アイアンの長さは標準的な構え方をしても合わない場合がある

アイアンの長さはモデルによって多少違いますが、番手によって標準値はあります。

しかし例え標準的なアイアンであっても、それが自分の身長と合っていなければ、ミスショットの原因になりかねません。

正しいアイアンの長さを知るために、ライ角とアームシャフト角との関係について理解しておくことが必要です。

標準的なアイアンのシャフトの長さは番手間で0.5インチ刻み

アイアンはメーカーやモデルによって、長さが多少違うことに気がついているでしょうか。

標準的に設計されるアイアンセットは3番アイアンから9番アイアンまでですが、中にはピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジまで含む場合があります。

その一般的なアイアンセットのシャフトの長さは、番手間で0.5インチ刻みになっています。

そしてロフト角は4度刻みになっていて、番手間の飛距離は10ヤード刻みを目安にしています。

アイアンセットが9番アイアンまでであれば、この0.5インチ刻みの長さが当たり前ですが、サンドウェッジまでをアイアンセットとする場合は、ピッチングウェッジ以降は0.5インチ刻みになっていない場合が多いようです。

アイアンセットにウェッジが含まれている場合は、番手間の飛距離が一定にセットされていることが多いため、仮に9番アイアンの飛距離が120ヤードだとすると、ピッチングウェッジは10ヤード刻みの110ヤードで設定されています。

このときの番手間の飛距離は、ロフト角とシャフトの長さが影響すると言われています。

標準的なアイアンセットのシャフトの長さにも例外がある

標準的なアイアンセットのシャフトの長さは、番手間で0.5ヤード刻みに設定されていると前項で説明しました。

ただしアイアンセットにウェッジまで含まれているとしたら、ピッチングウェッジ以降のシャフトの長さを変えてないほうが多いのです。

その理由として、ピッッチングウェッジまではアイアンとしての10ヤード刻みの飛距離で設定していますが、アプローチウェッジやサンドウェッジは距離を刻む道具だとは考えていないからです。

グリーン周りからのロブショットや、砂の中からのバンカーショットは、特殊な打ち方でターゲットに近づけていくので、それに使う道具に番手間の距離を考える必要がなかったのかもしれません。

目的を明確にしてその役割に合わせた道具が、アプローチウェッジであったりサンドウェジであったりしたということです。

そのため長さを変えて距離を打ち分ける必要はなかったと考えられるのですが、それがピッチングウェッジと同じ長さにした理由となったのには、「適度な長さ」があったことは間違いありません。

標準的な長さのアイアンのライ角はボールの位置で調整する

アイアンの適度な長さとは、スイングするときの姿勢と関係があります。

標準的なアイアンの長さは、番手間で0.5インチ刻みになっていますが、シャフトが短くなるほど前傾姿勢が大きくなると考えるのが普通ではないでしょうか。

単純に考えると3番アイアンと9番アイアンのシャフトの長さは3インチ違います。

3インチをセンチで換算すると約7センチです。

7センチも短くなれば、グリップの位置も低くなると考えられますが、実際にはライ角が調整されているので、グリップの高さはそこまで変わることはありません。

アイアンはシャフトの長さに合わせて、シャフトの傾きの角度を変えています。

シャフトの傾きと地面との内角をライ角と言いますが、番手間のライ角は0.5度で刻んでいます。

つまりシャフトが短くなるほど、ライ角は大きくなり、アップライトな状態になるわけです。

これをボールの位置で見ると、長いクラブほど体から離して構え、短くなるほどボールとの間隔は狭くなります。

アイアンの長さとライ角が0.5刻みになっている意味

アイアンの番手が変わるとシャフトの長さは0.5インチずつ変わりますが、それに伴ってライ角も0.5度ずつ変わるので、前傾姿勢には悪影響はないように作られているはずです。

ライ角でカバーするとは言っても、シャフトの長さが短くなれば、グリップの位置は多少変わります。

ここで注意すべき点は、ボールとの間隔を変えて、アームシャフト角を一定にすることです。

肩から下ろした腕とグリップを握った先のシャフトの内角を、アームシャフト角と言います。

ドライバーを構えたときの標準的なアームシャフト角は150度前後です。

この150度はドライバー以外のクラブ、もちろんアイアンの場合でも同じ角度になるように構えます。

つまりアームシャフト角に合わせて前傾角度をとることで、スイングプレーンの斜度は変わっても、スイング自体は一定にできるわけです。

少し難しくなってきましたが、スイングの回転軸である背骨の傾斜角度が変わっただけで、すべて同じスイングをすれば良いということなのです。

日本人の標準身長から算出したアイアンの長さ

現在の標準的なアイアンのライ角は、3番アイアンで60度、9番アイアンで63度です。

その3番アイアンから9番アイアンまでは0.5度刻みで並んでいます。

一方で標準的なアイアンの長さは、3番アイアンで39インチ、9番アイアンが36インチで、こちらも0.5インチ刻みになっています。

ここまでの話の流れでシャフトの長さとライ角の関係、アームシャフト角による構え方の約束事が理解できたとして、9番アイアンのシャフトの長さが36インチでライ角が63度になっている、その基準を理解しなければなりません。

アイアンのシャフトの長さとロフト角を設定している基準は、体型から求めたものです。

日本人の平均身長170センチを基準にして、標準的なアドレスの姿勢をとったときのグリップの位置を算出した結果です。

したがって身長が170センチではない人や腕が長い人、またはアドレスの姿勢が標準的ではない人は、そもそものグリップの位置が違ってくることになります。

身長が標準でない場合はアイアンの長さを変えて対応する

日本人の標準的な身長に合わせて、シャフトの長さとライ角が設定されていますから、身長180センチの人や160センチの人には、このシャフトの長さやライ角は合っていないことになります。

そのため、アイアンを調整することで体型に合わせなければ使いづらいままです。

まずライ角はシャフトとの結合部分のヘッドを捻じ曲げて調整することができます。

ただ、捻じ曲げるにも限度があることと、そもそもアイアンにはステンレスのように硬くて捻ることができないヘッドもあるのです。

この場合にはシャフトの長さで調整するしかありません。

シャフトをカットすればグリップ位置は低くできますし、長いシャフトに交換すればグリップ位置は高くできます。

ただシャフトの長さを変えると、振り心地と飛距離が微妙に変わってくるため、距離感を把握し直すことが大切です。

ちなみに理論上は、ドライバーでシャフトの長さが1インチ変わると、ヘッドスピードが1m/s変わり、飛距離は5ヤード程度変わると言われています。

そのためアイアンショットの場合にはこれほどの距離差はないかもしれませんが、長さを変えた番手ごとの距離感を知っておくことは必要です。

標準的な体型から外れていればアイアンの長さで調節する

アイアンの長さは標準的な日本人の体型を基準にしていますが、手の長さや構え方の違いによって変えるべきスペックです。

シャフトの長さとライ角が合っていないと、正しいスイングが身につきません。

素材や構造のせいでライ角を変えることができなければ、シャフトの長さを変えて対応することが重要です。