ウェッジのロフト角60度って一般ゴルファーに必要性はある?

グリーン周りからのアプローチで、ピンポイントに狙うことができるロブウェッジの60度は使ったことがありますか。

コースコンディションや技量などから、その必要性についてさまざまな意見があるようです。

難易度の高い60度ですが、打ち方や合う合わないタイプを考えます。

60度のウェッジの必要性と扱える技量の問題

一般ゴルファーにとって、ロブショットが打てるロフト角60度のウェッジの必要性が議論になっています。

昔のコースレイアウトと違って、現在のコースは難易度が高くなっていて、いわゆる戦略的な作りになっています。

またグリーンの刈り込みも年間を通して4ミリをキープして、高速グリーン化しているところが増えてもいます。

「サンピプラス」などの液肥で芝の根に十分な栄養を与えた上で、散水量を減らすとコンパクションが高くなり、硬くて速いグリーンが出来上がります。

これは一般的にトーナメント用に仕上げるための管理法ですが、高速グリーンを作るゴルフ場では良くとられる手法です。

結果として普通にアプローチをすると、グリーンは硬くボールが弾んで、しかも転がって止まりません。

そこで高い球筋で真上から落とし、しかもバックスピンがかかるロブショットが必要となります。

現在のゴルフ場では必要な場面は想定させれますが、問題はそのロブショットを打てる技量があるかということです。

60度のウェッジを使う必要性はあってもトラブルは避けるべき

ロフト角60度のウェッジに必要性はあっても、それを使いこなす腕がないと、ただただトラブルの原因となります。

60度でボールを高く上げようとすると、それなりのヘッドスピードがなくてはいけません。

ところが極端にフェースが寝ている60度のウェッジでは、ボールの真下にリーディングエッジが入らないとトップします。

このとき普通のアプローチであれば距離に見合ったスイングなので、せいぜいグリーンオーバー程度ですが、ボールを高く上げるためにヘッドを走らせているので、トップしたボールは「ホームラン」になる恐れがあるのです。

そのため60度のウェッジを使う場合は、前提としてスイングが安定していて、スイングの最下点が寸分たがわずボールの真下に入れられる技量が必要です。

その上でボールが沈んでいないことが条件になります。

フワッと上げるイメージでスイングをするとヘッドの抜けが遅くなり、せっかくボールの真下にヘッドが入っても、打ち出すボールに力がなく二度打ちになる危険性もあるので、「振り抜く」スイングを心がけることが大切です。

60度のロブウェッジに体重移動するスイングの必要性はない

60度のウェッジを使うときは、ボールの真下を切るようなスイングイメージを持つことが多いようです。

芝に置かれたボールを横から見たとき、フェースの刃(リーディングエッジ)がボールと接地面との隙間に入るようにスイングをします。

これはすべてが間違っているわけではありませんが、この打ち方だとダルマ落としになる可能性があります。

ウェッジの場合、ヘッドをスライドさせてインパクトをするスイングは現実的ではありません。

ドライバーであればテークバックで右足の上に重心を乗せて、そこからダウンスイングで左足へと移動するので、ヘッドが直線する部分もありえます。

対してウェッジのスイングは、重心移動する必要性がありません。

重心移動をするのは飛距離をアップさせるためのもので、60度のロブウェッジにその必要はないわけです。

ところがヘッドをスライドさせるイメージを持ってスイングすると、手首を固定し左肘を逃がしてヘッドを走らせようとします。

結果として60度のロフト角がさらに開いて、ボールの下を通過しただけになってしまうことがあるのです。

必要性を感じて60度のウェッジを扱うときのスイング法

現在のコースの難易度を考えると、ロフト角60度のウェッジの必要性は誰もが感じるところではないでしょうか。

ただフェースの開いたウェッジを扱える技量がないのと、60度のウェッジを選択したことで、ホームランやダルマ落としなどのミスショットの危険性が高くなるため、使う場面がありません。

何よりもピンポイントに落とせる、ショットの精度がなければなりません。

それでは正しいショットの仕方を再確認してみましょう。

アプローチショットは、スイングの幅が小さいだけで、ヘッドの軌道は同じでなければなりません。

スライド型のパッティングのようなイメージだと、ダルマ落としになってしまいます。

芝に置かれたボールを横から見たとき、ヘッドは斜め上から弧を描いて、振り子のように降りてきます。

ボールの真下にリーディングエッジが入ったとき、フェース面でボールをとらえてます。

インパクト後もそのまま弧を描いてフォロースルーをとると、綺麗なロブショットになるのです。

つまり60度の角度を信じて、素直にスイングすればロブショットを打つことはできます。

必要性の高い60度のウェッジは手首の柔らかさが大事

ピンポイントに落とす技量が備われば、60度のウェッジの活用度はかなり高くなります。

打ち方は振り子をイメージしてスイングするだけで、フェースを開いたり横振りのスイングをしてはいけません。

60度のロフト角を信じてボールを打てば、必ず高いボールを打ち上げることができるからです。

問題は距離感です。

強く打ち出しても高く上がるだけで、極端に飛距離が延びることはありません。

一方で、ほんのわずかでもフェースが立ってしまうと、想像以上に飛んでしまい60度を選択した意味がなくなります。

インパクトでは正確なフェースの角度が重要なわけですが、そのために手首を固定すると、かえってマイナスになります。

アドレスではヘッドを揺らすワッグルをして、手首を柔らかくした状態でスイングに入りましょう。

ダウンスイングでグリップが身体の正面に入ってきたら、手首を振り子の基点にするイメージで振り切ると「抜けの良い」スイングができるはずです。

60度のウェッジの必要性を考えてバンス角のあるものを選ぼう

60度のウェッジを使う場面を想像してみてください。

グリーン手前のエプロンからは、転がすアプローチが効果的でしょうし、仮に二段グリーンであってもチップショットで十分なはずです。

そのような状況で、あえてリスクの高い60度のウェッジを使う必要はありません。

アプローチショットのボールがグリーンの奥にこぼれて、ピンまでは急勾配の下り斜面のような場面で、60度のウェッジの必要性があります。

ピンチの状態を切り抜けるリカバリーショットが期待されますが、そのときのライの状態を想像してみてください。

もしかするとボールは芝の途中に絡まった状態で浮いているかもしれません。

すると60度のウェッジが上手くボールの下に入っても、ダルマ落としになる可能性があります。

こんなときはソールの膨らみのおかげで、正しいインパクトができるバンス角のある60度のウェッジを使うべきです。

このような場面が想像されるのであれば、60度のウェッジはバンス角のあるものを選び、アプローチ用の56度はフェースを開いてロブショットを打つようになれば、実践で使う範囲は広がるはずです。

60度のウェッジの必要性を問うより使いこなす練習が必要

ウェッジでロフト角60度の必要性については懐疑的な意見が多く、持っていたとしても実際に使う場面は少ない、もしくは使いこなすことができないというのがその理由です。

確かに難しい道具ですが現在のコースレイアウトをみると、使いこなせるように練習することが必要なのではないでしょうか。