ゴルフ場で9Wの飛距離が必要なことって本当にある?

ゴルフクラブのラインナップに9Wを入れている人が多いようです。

安定した球筋とロングアイアン並みの飛距離は魅力ですからね。

そんな9Wのメリットとデメリット、さらには他のクラブとの比較や使い勝手の観点から検証します。

ゴルフで使い勝手の良い180ヤードの飛距離を持つ9Wの魅力

最近はキャディバッグの中を見ても、ウッドとアイアンだけの取り合わせは少なくなってきています。

それはドライバーの飛距離が格段に伸びたことと、ユーティリティが登場したことで、クラブ構成が変わってきたからです。

中間層の飛距離を持つゴルフクラブが増えてきたこともあり選択に迷うところですが、意外に使い勝手の良い9Wを入れている人が多いようです。

9Wの飛距離の目安は平均的な男性で180ヤードなので、アイアンなら4番、ユーティリティなら3Uといったところでしょうか。

ゴルファーによって違いはあるでしょうが、9Wを対象に構造的な難易度で考えると、アイアン→ユーティリティ→フェアウェイウッドの順でやさしくなってきます。

9Wが簡単だと感じるのは、小ぶりな割に重心が深いウッド形状のヘッドに理由があるからです。

4番アイアンであればダフリ気味にインパクトを迎えると芝の抵抗で大きく飛距離が落ちてしまいますが、小さなヘッドの9Wはソールの面積も少ないため、芝の抵抗が少なく振り抜けが良いうえに、深い重心で簡単にクリーンなショットができることから好まれているようです。

飛距離よりも直進性と安定感が9Wを選択するゴルファーの理由

9Wが人気なのは、振り抜けの良さだけではありません。

確かに9Wはラフからでも振り抜くことはできますし、ダフリ気味に入ってもソールが滑ってクリーンなインパクトができます。

これだけでも選択肢としては十分なのですが、9Wのヘッドがウッド設計だというのが最大のメリットなのです。

ゴルフクラブのヘッドが大きいことのメリットは、スプリング効果が期待できること。

スイートエリアに当てることができれば、打ち出すボールはトランポリンのように弾んで、インパクトの衝撃以上の飛距離が期待できます。

対してフェース面が小さくなるほどスイートエリアが狭いため打ち出す方向が定まらず、「どこに飛んでいくか分からない」というデメリットもあります。

初心者用ドライバーともいわれる平べったいヘッドは、とにかく直進性を優先したクラブです。

上下の幅を小さくし、後ろを長くすることで重心深度を深くして、慣性モーメントを最適化し直進性を増しているのです。

つまりとにかくやさしく使えるゴルフクラブが小さなウッドヘッドを持つ9Wというわけです。

飛距離で比べたら9Wより他のゴルフクラブのほうが使いやすい

9Wがいかに使い勝手の良いゴルフクラブであるか、およそ理解はできたと思います。

ただ飛距離という観点からみると、同じ飛距離を持つクラブがたくさんあります。

前述の4番アイアンやユーティリティ4Uだけではなく、ロフト角によっては5番アイアンや3Uも同じ距離になります。

なによりもボールコントロールという観点で考えると、180ヤードの飛距離を持つ9Wで距離調節をして175ヤードにすることは、アイアンやユーティリティよりも難しいかもしれません。

ドライバーショットが230ヤードだとして、ゴルフ場のコースレイアウト考えたとき、残り180ヤードになるのは410ヤードのミドルホールです。

平均的なレギュラーティでは長めのレイアウトなので、1ラウンドで1~2回使えれば良いところです。

もちろんティーショットがミスれば、使用回数は増えるかもしれませんが、それであれば距離がコントロールできる4番アイアンや4Uのほうが使い勝手は良いかもしれません。

飛距離の同じゴルフクラブがあるのに9Wを選ぶ理由

9Wのメリットとデメリットが理解できると、ゴルフクラブの選択は変わってくるかもしれません。

同じ飛距離であってもライや残り距離によってクラブ選択ができるようにと、9Wと4Uを一緒に入れておくこともあります。

これはウェッジでも同じで、1つはバンス角のないフェアウェイ用、もう1つはバンス角のあるラフ用と使い分けることがあります。

これらを可能にしたのは、ドライバーの飛距離が伸びたことと、ストロングタイプのアイアンが主流となったことが考えられます。

以前のゴルフセットは、3番アイアンからウェッジまででしたが、現在は5番アイアンからが一般的になっています。

もちろん代用できるゴルフクラブができたことも理由の1つですが、アイアンが飛ぶようになって以前の番手と比べると1番手から2番手下げても同じ飛距離を出せるようになったことで、ロングアイアンが必要なくなったと考えられます。

そうしてクラブの本数が減ったことで、重複した飛距離でも使い勝手で選ぶことができるようになり、セカンドショットのクラブが厚くなってきたわけです。

ゴルフメーカーが作った人気商品の後続版が飛距離で9Wに?

9Wを選ぶ理由を少し格好良く表現すると、テクニカルな面とクオリティな面で他のゴルフクラブと対比しても遜色がないと考えたからでしょう。

つまり小さなウッドヘッドが球筋を安定させて、ヘッドの振り抜きを良くしていることが、9W選択の大きな理由となっているということです。

ただこのクラブが「安定するから使った」というのは少し違うようです。

ゴルフメーカーが新たな商品を発掘する中に、女性用クラブとして使用されていたウッドセットに目をつけて、相応の飛距離を持たせて一流プロに使用させたところ、世界的な大ヒット商品となりました。

当初は7Wをヘブンウッドとして売り出し大成功を収めます。

いままでキャディバッグに入っていないクラブが開発されたわけですから、爆発的な人気となり後続商品が作られるようになります。

その後ドライバーの飛距離が伸びてきたことから、7Wよりも9Wのほうが使い勝手が良いということで、フェアウェイウッドの主力商品となっていったようです。

ゴルフ場で9Wの飛距離が必要なくなる時代がくるかも?

オールヒッコリーの時代のゴルフクラブは、フェアウェイウッドだけだったのかもしれません。

やがて硬いボールが作られ、それに見合ったアイアンができてきて、近代ゴルフが花を咲かせることになります。

時代が過ぎて素晴らしいクラブが溢れてくると、「売れるクラブ」を考えるようになります。

努力をしなくても簡単に飛ばせるドライバー、苦労せずにラフから脱出できる9W、そんな商品が人気となるのは当然のことです。

ただ簡単に操作できるクラブは、テクニカルなスイングをしても反映させることができないため、使用度の多いものだけが生き残っていきます。

その1つが9Wであったわけで、1Wから11Wまでのウッドの中でも使用率が高いクラブとされています。

ただ時代はいつも変化していて、この9Wに変わるクラブは必ず出現してきます。

9Wの飛距離が必要なくなるかもしれませんし、もっと安定性のあるクラブが開発されるかもしれません。

さらに自身の飛距離が低下してくるようになることも考えれば、将来性を考えて揃えるクラブではないということです。

今が使い勝手が良いと考えられるのであれば、キャディバッグに入れておくべきクラブといえるかもしれません。

ゴルフコースのレイアウトに9Wの飛距離が本当に必要か

セカンドショット用のゴルフクラブとして9Wは人気が高いようです。

ただ本当に飛距離180ヤードの9Wが使い勝手の良いクラブなのか、自分の飛距離とコースレイアウトと比較して考えてみてから、キャディバッグに入れるか検討したほうが良いかもしれません。