テークバックでヘッドをボールの後ろに引く動作を見かけますが、それはゴルフスイングはフェースが開いて閉じることを理解していないのかもしれません。
そこで正しいスイングを理解することで無駄な動きを排除し、方向性の安定と飛距離アップが実現できる方法を紹介していきます。
ゴルフスイングの原理は「フェースを開いて閉じる」もの
ゴルフスイングについての禅問答のようですが、「インパクトとはフェースを開いて閉じること」なのです。
それを知るために、スイングについて確認してみましょう。
まず背骨を軸として円を描くようにスイングしますが、このスイング軌道をインサイドインと言います。
ターゲットとボールを結ぶ線(ターゲットライン)を境にして、手前側がインサイド、反対側がアウトサイドです。
ゴルフスイングには、インサイドインのほかにインサイドアウトやアウトサイドインの軌道があります。
多くのゴルファーはアウトサイドイン気味のスイングになっていますが、「自分はアウトサイドから振り下ろしていない」と思い込んで修正をしないため、いつまでたってもスライスが直りません。
スイングを頭上から見たときに2時から8時の方向にヘッドを動かすのがアウトサイドインですが、この時計の文字盤は非常に小さな円で、身体の厚みにプラスアルファした程度のものです。
グリップを高い位置に掲げると、仮にトップの位置がインサイドであってもアウトサイドを経由して振り下ろすことになり、インパクトでフェースを閉じることができずにスライスしてしまいます。
ゴルフスイングで開いて閉じるフェースの動きと仕組み
アドレスでゴルフクラブを構えたとき、腕とシャフトの角度はおよそ120度です。
ノーコック打法であれば、この120度を変えずにトップまで引き上げますが、通常はコックを作るのでトップでの手首の角度は90度になります。
このコックは意識をしなくても自然にできるものですが、90度の角度が甘くなってしまうことがあるので、コックの状態を確認することが大切です。
問題はこの90度のコックを元の120度にするタイミングです。
テークバックで徐々にコックを固めてきたのであれば、ダウンスイングでも同じように徐々にほどいていくのが分かりやすいでしょう。
しかしながら、ゆっくり引き上げたテークバックのスピードと、強いインパクトを狙うダウンスイングのスピードは違いますので、のんびりコックをほどいていたらインパクトに間に合いません。
つまりインパクトまでに120度の形に戻すのが間に合わないと、フェースが開きスライスすることになります。
逆にコックをほどくタイミングが早すぎても、インパクトで右手がかぶってフェースは閉じることになります。
右手をかぶせてフェースを閉じるゴルフでスライス防止
ゴルフスイングを頭上から見たときは、回転軸を中心に円の動きをしています。
一方で飛球線の後方から見たときは、左斜め上から右斜め下に向けて振り下ろしています。
一般的に横に振るよりも、縦に振り下ろすスイングのほうが位置エネルギーも相まって強いインパクトができそうな気がするものです。
ただ実際には横に振る円のスイングのほうが、ヘッドスピードを加速させることができます。
そもそもトップの位置からインパクトまでの短時間で、徐々にコックをほどくことはできません。
インパクトの直前にコックをほどくタイミングを決めておいて、同時に右手をかぶせるようにすべきです。
90度のコックのままでトップから振り下ろすと、身体の右横にあったグリップはアドレスの位置まで戻ってきます。
ここで90度のコックを一気に120度に戻して、地面と平行だったシャフトを前(ヘッド)下げて傾けます。
同時に飛球線と平行だった左手甲を90度左回転させて、垂直に向けると正しいインパクトができるはずです。
あとはスイングの勢いで遅れるヘッドをカバーするために、右手をかぶせるとフェースが閉じるのでスライスを防ぐことができます。
ゴルフスイングでフェースを閉じることの必要性を確認
もう少し詳しくヘッドの遅れをカバーするコックの役割を確認しましょう。
まずアドレスしたまま左手甲を飛球線と平行にします。
ゴルフクラブを構えて、そのままグリップを右に90度回転させると、左手甲は飛球線と平行になるでしょう。
この状態でコックを作ります。
腕を動かさずにヘッドだけを引き上げて、シャフトが地面と平行になると、左手首は90度になりコックができます。
このコックを使うことでヘッドスピードを加速させることを確認します。
アドレスの姿勢でコックを作って、そのまま腕を動かさずにコックをリリースして、ヘッドを前下がりにします。
このとき左手甲を90度左回転させてアドレスの形に戻してください。
そうするとヘッドは右から左に90度回転した横のスイングと、腰の高さから地面まで振り下ろされた縦のスイングを手首の動きだけでできたことになります。
この動作をダウンスイング中に行えば、腕を振るスイングスピードよりもヘッドスピードは加速されるので、強いインパクトができることになります。
ただヘッドの動きが速くなるためシャフトがしなり、ヘッドが遅れてしまいます。
そこで右手の親指をかぶせるオーバーザトップにするとフェースが閉じるので、フェースの遅れを取り戻すことができるというわけです。
普通にゴルフスングしてもフェースは閉じるもの?
回転軸を中心としたゴルフスイングでは、インパクトの寸前までフェースは開いてインパクト後には閉じることになります。
グリップの動きに対してヘッドが遅れるのは、シャフトのしなりによるものです。
ただコックを使っても使わなくてもフェースは開いた状態で入ってくるため、インパクトでは閉じる必要があります。
この状況を確認するのは、ヘッドの軌道を頭上から見ると分かりやすいかもしれません。
ここでは分かりやすくするために、時計の文字盤に例えて3時から9時までのスイング軌道で表します。
0時がボールの位置で、3時からダウンスイングを開始して9時でフィニッシュを迎えることしたとき、3時から0時までのフェースは開いた状態になっています。
この開いた状態とは飛球線に対する角度なので、回転軸を中心としたスイングでは飛球線上にあるボールに向かっていくと、フェースは必ず開いていなくてはなりません。
そしてインパクトでスクエア(垂直)になり、その後は閉じることになります。
つまり、普通にスイングをしていてもフェースは閉じることになるといえます。
勝手に開いて閉じるフェースローテーションのゴルフスイング
普通にスイングをしていても、ダウンスイングでフェースは開いていて、フォロースルーでは閉じることになります。
これを正しいスイング軌道と考えると、スイングの勢いでシャフトがしなることで、フェース面がより開く部分は修正しなくてはいけません。
しかしながらスイング中にヘッドの遅れを修正できる方法は限られます。
そのためインパクトの直前に「右手をかぶせる」わけですが、このタイミングが早すぎるとフック、遅すぎるとスライスすることになるのです。
そこで、この右手をかぶせる動作をパターン化させてゴルフスイングに組み込めば、何も考えずにインパクトができるようになります。
これが「フェースローテーション」です。
テークバックでフェースを開くことを意識しすると、ダウンスイングでは身体が勝手に元に戻そうとしてフェースを閉じてくれます。
このフェースローテーションを身につけると、方向性が安定するのはもちろんのこと、力まずに楽なスイングをしても飛距離アップができるようになります。
円を描くゴルフスイングではフェースは開いて閉じるもの
軸を中心として円を描くゴルフスイングでは、ボールをインパクトする前後でフェースは開いて閉じるものです。
それを理解していないとヘッドを後ろに引くテークバックをしたり、上から鋭角的なダウンスイングをしたりすることになります。
そこでフェースを開いて閉じるフェースローテーションを身につけると、楽に飛距離アップができ、方向性も安定してくることでしょう。