ゴルフは「あるがまま」が本来のスタイルですが、ローカルルールやプライベートルールで「今日は6インチリプレース」と言われることがあります。
今回はタッチプレーの是非はともかく、語句の使い方や6インチに対する考え方などを紹介します。
ゴルフのルールとして6インチリプレースは変?
ゴルフ場で「今日は6インチリプレースで行こう」と言われることがあります。
そうした同伴者の中でのルールとして、タッチプレーにしようと決めることは自由ですが、コースがローカルルールとして設定していないのですから、本来はルール違反になってしまいます。
勝手にボールを拾いあげて別な場所に動かすと誤所からのプレーになるので、2打のペナルティが科せられます。
そして戻さずにそのままプレーを続けると、ルール上で言えば競技失格になって最後までプレーができない「NR(ノーリターン)」になる場合もあります。
もちろんプライベートのゴルフであればそこまで厳密なルールの適応はしないでしょうし、そもそもノータッチのコースで6インチを持ち出すのですから、ルールは気にしていないのかもしれません。
そんな6インチのタッチプレーですが、常態化している国は日本ぐらいで、他の国のゴルファーが日本人プレーヤーを見て、「なぜボールに触るんだ!」と驚く話は有名なことです。
ゴルフの基本はあるがままなのに6インチリプレースのルール
ゴルフは「あるがままの状態」でプレーをすることが基本なので、海外では「6インチリプレースで行こう」なんて発想すら浮かびません。
これはゴルフの楽しみ方の違いでもあって、日本人は良いスコアでプレーをする、結果重視が多いようです。
一方で日本人以外のゴルファーは、コース内での1つのプレーについての対処法や良いショットを楽しみます。
いつも見えない誰かと戦っている日本人ゴルファーにとっては、ベストスコアを目標に掲げてひたすら苦しんでいることに幸せを感じているのかもしれません。
そんな日本人の中で楽しめる(結果が良い)ゴルフのルールが、6インチのタッチプレーなのでしょう。
コース状況が悪いときのルールであるプリファードライは、救済の基点(旧ニアレストポイント)からワンクラブ・レングス以内にドロップです。
そんな大げさな所作をせずに、罪悪感もなくルール内でライの改善ができる6インチは、ルールに厳格でありたい日本人の気質にも合っているのかもしれません。
そもそもゴルフルールに「6インチリプレース」はない!
ちなみにゴルフのルールには、「6インチリプレース」という言葉はありません。
「6インチ」は距離を表していて、メートル法では約15センチになります。
6インチ以内ですから、実際にはボールを横に置く程度と考えた方が良いかもしれません。
もちろんですが、「6インチの6インチ」はできません。
1回のプレーでタッチできるのは、1度だけにしています。
また「リプレース」はボールを触って移動することだと思いますが、その言葉に間違いがあります。
「リ」は元に戻すことで、「プレース」は置くことですから、元の位置に戻さなくてはいけなくなります。
つまり2つの言葉を組み合わせると、「15センチ以内の元の位置に戻す」という哲学的な答えが導かれます。
そう考えると正しい言葉は「6インチプレース」ですが、コレだけでは不完全です。
タッチできる場所を明確に設定しないと、グリーン上やバンカー、ハザードの中でも適用できることになってしまいます。
結果的に「ジェネラルエリア(旧スルーザグリーン)6インチプレース」が、一応は正しい言葉の使い方になるのではないでしょうか。
6インチリプレースがゴルフルールでないと指摘したい?
ゴルフのルールには「6インチリプレース」なんて言葉がないと知ると、間違って使う人に指摘したくなるものです。
長い目で見るとその間違いを使い続けているほうが、あとからのダメージは大きくなるはずです。
しかしながらスタート直前に指摘すると、気まずい雰囲気になることがあります。
特に仲間内のルールを発案する人は、ゴルフの先輩かもしくは会社での上司にあたることが多いはずだからです。
関係性は別として、これからスタートと言うときに「6インチをリプレースしたらどこに持っていくのですか?」なんて挑戦的に問い正すと、場がしらけてしまいます。
もともとゴルフは英国の言語を使っていることが多いので、6インチリプレース以外にも日本人には馴染みのない言葉はあるものです。
最初に打つ人を「オーナー」と呼ぶ人もいますが、正しくは「オナー」で栄誉という意味になります。
こんな言葉の間違いを教えてあげるのは、クラブハウスに戻って食事をするときでしょう。
本日のプレーを振り返りながら軽い口調で伝えると、プライドを傷つけることはないはずです。
ゴルフコンペのルールに「6インチリプレース」と表示
ゴルフコンペの案内文に「6インチリプレース」と掲示されているとしたら、ルール上の解釈はできていても、あえて発信者に知らせないことがあります。
日本人的というのか、労をとっている人に「恥をかかせる」ことが恥と考える文化があるからです。
ただ案内文を読み、ルールを知っていたなら「なんだコレ?」と感じる人もいることでしょう。
いまはメールなどで簡単に知らせることができますので、
「誤字がありました。6インチリプレース→6インチプレース」
と送信すれば、受けた側が自分で調べて誤りに気がつくはずです。
また当日配布される組み合わせ表にも、正しい6インチプレースが表記されているはずです。
もしもメールを送受信するような間柄でなければ、いち早く出欠の返信をして、欄外に上記の誤記についての文章を加筆しておくと良いかもしれません。
このような気遣いがあれば、指摘されたほうも感謝こそすれ恥をかかされたと思うことはないはずです。
和製英語の6インチリプレースに厳密なゴルフルールは必要?
6インチリプレースは和製英語みたいなものですが、多くのゴルファーが勘違いで使っています。
勘違いの中ではリプレースの活用以外にも、プレスがあります。
プレース(place)は置くですが、プレス(press)は押し付けることです。
芝面に押し付けると潜ってしまうので、さすがに言葉通りの行動をすることはないと思いますが、日本人にとってはちょっとした言葉の違いであっても気をつけたいところです。
また気をつけなければならないものが6インチの距離感です。
ゴルフをするときにメジャーなどを持ち歩いていませんので、自分の感覚で移動ポイントを決めることになります。
もしも不安であれば、スコアカードを開きましょう。
スコアカードを開いた横幅は、6インチと定められています。
最近はもっと横に広がるタイプもありますが、はじめてスコアカードが採用された第6回全英オープンで、スコアカードの横幅は6インチと決められていて、それ以降正しいスコアカードのサイズとなっています。
なおスコアカードのサイズが違うときは、2センチほど短くなりますがボールを3個並べると6インチ以内にプレースすることもできます。
ただこの6インチをどこまで厳密にやるか、もともとジェネラルルールにない特殊なものなのですから、神経質になる必要はないかもしれません。
ゴルフに6インチリプレースはないけれどルール遵守は必要?
正式なゴルフルールには、6インチリプレースなどという言葉はありません。
リプレースの誤用もありますが、ノータッチがゴルフの基本なので、本来はワンクラブ・レングス以内にドロップが選択されるはずです。
それでも「ルール通り」を気にするようであれば、ホールに近づかずに15センチ以内に置き直すようにしましょう。