現在のパターの主流はネオマレット型と言われていますが、その原型はマレット型にあります。
マレット型以前はピン型パターがゴルフ界を席巻していました。
パター性能が進化を続けるなか、一般ゴルファーにとってどのタイプが良いのかについて考えます。
ピン型とマレット型はパターヘッドの形状による名称
パターのタイプはピン型とかマレット型とか、そのヘッドの形状で名前が付けられています。
もっともピン型は、ゴルフ用品メーカーのピン(PING)が製造した人気モデルのパターが由来です。
あまりの人気に各社がオマージュしてピン型の良いところを取り入れて製造したため、このモデルの総称となったわけです。
そんなピン型の特徴は、パターヘッドのトゥ(先端)側とヒール(根元)側を重くしている「ヒール・トゥデザイン」になっていることです。
バックフェースの下部は、両サイドが肉厚になっていて、その重さでヘッドのバランスをとっています。
昔から人気のパターでしたが、人気絶頂だったときのタイガー・ウッズがこのピン型パターの「スコッティ・キャメロン」を使ったことで、投機的な人気まで付加されて希少価値のある品になったほどです。
身長や腕の長さでグリップの高さが多少違っても、ソールは弓なりで両サイドが上がっているため気になることはなく、万人に好まれるのがピン型の特徴と言えます。
ピン型パターの良さと進化したマレット型パターの良さ
ピン型のパターについて、もう少し詳しく確認しましょう。
ヘッドのバックフェースを見ると、両サイドが盛り上がっていますが、中心部分はスッポリと開いています。
この開いている部分がほぼスイートスポットになるため、普通にストロークすれば、パッティングミスをすることはないはずです。
またフェースのトゥとヒールの間隔が長いため、ヘッドをセットした時点で方向が歪んでいるとすぐに分かります。
ピン型は構えたときに違和感がないと言われますが、自然の動作でパターライン上にヘッドをセットできるところにその要因があると思われます。
そして何よりも優れているのが、ペンデュラム(振り子型)式のパッティングと、スライド型のパッティングのどちらでも対応できるということです。
トップの位置まで引き上げて、その振り幅が距離になるペンデュラム式は、パッティングの基本です。
一方で自身の距離感を頼りに、ヘッドの高さを変えずに打つのがスライド式です。
自身の感覚で打つ、このスライド式のパッティングが増えてきていて、それにもっとも合っているのがマレット型のパターと言われています。
ピン型からマレット型に移行するパターの変革
マレット型のパターは、その形状から「かまぼこ」とも言われていました。
そのころはユーティリティを「たらこ」と言ってましたから、名付けた人が海産物を好きだったのか、もしくは馴染みのある食品だったのかもしれません。
お饅頭を上から軽く潰して、フェースになる部分をカットしたのが、マレット型のパターです。
製造したのは無名に近いRAMという会社で、しかもヘッドの上部にシマウマのような線が入っていることから「ゼブラ」という商品名で発売されます。
当初はマレット型のパターの存在さえ知られていませんでしたから、ゼブラが注目を集めることもありませんでした。
ところがタイガーがスコッティ・キャメロンを使ってプレミアがついたように、当時の人気選手だったニック・プライスがこのマレット型のゼブラを使ったことから世界中でブームになります。
その勢いは、当時のゴルフ界で首位を独占していたピン型を超えたほどです。
日本でも尾崎直道選手他たくさんのプロが使用し、パターの人気はピン型からマレット型へと移行していきます。
ピン型を凌駕するマレット型パターの実力とは?
絶大な信頼度を誇るピン型パターを凌駕するほどのマレット型パターとは、ヘッドの重さを利用するパッティングが合い、非常にシンプルにストロークできるのが特徴です。
つまり腕前に関係なく、誰でも簡単にコントロールできるパターだったのです。
ヘッドが重たいので、ストローク幅を長くしなくてもボールの転がりが良くなり、振り幅が小さいためにインパクトでのフェース面の歪みも少なく方向性が安定します。
いわゆる強気のパッティングをすることが可能なので、芝目に詳しくない初心者でもファーストパットの成功率が高くなります。
また当時のゴルフ場は、大きなワングリーンが流行り始めていたため、ロングパットが重要視されてくるようになっていました。
マレット型のヘッドの重さはロングパットに最適で、しかもバックフェースの膨らみのお陰で重心深度が深くなり、直進性に優れて方向性も良くなっているのが特長です。
トッププロから初心者まで、簡単にパターが上手くなるのですから、多くの人たちが使うことになっていきます。
ピン型を超えたマレット型をさらに超えるパターが出現
いつしかピン型パターを押しのけて、市場をリードするようになったマレット型のパターですが、やがて次の時代へと進むことになります。
万能的な性能を持つマレット型のパターですが、やがて改造したタイプができてきます。
新たなパターはネオマレット型と呼ばれるタイプで、外形的に「かまぼこ」の面影はありません。
全体的なフォルムは機械的なデザインになっていることが多く、用途に合わせて作られています。
スムーズなテークバックを促すことに特化したタイプ、フェースをスクエアに合わせやすい四角形や長方形のデザインタイプなど、ゴルファーの技量に合わせているとも考えることができます。
マレット型でロングパットを打つ場合には、ヘッドの重みでストロークするため、基本的にはペンデュラムの軌道です。
ところが「かまぼこ」だからこそ重かったのに、マレット型に比べるとネオマレット型は軽量化されたことでスライド式のストロークにも対応できるようになります。
そして現在のパターは、このネオマレット型が主流となっています。
マレット型よりもピン型のパターが良い理由とは
多くのプロがこぞってネオマレット型のパターを使用したことで、ネオマレット型はゴルフ界を席巻していきます。
一方で従来からあるピン型やマレット型も、愛好者によって使い続けられています。
特に長尺パターのときにはマレット型のヘッドを使うことが多かったですし、事実上長尺ドライバーが使えなくなってからは、クロスハンドグリップで対応したゴルファーの多くがピン型やマレット型を使っています。
可能性を求めたパッティングは、高度化するにつれて悩みが増えていき、結果的に迷いが生じて原点回帰するのかもしれません。
ただしプロトーナメントの転がる速度やピンポジションと、一般ゴルファーがプレーをするコースコンデッションは全く違います。
プライベートゴルフで利用するコースであれば、シンプルなテークバックやストロークができるパターこそ安心感があるのかもしれません。
そもそもパターは自由な構え方、打ち方が広く認知されている道具ですから、どのタイプがもっとも良いのかを決めることはできませんが、あえて挙げるならばピン型パターが良いのではないでしょうか。
パターの性能に依存するのではなく、自分の感覚を養いながらも使いこなしていくのがピン型のため、上級者はもちろんのこと、これからゴルフを始めるゴルファーにもおすすめのパターだと言えます。
パターを選ぶときはピン型とマレット型のどっちが良いか
パターを選ぶときは、ピン型とマレット型のどちらが良いか迷うかもしれません。
まずは2つのタイプの特性を理解して、次に自分の求めるパッティングスタイルに、どちらが合うのかを見極めます。
もしも成長過程にいるゴルファーであれば、ピン型を選択したほうがパターの打ち方が上手くなると考えられますから、その点も考慮してみましょう。