「コックを入れて」
練習していると先輩ゴルファーから聞いたことはありませんか。
初心者はアイアンから練習していると思いますが、手首を曲げるくらいしかイメージがつかないかもしれません。
どんな役目があるのか、どのタイミングで入れるのかなど、コックについて解説します。
良く聞くコックとは何?
「コックを入れて」、「コックをほどくな」など言われても、いまいち良く分からない初心者は多いことでしょう。
実際、「コック」と言われても何となくのイメージしかないと思います。
日本では、「コック」とか「コッキング」と言われています。
コックは、簡単に言えば手首を曲げる動きのことを指します。
ゴルフのスイングにおいて、コックを使えるかどうかは非常に重要です。
これはアイアンにおいても変わりありません。
例えば「ハンドファースト」という言葉を聞いたことがありますか。
ハンドファーストは、ロフトを立てて飛距離を伸ばせるインパクトの形です。
このハンドファーストもコックがないと成り立ちません。
コックが正しいタイミングで使われないと良いスイングにはなりません。
ダフったり、すくい打ちになったりと、悪いことだらけです。
そのためコックの使い方をいますぐ理解して、周りと差をつけましょう。
正しいコックの方向は?ヒンジをイメージ!
コックは手首を曲げる動作と説明しました。
アイアンでコックを入れるタイミングは後程説明しますが、コックを入れる方向はどこが正しいのでしょうか。
左手の親指方向に向かってコックするという話を聞いたことがありますか。
ただ左手を基準にして考えると、グリップの形によって方向が変わってしまうのです。
実際に、スクエアグリップ、ストロンググリップ、ウイークグリップにして、それぞれ左手の親指方向へ手首を曲げてみてください。
すべて、方向がバラバラなことが分かることでしょう。
日本ではコック、コッキングと呼ばれていますが、海外では「ヒンジコック」と呼ばれています。
ヒンジとは扉に使われているあのヒンジです。
実は、右の手首をヒンジの要領で曲げるだけで良いのです。
左手は右手についてくるだけで、素直にアームローテーションがかかる形になり、正しいヒンジコックが入ります。
アイアンのヒンジコックを入れるタイミングはどこが正しい?
それでは、具体的にヒンジコックを入れるタイミングについて話します。
クラブそのものが長くないアイアンは、ある程度手首が自由に使えます。
ただ手首が使えるということで、ヒンジコックをどこで入れるか迷ってしまうことにつながります。
大きく分けて、タイミングは3つのパターンがあります。
《テイクバック始動時》
一部のプロゴルファーでもいますが、テイクバックの始動時にヒンジコックを入れるパターンです。
メリットは、あらかじめヒンジコックを入れておくことにより、ヒンジコックを確実に作れること、またテークバックの始動のきっかけにできることです。
《テイクバックが90°まで上げたとき》
テイクバックの始動は、アドレスの形を維持したまま行い、左手が90°の位置まで上がったらトップの位置に行く過程で入れるパターンです。
しっかりと、体の捻転を使いつつ、ヒンジを意識的に入れることができるため、多くのゴルファーがこのタイミングで入れています。
《トップの位置》
トップの位置に上がったタイミングでヒンジコックを入れるパターンです。
このパターンの場合、意識的に入れるというよりも、クラブヘッドの重さで勝手に入るといったイメージです。
そのため、腕や手首に余計な力が入っていると、ヒンジコックが入りません。
どのタイミングがでヒンジコックを入れるのが正解ということはありませんが、おすすめはトップの位置で自然に入る形です。
自然に入るということは、意識的にやる必要がなく、力も抜けたスイングができるからです。
アイアンのダウンスイングでヒンジコックをほどくタイミング
ヒンジコックを入れるタイミングをお話ししましたが、次にほどく(リリース)タイミングについてお話します。
基本的には、ダウンスイングの途中でリリースするのですが、アイアンはクラブヘッドが重いため、タイミングを間違えるとダフリや体の浮き上がりの原因になります。
