現代の女性のシャフトはレディース用の硬さでは物足りない!

女性用のシャフトとして「レディース」はありますが、実はシャフトの硬さにレディース用、メンズ用という区分はなく、男性が使っているシャフトを使っても問題はありません。

そこで今回は、レディースが選ぶべきシャフトの基準についてお話します。

レディースに合ったシャフトの硬さがイマ流ではない理由

ゴルフ用品で明確にレディース用とされているのはゴルフウェアくらいのもので、ゴルフクラブやキャディバッグはカラーやデザインを見て、皆さんが勝手にそう思っているだけです。

ただゴルフショップでは選びやすいように、レディース用としてゴルフクラブを別枠で並ばせてはいます。

女性が選ぶときに迷わないようにと配慮したものですが、その基準となるのは遅めのスイングスピードに合わせたシャフトの硬さや重さ、小さな手でも握りやすいグリップのサイズなど、一般的に男性が使うことのないタイプが並んでいることが多いです。

一方スポーツ界では女性の活躍はめざましく、サッカーや野球選手のフィジカルに一般男性は遠く及ばないようになってきています。

女性だから非力という考え方はすでに過去のことであって、自分のスイングに合ったクラブを選ぶのが「イマ流」の考え方となっています。

昔はレディースのシャフトと言えば、LシャフトかAシャフトと決め付けていましたが、いまではRシャフトを選択している人が多くなってきているようです。

レディースのシャフトの硬さが「L」になった理由とは?

レディース用のシャフトの硬さは、Lシャフトが基本となっています。

シャフトの硬さは、軟らかい順にL・A・R・S・Xが基本となっていて、メーカーによってはSRやXXなどさらに細かい硬さを設けているものもあります。

このうちLシャフトがレディース用とされているのは、省略文字のLがLadies(レディース)だからです。

つまりLシャフトは女性用として作られている、もしくは区分されているシャフトの硬さということになります。

そんなレディース用のシャフトとしては、LシャフトのほかにAシャフトがあります。

省略文字のAはAverage(アベレージ)ですから、日本語にすると「平均」という意味になります。

こちらはゴルファー全般に対してのアベレージですから、あえて女性用としての区分とはなっていないはずです。

それでもAシャフトを女性用としているのは、当初の区分にLシャフトやAシャフトがなかったことに原因があるようです。

実はシャフトの硬さ、つまりフレックス分類はまだ歴史の浅いものなのです。

シャフトの硬さ「A」はレディース用としてついでに作られた?

シャフトの硬さを区分したのは、スチールシャフトが作られて、しばらくしてからのことです。

初期は鉄のパイプを使っていたようですが、軽量化するために先端に向けて徐々に細くなるテーパーをつけます。

しかしながら製造コストの問題で、段差(ステップ)をつけるタイプも現れてきます。

このことでシャフトに弾力が生まれて、硬さと調子の違いが注目されるようになったわけです。

そこでシャフトの硬さを、R・S・Xの3つに区分します。

RシャフトはRegular(レギュラー)で「通常」を意味し、SシャフトはStiff(スティッフ)で「硬い」を意味し、XシャフトはExtra(エキストラ)のxからとった「特別」を意味する言葉をつけたのです。

この段階ではレディース用とされる、LシャフトやAシャフトはありませんでした。

1940年代半ば、つまり昭和20年前後にフレックスの区分ができたとき、女性もRシャフトを使っていたわけです。

ただ当時のレディースの人口は、いまよりもはるかに少なく女性用を作るだけの市場規模がなかったのかもしれません。

レディースゴルファーでも使えるシャフトが作られて硬さの目安は変わった

レディース用の硬さとして最初に作られたのは、Lシャフトだったようです。

まさにレディースという名の通り女性用に作られたわけですが、案の定レディースタイプでは物足りないという声が聞かれるようになり、Aシャフトが開発されたようです。

ただ、すべてのメーカーが同調したわけではないので、女性区分のあるメーカーと作っていないメーカーとでは、実際の硬さに大きな違いができてきます。

当初は規則正しくR・S・Xと区分してきましたが、Rの下にLを設けて、さらにLとRの間にAを設けたため、RやSの適用範囲が変わってきます。

さらに後発でAシャフトを作ったところには、Rシャフトとターゲットが重なるようになり、同じ表示でもメーカーごとに硬さが変わってくるようになります。

レディース用のシャフトを使わずに、Rシャフトを選ぶ女性ゴルファーがいたとしても、不思議ではなくなってきたのです。

そこでシャフトの硬さとヘッドスピードの目安が分かるように、適合表が作られていくようになります。

シャフトの硬さはヘッドスピードだけで決められない

レディース用のシャフトの硬さは、一概にヘッドスピードだけで決めることはできません。

シャフトの硬さの基準はメーカーによって違いますし、装着されているヘッドの重さやシャフトのキックポイントもヘッドの効きに影響するため、総合的に考えてシャフトの硬さを決めなくてはいけません。

そうは言っても目安となる数値は必要です。

一般的なヘッドスピードの目安は、Lシャフトが28~34m/sで、Aシャフトは32~36m/sです。

一般男性のヘッドスピードの平均が40m/sと言われていますから、Aシャフトは、およそ男性のシニアクラスのヘッドスピードと考えると良いかもしれません。

ただご承知のように、シニアとはいえ250ヤードを超えるドライバーショットを放つゴルファーは大勢います。

レディース用のAやLの区分がイマ流ではないのと同じように、「シニア=スイングが遅い」ということではなくなっています。

もちろん体力的な部分だけを比べると、現役世代のほうが勝っているでしょうが、シニアは技術で飛ばすことができます。

実はレディースもこの技術でヘッドスピードを上げて、飛距離を伸ばしている人が増えてきているようです。

レディース用のシャフトの硬さでは物足りない?

女子プロゴルファーの多くは一般男性と同じくらいのヘッドスピードなのに、飛距離は20ヤードオーバーの250ヤードがアベレージになっています。

しかもゆったりしたリズムで、インパクトの前後以外は涼しい顔でスイングをしています。

以前は大きなスイングアークで飛距離を狙っていましたが、現在は体に巻きつくようなボディーターンに、インパクトで頭を右側に残すビハヒンドザボールのフォームが一般的になってきています。

そうなるとスイングアークを大きくして、シャフトのしなりとしなり戻りで飛ばしていた時代ではなくなり、シャフトの硬さが必要になっていきます。

レディースであってもシャフトの硬さがRやSRもしくはSのほうが、ヘッドコントロールのできる便利なクラブとなってきたのです。

これから目指すゴルフスタイルにもよりますが、一定のスイングができるようになったら、リストターンを使うフラットな横振りのスイングを狙っていくことになるでしょから、いわゆるレディース用よりも硬さのあるシャフトを選んだほうが良いかもしれません。

シャフトの硬さはレディースに縛られる必要はない

女性ゴルファーがクラブを選ぶとき、シャフトの硬さをレディース用に絞る必要はありません。

男性同様に自分のスイングに合ったものを選べば良いだけです。

特に近年はスイングスタイルが変わってきているため、女性でもRやSRを好んで使っても良いのではないでしょうか。