2019年レディゴルフを提唱するゴルフ規則の改正に伴って、1ラウンドの所要時間が気にかかるところです。
そこで今回は従来からのゴルフ場が提唱してきたプレーの時間と、新しいゴルフ規則による所要時間の違い、そして実際のゴルフプレーの時間について考えていきます。
新しいゴルフ規則では1ラウンドの所要時間が厳格になる
新たに改正されたゴルフ規則のコンセプトは「レディゴルフ」です。
「準備のできた人からプレーをしなさい」、つまりさっさと打ちなさいということです。
ゴルフでは伝統的に「栄誉」を重んじてきたので、ホールのティーショットは前ホールの最小スコアの人から順に打つことになっていました。
最初に打つ人のことを「オナー」と称え、まさに言葉通りに同伴者から尊敬を込めて栄誉を贈られた印だったわけです。
ところが新しいルールでは、ゴルフにとって大事なことが栄誉よりも時間になってしまったようです。
これを寂しいと感慨にふけるか、それこそが今の時代だと感じるかは、ゴルファーそれぞれではないでしょうか。
ただこの改正によって、プレーの時間が厳しく見直されています。
のんびりラウンドしているとペナルティが科せられることになるので、迅速な行動が求められます。
もっとも以前から提示されている1ラウンドの所要時間が4時間であれば何も問題はありません。
ゴルフ場で設定している1ラウンドの所要時間は4~5時間
ゴルフ場では以前から1ラウンドの所要時間を4時間~5時間以内を提唱しています。
しかしながらハーフ休憩やコース内の茶店で時間を費やすと、自分のラウンドしている所要時間が分からなくなってしまうものです。
また「急げ!」と言わんばかりに、スタート室前に4時間以内と掲示されていても、休日ともなると各ホールで待ち待ちの状態になることもあるので、「お互い様」と思うゴルファーも多かったのではないでしょうか。
そんなモヤモヤはありますが、新しくルールが改正されて、急ぐことこそがゴルファーに求められているようなので、どのくらいのスピードでプレーをすると4時間でラウンドできるのかを確認してみましょう。
4人組を前提にして4時間を単純に計算すると、18ホールの1ホール分の所要時間は約13分です。
ショートホールもロングホールも押しなべて13分ですから、仮に4人全員が100打のプレーヤーなら、2分40秒以内に4人が打ち終わって、次のショット地点に移動していなければなならない計算が成り立ちます。
所要時間を4時間でラウンドするにはゴルフ世界記録が必要!?
ゴルフ場での1ラウンドの所要時間を4時間にする場合、100打の4人組は2分40秒以内に次のショットを開始していなければなりません。
これをさらに1人あたりで換算すると40秒です。
ティーアップして打ち終わるまでが5秒程度として、セカンドショットまでの250ヤード(約230メートル)を全速力で走っても、200メートルの世界記録がウサイン・ボルトの19.19秒なので、ボルトが走ったとしても25秒くらいはかかるかもしれません。
そして残り時間5秒で打ち終わり、またも猛ダッシュすれば5秒でパッティングに入ることができるかもしれません。
こうして見ると、ゴルフ場が設定する4時間はかなり厳しい時間配分だということが分かります。
しかもこの猛ダッシュをすべてのショット間で繰り返すイメージですから、おそらくボルト選手でも4時間の所要時間は机上では難しいように思えます。
ちなみに全員が1ラウンド72打のプレーヤーでも1組3分30秒で、1人当たり50秒程度が持ち時間になります。
箱根駅伝の選手でもゴルフ規則のラウンドの所要時間は無理
箱根駅伝の区間トップの選手のラップを100メールに換算すると17秒超ですから、230メートルは39秒程度です。
ゴルフシューズを履いてこのスピードで走るのは不可能でしょうし、もし走れるようなら東京オリンピックを目指したほうが良いかもしれません。
しかし実際には、多くのプレーヤーが4時間以内でラウンドをしています。
北海道や沖縄では18ホールスルーが一般的なので、ハーフでの休憩はありません。
つまり午前8時にスタートした組は9時54分までに9番ホールを終えて、10時から10番ホールをスタートしていくのです。
そしてインスタートの組も10ホールから午前8時にスタートして、10時に1番ホールをスタートしていきます。
スタート時間は6分間隔だと、所要時間は必ず4時間になるわけです。
もしも6分後にセカンドショットを打ち終えていないと、次の組がスタートできません。
時間通りにスタートができるようにレイアウトは造られていますし、グリーン周りやグリーンは移動時間が少ないので、ティーショットのような時間はかからないのがその理由です。
ゴルフ場の1ラウンドの所要時間は5時間が適正か
新しいゴルフ規則では、1回のプレーに対する所要時間を40秒と定めています。
これは前にプレーをした人のショットが終了してから、自分のショットが終了するまでの所要時間です。
つまり4人全員が40秒ずつ費やしてしまうと、ティーショットが完了するだけで2分40秒もかかり、その後セカンド地点まで移動して、次のショットにまた2分40秒かけて前進しはじめてから後続組は打つことができるようになります。
このショットだけで5分20秒ですから、移動時間を考えるとスタート間隔は8分から10分が適当なところではないでしょうか。
仮に8分のスタート間隔であれば1ラウンドの所要時間は5時間が妥当なところです。
準備ができたものから打ち始めるレディゴルフを実践すれば、可能な所要時間かもしれません。
また歩行速度を早めるために、プロが実践する歩測を取り入れると良いかもしれません。
1歩の間隔を1ヤードにして、コースのセンターを歩いていきます。
高低差はありますが、自分の歩数がそのまま飛距離に換算できるので、距離感を養うことができます。
そして目的とする歩行速度は、1歩の間隔が大きくなることで、一生懸命歩くようになりスピードがアップします。
ラウンドの所要時間に厳格な新しいゴルフ規則が古い
新しいゴルフ規則が、ラウンドの所要時間に厳格な姿勢を示していることで、ゴルフ界はいつになく張り切っているようですが、実は多くのゴルフコースは軽く4時間を切ってラウンドができるようになっています。
バブル崩壊にリーマンショックの荒波を乗り越えたゴルフ場の多くは、すでにセルフプレー化してきていて、乗用カートを導入しています。
駅伝のトップ選手が万全な状態で時速20km程度ですが、乗用カートは常にその速度で走ることができます。
もしもコース内に乗り入れOKであれば3時間30分が所要時間の目安になって、早ければ2時間30分でラウンドできることもあります。
もっともアウトからインへの回り込みで、ゴルフ場の配慮がないと無理な時間ではあります。
どちらにしても日本でのプライベートゴルフは、乗用カートの普及によってスピードアップが図られているので、さほど心配することはありません。
あとは同伴プレーヤーにストレスがかからない程度の速度で動けば、進行上の所要時間を気にする必要はないと考えられます。
ゴルフ規則改正でラウンドの所要時間が気にかかる
ゴルフ規則の改正によって1ラウンドの所要時間が注目されています。
1回のプレーを40秒以内と定めていますが、日本ではそのタイムだと以前より遅くなってしまうかもしれません。
レディゴルフの趣旨は機敏な動作にあるのですが、同時に相手に対して敬意を表するだけの余裕も必要だと言えます。