ゴルフ場では服装の規定を設けているところがあり、防寒対策であるタイツについても、「見えないように」着用するのがマナーとなっています。
そこでタイツの活用法と、女性にとってショートパンツにタイツがスタンダードな服装であったとしても認めない、ゴルフ場の服装規定について考えていきます。
ゴルフ場では防寒用の服装にタイツこそが最適?
地域にもよりますが、日常生活でタイツを身につけて生活する機会は減っているのではないでしょうか。
防寒のための服装であるタイツを必要とするほど、室内が寒いと感じることが少なくなったのは、建物自体の機密性と効率的な暖房機器によるものです。
また外出しても公共交通やフリースペースで、タイツがないと我慢ができないと感じる場面は少なくなっているため、通常の生活ではタイツなどを着ることが少なくなっています。
そうして理由で日常的に使用しないタイツですから、使用する理由がなければ購入することもないと思います。
しかし1日中屋外にいるゴルフ場では、冬季の必須アイテムとして重用されています。
基本的にタイツの役割は、温かさを求めるためのものです。
身体から放出される熱をいかに逃がさないようにするか、その保温性がタイツには求められているわけです。
ただゴルフと言うスポーツで着用するのですから、保温性と同時に蒸れを防ぐ機能や動きやすい生地なども必要になっていきます。
ゴルフ場でのタイツ姿は服装のマナー違反になるの?
ゴルフにおけるタイツは、暑ければ重ね着を脱ぐといった感覚ではなく、あくまでもズボンの下に穿くインナースーツとして考えるのが普通でしょう。
ただし女性を中心に、ショートパンツとタイツを組み合わせる服装は、いまや珍しいコーデではありません。
素足を見せることが服装におけるマナー違反であると定めているので、短い丈のズボンを穿くときにはロングソックスを履くことになっています。
しかしタイツで素足をすべて覆えば、本来の趣旨からするとなにも問題はないはずです。
ところが防寒タイツしか使い道を知らないゴルフ倶楽部の理事達の中には、「タイツは下着の一種だ」と認めないところがあるのです。
巷に溢れているTシャツを、いまだに下着だと認めないのと同じで、タイツは下着だと区分してしまったので、いまさら引き返すことができないのかもしれません。
一方でゴルフの伝統的な服装に、ニッカポッカがあります。
膝下で裾をとめる短いズボンのことで、正しくはニッカポッカーズ、またはニッカボッカーズというそうです。
これを着用するときは、ロングソックスでもタイツでも問題ないようなので、男女でのダブルスタンダードが気になるところです。
日本と海外のゴルフ場では服装としてのタイツの扱いが違う!
タイツが外に見えても大丈夫なニッカボッカは、もともと子供服だったそうです。
その子供服をゴルフに用いたのは、審判のいない競技だったことが原因のようです。
当時、ズボンの裾からボールを落としてズルするゴルファーが増えたことから、身の潔白を示すために裾なしのズボンが流行って広まったと言われています。
このころは裾のない服装のほうが公正な競技者であり、その象徴がタイツやロングソックス姿のゴルファーだったようです。
この流れを汲む女子プロ最高峰のLPGAでは、「タイツ姿のときはスカートやショートパンツを重ね着する必要がある」と規定で定めていて、米国では女性の服装としてタイツは認められています。
ところがローカルのゴルフ倶楽部では、タイツが下着認定されることもあるのです。
倶楽部の服装規定は、世の中の常識からかけ離れていても、維持している会員から不満が出なければ変えることはないのかもしれません。
保温性だけの服装ではないゴルフ用に進化したタイツ
ゴルフにおけるタイツは、保温性とファッション性のほかにクールタイプもあります。
現在の生地素材は、発汗によって発熱したり逆に涼しく感じられたり、また紫外線予防など、暑い夏に適したタイツが開発されています。
特に近年の猛暑は「生命の危険を伴うほど」と言われているわけですから、倶楽部は古い固定概念やファッションセンスを振りかざすだけではなく、その暑さに対応できるだけの寛容さを持ち合わせなければならない時代になっていると考えられます。
そのため、プロゴルファーが着用している高機能のインナーシャツを、アマチュアゴルファーにはマナー違反だと認めないのは、もはや時代錯誤と言って良いのかもしれません。
一方でゴルフ場に馴染む色合いやデザインは、個々に考えなくてはいけないのも確かです。
シンプルでシックな色づかいの服装が、ゴルファーとしてのマナーと言われている中で、ピンクやイエローの派手なタイツは控えるべきでしょう。
やがては、派手な色も自己主張や表現と容認される時代が来るかもしれませんが、もしそうだとしても「今ではない」ことは確かです。
ゴルフ用の服装としてタイツに重ね着すると疲労が蓄積する?
機能性の高いタイツですが、運動するという観点からすると、重ね着の服装はマイナスに作用することが多いようです。
通常のズボンの中にもう1枚タイツを着用すると、ズボンとタイツで強い摩擦が起きて、歩くたびにその抵抗を受けるので負荷を感じることになります。
ゴルフ場を18ホール歩き、ショットのためのスイングやパッティングの準備などで、思っている以上に疲労は蓄積されていきます。
もちろん寒さを防止する観点からは、摩擦による熱エネルギーは保温をサポートしてくれるのでプラスになりますが、それを上回る疲労感が蓄積していくと、後半はショットを乱していくかもしれません。
タイツはなるべく身体に密着するタイプを選び、表面がズボンの下地と摩擦の起きないものにしましょう。
また、ファッションセンスを抜きにできるのであれば、太めのズボンを選ぶと、タイツとの摩擦が少なくなるので生地の素材や表面加工を気にすることはありません。
タイツ姿の服装がゴルフ界を変えていく?
「タイツ」と表記していると「冬の服装」のイメージが強いですが、最近はレギンスと表記されていることが多いようです。
テニスの大阪なおみ選手がメジャー優勝したときの相手選手が、その前の試合で着用していたのがレギンスと一対のボディスーツでした。
ボディラインが強調されているファッションだったことから注意を受けたのですが、出産直後の復帰戦で着用した補正のための服装だったことから、裁定に問題があると批判を受けたことがありました。
いずれゴルフ界も同様のケースは出てくると思いますが、いまのところは「その理不尽さ」を美徳と感じる人が多いので、転換するにはもう少し時間がかかるように思います。
しかしながらいつかは、全身タイツ姿の「もじもじクン」のような服装のプレーヤーが現われるときが来るかもしれません。
それを望むかは別ですが、たかがタイツを着たくらいで目くじらを立てるようなゴルフ界ではなく、もっと時代に則して開かれたものになって発展して欲しいところです。
タイツの進化によってゴルフ界の服装規定は見直されてほしい
世界のトッププレーヤーが着用を認められているタイツなのに、ゴルフ場における服装規定だと着用方法を工夫しなければならないようです。
伝統を受け継ぐことも重要ですが、暑さ寒さを防ぐためだけの機能を兼ね備えているスタンダードなファッションと言う観点もあること考慮して、開かれたゴルフ界になってほしいと思います。