一般的には、左腕が90°の位置に来たらリリースを開始すると言われています。
ただし、あくまでもリリースを開始するタイミングであって、インパクト時までは手首の形は維持されているのが理想です。
この形を実現するためには、十分な遠心力が必要です。
しかし初心者やアマチュアの場合、このタイミングでリリースを開始すると確実にヘッドがインパクト前に落ちます。
これはアーリーリリースと呼ばれ、場合によってはフリップスイングなど変な癖がつく原因となるため注意が必要です。
初心者は、意識的にヒンジコックをリリースするよりも、自然にリリースされるタイミングにしましょう。
どうしても意識的にリリースのタイミングを作りたい場合は、グリップが右足の前に来たタイミングくらいが良いかもしれません。
ヒンジコックのリリースタイミングばかり気にしていると、体が回転せず、腕だけでクラブを振るようになってしまうからです。
こうすると、ヘッドスピードも上がりませんし、遠心力が得られず、結局アーリーリリースになるので注意してください。
アイアンでヒンジコックがほどけてしまう原因
ヒンジコックをリリースしていなくても、どうしてもアーリーリリースになってしまうゴルファーがいます。
インパクトのタイミングまでしっかり維持するためには、遠心力がしっかりかかっていることが重要です。
ここで、考えられる原因をいくつか紹介します。
《腕だけでスイングしている》
遠心力を使ってクラブヘッドを走らせるためには、しっかりと体の回転を先行させることが重要です。
腕だけを早く振っても遠心力が生まれません。
どうしても、腕だけでスイングしてしまうゴルファーは、トップの位置で一呼吸つくつもりで、先に左腰を回転させるようにしましょう。
《体が浮き上がっている》
初心者に良くあるパターンが、ダフるのが嫌で無意識にインパクトのタイミングで体が浮き上がることです。
体が浮き上がると、ボールとの距離が遠くなるため、早めにリリースしないと届かなくなります。
その結果、アーリーリリースを無意識に招いている状態になります。
ヒンジコックの形を維持したまま、ゆっくり降ろしてくれば、そのままの高さで浮き上がらなくてもインパクトできることが分かります。
まずは、短いクラブでイメージを作りながら体が浮き上がらないようにしましょう。
《クラブが重い》
アイアンの場合、元々クラブヘッドが重いです。
正しいスイングができていても、クラブ重量があっていないと確実にヒンジコックはほどけます。
その場合は、シャフトを軽いものに変える、短く持つなどして対応しましょう。
ただし、クラブが重い可能性はごく稀です。
最後の検討にしましょう。
コックのタイミングは自然が一番
これまで、アイアンにおけるヒンジコックの入れる方向とタイミング、リリースについて話をしました。
おすすめは、やはり自然にできるのが一番です。
実際、プロゴルファーでも意識的にヒンジコックを入れていない人が多くいます。
意識的に何かをやるということは、無理に体を動かしていることと同じです。
自然な体の動きに逆らうわけですから、力が入ったり、再現性が欠ける原因になります。
なかなかヒンジコックが自然に入らないというゴルファーは、次のことを試してみてください。
グリップが正しく握れているか確認をします。
特に、右手が正しく握れていないと、トップの位置で形を維持することはできません。
今一度、グリップを見直してみてください。
正しいグリップができていれば、しっかりとクラブの重さを感じることができるからです。
そしてもうひとつは、スイングリズムをゆっくりにしてみてください。
ヘッドスピードを十分に得るためには、体を早く動かすよりもリズム良く動かすほうがタメもしっかりでき、遠心力も起こりやすくなります。
ヒンジコックは知識として理解するだけでOK
アイアンに限らず、ヒンジコックは知識としてしっかり理解しておく必要があります。
理由は簡単で、知識がないと正しいかどうか分からないからです。
しかし、スイング中は意識しないことが重要です。
無意識にできるようになるまで練習を続けましょう。