アイアンの中にウェッジがあるのか、それともウェッジは新たな区分なのか、知っているようで分からないことはあるものです。
またウェッジの中にも使い方の違いによって、ピッチングウェッジやサンドウェッジなどと分かれています。
今回はアイアン全般の中でのウェッジの役割と位置づけについて解説します。
アイアンはロフト角の違いでウェッジになる
ヘッドが木製でできているのがウッド、鉄製でできているものをアイアンと区分したのは、かなり昔のことです。
今ではパーシモンのヘッドは、ビンテージ品でしか見ることはなくなり、チタン製がウッドの主流となっています。
一方でアイアンは昔ながらの軟鉄製法はフォージトと呼ばれるようになりましたが、今も主流のアイアンのままです。
そのほかにもステンレス製などもあり、さまざまな形状で作られて付加価値がついてきています。
またアイアンには、9番アイアンよりもロフト角が開いているものをウェッジと呼ぶようになっています。
ほぼすべてのゴルファーがピッチングウェッジとサンドウェッジは、キャディバッグの中に納めているはずです。
最近はこのほかにアプローチウェッジを入れるゴルファーが増えてきています。
昔のコースとは違い明らかに難易度が高くなったことと、クラブ全般が飛ぶようになったことで、ショートゲームのクラブセッティングが厚くなってきたと考えられます。
アイアンとウェッジの違いは距離だけで決める?
基本的にはアイアンの中のバリエーションがウェッジなので、ルール上に違いはありません。
ゴルファーの考え方は個々によって違いはありますが、アイアンはピンポイントにボールを運ぶ道具です。
長距離を狙うものをロングアイアン、中距離を狙う道具をミドルアイアン、短い距離に使うのがショートアイアンと分けて表現します。
さらに短く距離を調節したり、球筋を変えたり、もしくはバックスピンの効いたショットを打つときに使うのがウェッジです。
距離を出す道具ではありませんが、ピンに絡めるようなアプローチの場面では活躍します。
特に急斜面の5ヤード先にボールを落とすアプローチで、ロブショットを選択した場合には、ロブ用のウェッジを使えれば比較的簡単にロブショットを上げることができます。
つまりそれぞれの役割に合ったクラブ選択ができ、またそのクラブを操ることができる技量があればターゲットに近づけることはできるはずです。
ウェッジを使う場面は微妙に違いがある
グリーン周りからのアプローチは、数あるアイアンの中からウェッジを使う場面が多くなります。
ただそのウェッジの中にもいくつかの種類があって、それぞれに微妙な違いがあります。
まずチェックするのは、ロフト角の違いです。
各メーカーやモデルはそれぞれに独自のロフト角を設定しているので、ピッチングウェッジというだけでロフトの角度に統一基準があるわけではありません。
各ピッチングウェッジのロフト角がバラバラだということを前提に、目安とするロフト角を48度とします。
これはいわゆる過去のスタンダードタイプのピッチングウェッジですが、近年は飛ぶアイアンといわれるストロングタイプが主流となってきています。
ストロングタイプのピッチングウェッジのロフト角は40度です。
このストロングタイプのピッチングウェッジを、スタンダードタイプの番手と比較すると8番アイアンに当たります。
そうすると、ストロングタイプのウェッジはグリーン周りからのショートアプローチ用とはいえなくなってきているとも考えられます。
サンドウェッジとアイアンとの違いはソールの膨らみにある
サンドウェッジがアイアンと大きく違うところに、ソールの形状があります。
サンドウェッジは名称でも分かるように、バンカーの砂の上で使うように作られた特別な道具です。
芝の上のボールは芝草の中に沈んでいたとしても、地面の中までも沈んでいることはありません。
しかしバンカーの中に入ったボールは、自重によって砂の中に多少なりともめり込んでいます。
例え1ミリであっても砂の中に入ったボールを打ち出すためには、その砂に接地している最下部にフェースを正確に入れなくてはいけません。
スイングの最下点をボールの真下に定めても、砂の抵抗を受けて正しいショットができなくなるのがバンカーです。
そこでサンドウェッジは他のクラブと違い、ソールに膨らみを持たせて、ヘッドが砂に接触しても弾かれるようにしたわけです。
バンスをボールの手前で打ちつけると、砂が爆発してボールと一緒にバンカー外に脱出できるような打ち方をエクスプロージョンショットといいます。
違いが分かりやすいアプローチウェッジ
バンスのあるサンドウェッジでエプロンやカラーにあるボールを打とうとすると、ソールの膨らみが邪魔をしてリーディングエッジが浮いてしまいトップする可能性があります。
そこでサンドウェッジとは違い、バンスを少なくしたのがアプローチウェッジです。
リーディングエッジの浮きを抑えて、しかもソールが滑るような構造で作られています。
フェアウェイやエプロンなど、芝を短く刈り込んだ上にあるボールをとらえることができ、ラフの中でもヘッドを走らせることができる構造です。
距離や球筋、ライの状況などの条件によって、ロフト角を変えたバリエーションが揃えられています。
現在では単にアプローチウェッジと呼称する場合もありますが、アイアンとしてロフト角をそのまま呼ぶことが多くなっています。
56度、58度、60度と他のウェッジとは呼び名でも違いがあります。
また60度やその上の62度などはロブウェッジと呼ばれていて、アプローチウェッジの枠からさらに分岐したウェッジということになります。
ウェッジがアイアンと違い進化した理由とは
9番アイアンをニブリックといっていた時代に、サンドウェッジが作られて衝撃が起こったことは想像がつきます。
ウェッジとは、立ち木を切り倒すとき使うクサビのことです。
砂の中にクサビをドーンと打ち込んだだけで脱出できるのですから、相当便利なものだったと考えられます。
その後ソールを膨らませるバンスが確立し、それまでと違いさらに便利になっていきます。
時代とともにコースの整備が進んでいく中、それまではジガーやチッパーで転がすアプローチが主流でしたが、止まる球が必要になってきます。
すると誰もがアプローチ用のサンドを持つようになり、やがてアプローチウェッジとして確立されていきます。
時代のニーズによって道具は進化していて、特にアイアンはウェッジに限らず、ほかにも進化を遂げたものがあります。
簡単に打てると開発されたタラコは、やがてユーティリティとして距離を出せるアイアンとなりました。
一方で復刻したのはチッパーです。
時代から忘れ去られていた往年の名器が、アプローチイップスを救済する道具として注目され、その確実性から現在ではウェッジと同様にアプローチ用の道具として使われています。
今後も時代の流れによって、新たなアイアンが開発されることも考えられますが、それがいつになるかは今のところ誰にも分かりません。
今までと違いアイアンのストロング化でウェッジも飛ぶ
アイアンの中にあるアプローチ用の道具をウェッジと総称していましたが、近年のストロング化によって、ピッチングウェッジでも過去の8番アイアンに匹敵する飛距離が可能になってきています。
またチッパーの復刻でアプローチの役割があるクラブが増えてきているので、今までとは違いロフト角で呼ばれることが多くなるかもしれません。