数あるパターの握り方の中に右手の人差し指を伸ばして、グリップのサイドに這わせているものがあります。
ただその理由が、方向の安定性かもしくは強くストロークするためなのか、その効果のほどが分からないというゴルファーがいるようです。
そこで人差し指を伸ばす握り方のどこにメリットがあるのか解説します。
パターに不安があれば人差し指を伸ばした握り方がおすすめ
パターの方向性に不安があるとき、少しだけ握り方を変えると気分が一新して思ったラインに転がすことができるものです。
パッティングラインに対して真っ直ぐに打ち出すためには、インパクトのときのフェース面がスクエアであることが重要です。
要はラインに対してフェースを垂直にセットすること、そしてストロークでもその形が変わらないことです。
そのために右手の人差し指をグリップの側面に這わせている人がいます。
右手の人差し指を伸ばすためには、グリップを握るときの右手の角度が少し変わります。
拍手を打つように両手を合わせて、人差し指に沿ってグリップを挟むようにします。
そうすると右腕と右手には角度がなくなり、両肩とグリップの三角形のフォームが出来上がるはずです。
これで右手の手のひらとフェース面が一致するので、手のひらをターゲットに押し出すイメージでパッティングすれば、正しい方向にストロークすることができます。
人差し指を伸ばしたパターの握り方で上手くなれるのか
右手の人差し指を伸ばした握り方であれば、「手のひらで押し出す」のですからパターが簡単になったように思えるはずです。
手のひらで押し出すイメージで、しかも人差し指の腹の部分がシャフトを安定させるので、方向性が出しやすいという利点があります。
また指を伸ばしたことで、右手首が甲側に折れなくなることから、軽く握ってもヘッドが無駄に揺れることもなくなります。
こうした良いことばかりの握り方ですが、人指し指を伸ばしているゴルファーは少ないはずです。
特に最高峰の世界ツアーに出場しているトッププロの中では、ほぼ見ることはありません。
テレビに映る選手では、2018年の賞金ランキング3位で2017年は8位だったブルックス・ケプカ選手がいました。
ランキング上位者のパターの握り方として考えると参考に値すると思いますが、如何せんケプカはパター巧者ではないかもしれません。
賞金ランキング3位のとき平均パター数は32位ですし、賞金ラインキング8位だったときの平均パター数は4位でしたが、そのときのパーオン率は148位、つまり寄せワンだったことが分かります。
人差し指を伸ばす握り方に意味はあるのか
世界トップを狙うケプカ選手のウィークポイントがパターであれば、握り方を変えて人差し指を伸ばして構える理由は想像がつきます。
しかしながらケプカ選手のデータを分析すると、パターが苦手だからこそ人指し指を伸ばしているのであれば、もし人差し指を伸ばしていなければもっとパターの成功率は落ちていたのかもしれません。
ちなみにパターが苦手でなければ、変則的な握り方はしないものです。
もともとパターが得意なのにイップスにかかったことで、ヘッドコントロールやストロークができなくなったときに変則的な握り方をするものです。
この変則的な握り方は「メチャクチャ」ということではありません。
理にかなったストロークを極限の状態にしたのが、変則的なフォームとなっているわけです。
理にかなうフォームとは、左肩に基点を設けて振り子のようにヘッドを揺らすこと。
テークバックはヘッドを持ち上げるだけなので、右手でパターのシャフトを引きます。
トップの位置では手を離すようなイメージでヘッドの重みでストロークします。
至ってシンプルなストローク法ですが、外面的には変則的に見えるのです。
パターで人差し指を伸ばすのはやめたほうが良い?
ヘッドの重みを感じて振り子のようにパターを動かすパッティングと、右手の人差し指を伸ばして手のひらで打つパッティングでは根本が違います。
右手で押す動きは、ヘッドをスライドさせるパッティングになっているはずです。
右手の人差し指を伸ばしてグリップの側面に這わせる握り方は、ヘッドの重みに関係なく右手を使ったストロークになります。
手のひらをターゲットに向かって動かすには、グリップを傾けずに地面と平行に移動させるなければなりませんし、ヘッドの高さを極力変えることもありません。
ボールの側面の頂点部分にパターのフェース面を合わせて、その高さを変えずに引くことができなければ、正しいストロークはできないことになります。
スライドタイプのパッティングをした経験があると分かりますが、ソールの高さを変えずに真っ直ぐ引こうとするとヘッドが揺れるものです。
「真っ直ぐに引く」という想いが強いために、コントロールが難しくなっているのです。
簡単なストロークにするはずが、かえって難しいパッティングスタイルになってしまうのです。
パターの握り方で人差し指を伸ばさなければならない理由
スタンスの中央にボールを置いて、パターをセンターで構える握り方をするのは振り子式のパッティング法です。
スライド式の場合には、ボールを中央に置くと真っ直ぐに引ける限度が短くて、ロングパットは難しくなります。
上半身を左右に動かさないとして、ソールの高さが変わらないようにテークバックできる限度は右足の親指辺りです。
引き幅にして、およそ20センチしかありません。
ショートパットや下り斜面であれば、20センチの引き幅でも十分かもしれませんが、上りのロングパットなら、ショートする可能性があります。
そのためスライド式の場合、ボールは左足親指の前に置くようにしましょう。
20センチ引いたところで、ヘッドの位置はスタンスのセンターです。
これであれば右手の人差し指を、グリップのサイドに這わせて手のひらで押すパッティングで効果はあるはずです。
もちろん最大の引き幅は40センチですから、しっかりストロークができれば、ロングパットでもショートすることはないと考えられます。
人差し指を伸ばせば方向性は決まる!
近年のゴルフ場は年間を通してグリーンが高速化してしますし、グリーン面の形状もポテトチップのようにうねっています。
そうして難易度が高まっていることで、パッティングラインがより複雑になってきています。
そのためヘッドの重みで転がすパッティングでは対応が難しい場合もあり、アマチュアでもスライド式のパッティングにしているゴルファーが増えてきています。
スライド式は「打つ」ことが求められているので、振り子式のように単に当てるだけではダメです。
パターヘッドを10センチ引いたら1メートル転がる、そんな打ち方が必要なのです。
左側に置いたボールを強く打とうとするほど、フェースは開いて右に押し出してしまいます。
そこで右手の人差し指をグリップの側面に這わせて「ガイド」とすることで、方向性を保つことができるわけです。
さらに右手の手のひらでしっかり押すことで、強く打つパッティングが可能になります。
スライド式パッティングでは、右手の親指をグリップサイドに這わせる握り方で、正しいストロークができるということになります。
パターで人差し指を伸ばすのには意味があった
人差し指を伸ばしたパターの握り方に意味はあるのかと考えたとき、 振り子式のストロークでは意味はありません。
しかしスライド式のストロークでは方向性が安定し、しっかり打つことができるようになります。
あとは正しい位置にボールを置けば、ショートパットからロングパットまで対応することができるようになると考えられるのです。