心感はあるかもしれません。
一般的に速いグリーンというのは11フィートくらいからをいいますが、これはプロトーナメントの話であって、プライベートゴルフ場のセッティングであれば10フィート前後ではないでしょうか。
仮に11フィートの高速グリーンだったとして、フラットな状態であれば「転がりの良い」グリーンでしかないので、ペンデュラム式ストロークでも問題はないはずです。
問題は傾斜のあるグリーンで、わずかに1度下り傾斜が入っただけで22フィートになるといわれています。
グリーンの奥から手前にかけて受けグリーンにしていることが多いので、ボールが奥についたら触れただけでもグリーンから出ていくかもしれません。
そんな転がり具合で振り子のようにヘッドを当てたら、順回転のボールはいつまでも転がっていってしまいます。
その場合、スライド式ストロークはもちろんのこと、ロフト角の大きいパターにすれば、バックスピンで転がりが抑制されるかもしれません。
ロフト角が大きいと安心感があるのはなぜ?
高速グリーンでは、パターのロフトが大きいほうが安心感は高いと考えられます。
一方で重いグリーンこそ、ロフト角が大きいほうが良いという考えもあります。
グリーンの手前側にオンしたボールをグリーンの奥に立つピンに向かってパッティングをするとなると、円形グリーンだと20ヤード以上、縦長なら30ヤードはあるかもしれません。
しかも縦長グリーンの多くは2段グリーンや3段グリーンと、段差をつけてさらに難しくしているのが普通です。
もっともこの段差の意味は奥からの下りパットに対しての難易度なのですが、距離が長くなると上りのパットも難しいものです。
こういうときは、グリーンオンせずにカラーからピッチングでピッチエンドランを選択したほうが楽に攻めることができます。
ピッチエンドランはおよそピッチ(飛球)が5割、ラン(転がり)が5割と、ボールが浮くことで横傾斜で曲がる心配はなくなるからです。
同じことはロフト角の大きいパターでもいえて、ロングパットではある程度飛球させるイメージでインパクトして、そこから順回転がかかれば距離感を出しやすくなります。
どっちを選ぶ?大きなロフト角と小さなロフト角のパター
パターのロフトが大きいパターを使う場合、高速グリーンのときはスライド式のストロークにして、重いグリーンのときはペンデュラム式でストロークにするのが良いと考えられます。
OKパットのようなショートパットは、カップの反対側に当てて入れる強気のパッティングが必要のため、そのためにはスライド式のストロークが適しています。
一方で距離感が重要なロングパットは、テークバックの引き幅で距離を調節できるペンデュラム式のストロークが適しています。
しかし実際には、パッティングの仕方やグリーンの速さなどによって、ロフト角の違いによるパター選びはできません。
2種類のパターを持ち歩くことは現実的ではありませんし、グリーンの状況を見てから選択するのが必ずしも良い方法とはいえないからです。
そうしたことから、ロフト角の大きいパターと小さなパターの二者択一なら、スライド式もペンデュラム式も対応できるロフト角の大きいパターを選ぶことになるはずです。
ロフト角の大きいパターのほうが使い勝手が良い
パターのロフト角が大きいのと小さいのと、どちらが使いやすいかは、それぞれのゴルファーによって違います。
ただグリーンの速さに対応でき、カップまでの距離の長短にあわせることができるのは、ロフト角の大きなパターのほうなのかもしれません。