主流になりつつあるドライバーの調整機能の仕組みとその効果

通称「カチャカチャドライバー」の調整機能が付いているドライバー。

最初は物珍しい感じでしたが、近年は主流になったと言っても間違いではないでしょう。

それでも「調整機能は必要なの?」と思っている人もいるでしょう。

今回はその疑問を解決すべく、調整機能の仕組みとその効果について説明します。

ドライバーの調整機能は何を調整できるのか

まず勘違いしている人が多いので最初に言っておきたいことがあります。

「調整機能」とはドライバーの性能を大幅に変える機能ではありません。

ドライバーの性能を個々のゴルファーの体格やスイングの癖などに合うように微調整するための機能です。

大きく分けると二つの調整が可能になります。

一つはロフト角・フェース角・ライ角の調整です。

もう一つはウェイト、つまり重心距離と重心角を調整できます。

前者の調整はシャフトの先端部に取り付けられたスリーブの向きの変更で行います。

後者の調整はソールにある可変ウェイトによって微調整できるようになっています。

両方の調整機能が付いている物もあれば、どちらか一方の調整機能だけ付いているものとあります。

メーカーによって調整できるポイントは異なるので、自分のスイングをデータ等で解析してもらい、調整が必要なのか、そして必要であれば何を調整することで自分に必要な効果を得られるのかを判断してもらうと良いでしょう。

複雑に思われがちなドライバーの調整機能

きっと昔のゴルファーはドライバーに調整機能が付くなんて夢にも思っていなかったでしょう。

そんな時代でもウェイトを調整するためにシート状の鉛を貼り付ける簡易的な方法はありました。

それがロフト角やフェース角、ライ角にウェイトを細かく調整していけるとなると、ドライバー自身に複雑なパーツが組み込まれてるのではないのかと思う人もいるかもしれません。

それが複雑で詳しい人しか上手く調整できないとすら思っているかもしれません。

しかし「カチャカチャドライバー」と呼ばれるほどです。

実は驚くほど簡単に、そして誰でも調整することができます。

先に簡単に触れましたが、様々な角度調整はヘッドとシャフトの接合部分にある可変式スリーブを取り付けるときの向きや角度によって調整するだけです。

ウェイトの調整は重量の異なるネジの取り外しや、固定場所をスライドして調整するだけです。

ウェイトに関しては見た目以外は鉛のシートを貼るのと実は大差ありません。

こうした方法でドライバーを調整することで、一体どのような効果が得られるのか興味が湧いてきますよね。

可変スリーブでドライバーを調整して得られる効果

可変スリーブではロフト角・フェース角・ライ角を調整することができます。

実のところ調整機能が無かったとしてもクラブの握り方を変えることでフェースを開いたり閉じたりできます。

当然ドライバーに調整機能が無かった時代はそうやって調整していました。

フェースを開けばロフト角は大きく、閉じれば小さくなるのが単純なクラブの構造だからです。

しかし可変スリーブを使って調整することでロフトを立ててもフェースを開いた状態にすることができます。

故にフェース角を一定にしてロフト角が変えられるのです。

弾道に悩んでいる人はロフト角で調整するしかありません。

打ち出し角とバックスピン量は弾道に影響するため、このロフト角の調整は飛距離の面で非常に大事です。

またフックやスライスに悩んでいる人はフェース角かライ角、もしくはどちらも調整することで悩みを解決することができます。

スイングを改善すれば良いことだと言われればそれまでなのですが、長年の癖がなかなか直らないという人や、突発的にそうなってしまいラウンド中だけでもどうにかしたいという人には効果絶大と感じられるでしょう。

可変ウェイトでドライバーを調整して得られる効果

次は可変ウェイトによる調整機能についてです。

可変ウェイトで多いのは異なる重さのウェイトを目的に合わせて取り付けるものです。

ネック側に重いウェイトを、そしてトゥ側に軽いウェイトを付けて調整した場合は重心距離が短く重心角が大きくなります。

すると慣性モーメントが小さくなるのでドライバーではランが出て飛距離が伸びるドローボールが出やすく、ヘッドの返り易いドライバーになります。

逆に返し過ぎてしまいフックボールが出てしまう人にはこのような設定は向いていません。

またそれだけでなく可変スリーブと同様の効果を得ることもできます。

できるモデルは限られますが、ソールにウェイトの調整をすることでアドレスした際のクラブの座りを調整することができます。

それでアドレス時のフェース角やロフト角を調整し可変スリーブで調整した様に弾道を自身の望むように調整することができます。

もちろんスリーブでの調整のほうが調整幅は大きくなります。

しかしあまり大幅に調整をしてしまうとスイング自体に影響を及ぼしてしまうので気をつけましょう。

ドライバーの調整機能を利用するときに気をつけること

ドライバーの調整機能を使うことで、多くのゴルファーの悩みを解決してくれる効果が発揮されることを説明しました。

しかし便利が故に気をつけなければならない点もあります。

ドライバーの調整機能の最も便利な点は簡単に調整できるということです。

購入した際に専用のトルクレンチが付属されています。

そのトルクレンチを使えば力の弱い女性でも簡単に調整することができます。

ここで気をつけなければならないのがネジの締め付けです。

締め付けが弱いとヘッドだけが飛んで行ってしまう大変危険な行為に繋がります。

大抵はしっかりと締め付けられたら「カチッ」という音で知らせてくれます。

本来はそれで十分なのですが、それを信用せずさらに増し締めしすぎるとネジが空回りして故障の原因になってしまいます。

故障してしまうと調整機能が使えなくなるばかりか、次回調整したときに締め付け不能になる可能性があるので、締め付け不足同様の危険な事態を生んでしまいます。

後はしっかりとはめ込むことです。

ズレた状態で無理にはめ込むと調整したい機能は全く発揮できず、故障の原因になるだけです。

簡単なので使い慣れてくると扱いが横着になってしまいがちなので気をつけましょう。

調整機能の効果頼りになってはいけない

確かに便利な機能は使うことに越したことはありません。

しかしドライバーの調整機能は「ある程度スイングが固まってきた人」にオススメします。

まだ右も左も分からないような初心者やどうスイングすれば良いのか試行錯誤中のゴルファーが調整機能を使ってしまうと良い効果は得られません。

スイング理論を理解できていない状態で、スライスやフックが出るから、また弾道が低すぎたり高すぎたりするからと調整してしまうと、スイングが更に崩れてしまう可能性があります。

このドライバーの調整機能は、スイングが安定したゴルファーがどうしても上手くいかないポイントを微調整するために使うのがベストです。

今のスイングのパフォーマンスを更に引き上げる目的で使ってください。

スイングが安定していない人は、道具を頼りにするのではなく、いま一度自身のスイングを客観的に見直し、どこがどう悪くてそのようなショットになっているのか向かい合いましょう。

ドライバーの調整機能はゴルフを上手にしてくれる魔法の機能ではなく、伸び悩みの手助けをしてくれる機能になります。

むやみやたらにカチャカチャしてはダメ!

スイングのちょっとした所を改善するために調整機能を使うのですが、なかなか定まらず調整を繰り返す人がいます。

もちろん調整するための機能なので少しずつ調整していくことは大事です。

しかし中には意味も分からず様々な角度やウェイトに調整し続ける人がいます。

そうすると自身のスイング自体も安定しなくなってしまいかねません。

自分がショットの何に悩んでいるのか、そしてそのためにはどう調整すれば良いのかをしっかりと考えてから調整するようにしてください。