ドライバーの構え方は、ティーアップしたボールの後ろにヘッドをセットするのが当たり前ですが、これには2つの方法があります。
それは、ヘッドをソールする方法とソールせずに浮かせる方法です。
今回は、それぞれの構え方の利点を考えます。
ドライバーに限ってヘッドをソールする構え方をする理由
ドライバーはティーグラウンドの芝面にソールする構え方が一般的です。
飛距離を狙うドライバーのショットの仕方を表現するときに、「トップからボールに向かって振り下ろす」と使うことが多いようですが、実際のヘッドの軌跡を考えるとトップからボールに向かって振り下ろすのではなく、ボールの手前に振り下ろさなければなりません。
ボールの手前でスイングの最下点を通過して、そこから浮かび上がるときにインパクトをすることをアッパーブローと言います。
ドライバーのショットは、このアッパーブローのスイングが基本となっているのは、ドライバーのフェースの斜度であるロフト角が小さいためです。
理想とする放物線になる適正な打ち出し角にするためには、下から打ち上げる必要があります。
したがってティーアップをして下から打てるように、芝面よりもボールを高くしているわけです。
一方でドライバー以外のクラブを使用するときは、芝面とほぼ同じ高さになるショートティーを使用しますが、これは打ち出し角が十分あるロフト角なので、打ち上げる必要がないレベルブローでショットするからです。
手前にソールするドライバーの構え方の効果
ボールの下側を打つのがアッパーブロー、ボールの横側を打つのがレベルブローです。
ドライバーはアッパーブローですので、一般的にはボールの後方10センチのところにソールをつける構え方をします。
ティーアップしたボールの高さによって、ボールとヘッドの間隔が変えますが、ティーを高めに挿すとボールとヘッドの間隔は離れますし、低めにセットすると近くなります。
ただしティーを高くセットすると、それだけ下から打ち上げることになるので、インパクトでの打ち出し角は高くなります。
ボールを打ち出す適正な角度はヘッドスピードと関係があり、一般ゴルファーのヘッドスピードであれば打ち出し角は16度が適正と言われています。
仮にソールが芝面を擦るくらいのレベルブローでインパクトをした場合は、ドライバーのロフト角と打ち出し角は同じです。
仮にドライバーのロフト角が11度であれば、打ち出し角は理想5度マイナスになります。
この5度マイナス分をアッパーブローで補うのですが、同時に飛距離を伸ばすために必要なバックスピン量を減らす効果も得られるのがアッパーブローです。
ドライバーを手前にソールしたアッパーブローで伸びる飛距離はどのくらい?
一般的なゴルファーのドライバーのヘッドスピードは秒速40メートル程度ですが、このとき16度の角度で打ち出すと飛距離は210ヤード程度(+ラン20ヤード)になるはずです。
あとはバックスピン量を減らすことができると、さらに飛距離は伸びます。
レベルブロー気味にインパクトをすると、フェースの斜度によってボールにバックスピンがかかります。
バックスピンがかかるとボールは吹けあがり、飛距離は伸びなくなってしまいます。
このバックスピンを減らすためには、インパクトでのフェースの斜度を少なくするしかありません。
フェース面を上に向けて、そのフェース面と打ち出す角度が同じにできたら、フェースの斜度はほぼ不要になります。
つまりロフト角の小さい9度を使ってティーを高めにして、手前最下点にソールする構え方で大きなアッパーブローでスイングすれば良いのです。
極端な言い方をすると、0度のロフトで16度のアッパーブローをするような感じです。
9度の場合、通常よりも長いロングティーを使って、ドライバーのヘッドを置く位置を15センチ程度離して構えると16度で打ち上げることができ、机上の飛距離は226ヤード(+ラン20ヤード)にできます。
ドライバーを構える際10センチ後ろにソールするはずなのに
ドライバーの構え方は、ボールの後ろ10センチのところにソールするのが一般的だと説明してきました。
ただドライバーを構えたとき、ヘッドを浮かせてボールの後ろにセットしているゴルファーを見かけることがあると思います。
これを再現性の観点から考えるとレベルブローのスイングになるので、正しい打ち出し角でインパクトをすることができなくなってしまいます。
アッパーブローを知らないアマチュアであれば、「いずれ気がつくときが来る」と思うかもしれませんが、ツアープロの中にもソールせずに構える人たちがいます。
このヘッドを浮かすアドレスには、プロゴルファーとアマチュアで原因は違うかもしれません。
まずアマチュアの場合です。
アッパーブローのスイング軌道が生かすことができていません。
最下点からさらに加速しなければインパクトは弱くなるのに、スイングの最下点でパワーが弱くなって強いインパクトができないことが考えられます。
原因はダウンブロー気味のスイングにあるのですが、それを修正する代わりにロフト角の大きなドライバーでボールの横側をインパクトすることで、打ち出し角を確保しています。
ソールしないほうが良いタイプ
ティーショットでドライバーよりもスプーンのほうが飛ぶ場合は、レベルブローのスイングになっているからと考えます。
そんなときは、ドライバーをロフト角の大きなものに変えて、ソールを浮かせる構え方を取ることがおすすめです。
フェース面が立っているドライバーを使うと、テンプラやスライスまたはプッシュアウトになる可能性が高くなります。
ヘッドコントロールができていないために、ボールの下でスイングの最下点を迎えてテンプラ、すくい上げようとしてフェースが開きスライス、開いたフェースで押し出してプッシュアウトが考えられます。
もちろん正しいアッパーブローのスイングに修正すれば問題はなくなりますが、スイングの最下点からヘッドスピードを加速するスイングを身につけるまでの練習期間が必要です。
そこでスイングの最下点に合わせてボールをセットし、レベルブロー気味のスイングにしているわけです。
アッパーブローのスイングを理解していれば不思議に思うかもしれませんが、この打ち方のアマチュアゴルファーは意外に多いようです。
プロでもドライバーをソールしない構え方にする理由
アッパーブローが何たるかを十分に理解しているプロゴルファーが、ソールをせずにドライバーを浮かせる構え方を採用しているのは、テークバックで地面と平行に体をねじりたいためです。
上半身は腰から前傾しているため、肩を回すと左肩は下がり、右肩は上がるのが自然な捻転です。
ところがこの動作に力が入ると、左肩が沈み右肩が上がって右肘が浮いた状態でトップを迎えることがあります。
テークバックで左側が沈むとダウンスイングでは右側が沈むことになります。
プロはそんな極端なフォームにはなりませんが、体が上下するフォームを嫌うため、右肩を引くテークバックをするのです。
このテークバックのスイングプレーンに比べると、ダウンスイングのスイングプレーンはアップライトになるので、自然にボールの手前で最下点を迎えてアッパーブローでインパクトできるようになります。
つまり自分のスイング軌道を熟知しているからこそ、ソールを浮かせたアドレスができるわけです。
ドライバーをソールしない構え方にも利点がある
ドライバーの構え方は、アッパーブローを考えると、ボールよりも10センチ後方にソールするのが一般的です。
ただアッパーブローが苦手な場合は、ロフト角の大きなドライバーでソールせずにレベルブローで払い打つ必要があるでしょう。
またスイング軌道を熟知してオンプレーンをイメージできるのであれば、ソールしないほうが良い場合もあります。