ティーショットでフェアウェイを外して、ラフに行ってしまったという経験は皆さんあると思います。
ロングホールや長いミドルで、ラフからグリーンまでまだ200ヤード近くあるような場合は、一昔前ならフェアウェイウッドやロングアイアンで打つことが多かったと思います。
しかし、ユーティリティが開発され、そのクラブの進化と共に難しいライからの脱出クラブとして重宝されるようになりました。
ここでは、そんな便利なラフからのユーティリティの打ち方についてお話しします。
ラフからのショットとフェアウェイキープ率の関係
ユーティリティでのラフからの打ち方の話に入る前に、まずティーショットでフェアウェイをキープできる確率というのはどのくらいなのか頭に入れましょう。
パーオン率は、皆さん意識しているかと思いますが、フェアウェイキープ率の意識はやや低いようです。
それはドライバーの特性である「飛距離を稼ぐ」という面が大きく注目され、フェアウェイに行ったかよりも、どれだけ飛んだかに意識が集中してしまうからでしょう。
しかし、ティーショットのフェアウェイキープはセカンドショットにも大きな影響を与えるのは間違いありません。
傾斜の大きいラフや木の後ろなどにつけてしまった場合、ましてやOBは飛距離が出なかったティーショットよりも何倍ものトラブルと言えます。
では、フェアウェイキープ率の話に戻しましょう。
平均スコア別に見てみると、100で47%、90だと51%、80なら56%、スクラッチで60%というデータが出ていました。
「100前後の人でも47%のキープ率なら、なかなか良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、100前後の初心者レベルの人は、ドライバーの飛距離もそれほど出ず、曲がる前に落ちたりすることが多いからかもしれません。
上級者ほどラフからのショットで崩れない打ち方をする
前項で、飛距離重視で難しいライに落とすよりは、ショートしてもフェアウェイをキープできたほうがスコアがまとまる可能性があることが触れましたが、90を切ってシングルを目指そうという人にとっては、飛距離も必要になるためドライバーを振っていくのは当然の選択ということになります。
そこで、フェアウェイをキープできなかった場合に、どうセカンドショットをグリーンに乗せるか、あるいはグリーン周りの良いところに置くかという打ち方が求められます。
そして、上級者と言われるゴルファーは、「フェアウェイを外しても崩れない」という傾向にあります。
やはり、セカンドショットが肝になってきそうですよね。
そこで、フェアウェイを外してしまったときに一番多い状況と言えば、ラフからのショットです。
ここで使うのが、フェアウェイウッドなのかアイアンなのかユーティリティなのか、状況によって判断しなくてはいけません。
ラフからの脱出はライをしっかり確認してクラブ選択を
前項のような状況の場合、残っている距離が150ヤードを切っているのであれば、ミドルアイアンやショートアイアンで振り抜いていくという選択になるのでしょう。
しかし、ロングや長いミドルコースで残りが200ヤード近くある場合、どうしても距離が欲しくなります。
ラフからの200ヤードを何で打つか、フェアウェイウッドなのかロングアイアンなのかユーティリティなのかという選択肢が出てきます。
ここでしっかりとライとボールの状況を確認しましょう。
まずは、ボールが芝に「浮いているのか」「沈んでいるのか」です。
「浮いている」場合は、ティーアップしているような状態ですから、フェアウェイウッドでも良いですが、芝に「沈んでいる」場合の中でも、少し「沈んでいる」程度なら操作性の良いユーティリティがおすすめです。
ロングアイアンでは、ソールが薄く芝を滑らないので、確実にボールにミートする必要があり、難易度が高いです。
沈んでいると「ユーティリティで上手く出せるのか」と不安になりますが、ボールが沈んでいるように見えても、実際に地面にめり込んでいるわけではなく、芝に隠れている状態であれば問題ありません。
ここでの打ち方はレベルブローを意識します。
ただし完全にボールが見えないほど「沈んでいる」場合は、ショートアイアンやピッチングウェッジなどでフェアウェイに戻すことだけを考えてください。
ユーティリティはレベルブローを意識した打ち方を基本に
では、レベルブローとは一体どういった打ち方なのでしょうか。
まず、スイングは大まかに言うと、アッパーブロー、レベルブロー、ダウンブローという3パターンに分けられます。
スイング自体が変わると思っている人も多いのですが、同じスイング軌道で、どの段階でボールに当たるかで区別されるだけです。
アッパーブローとは、「クラブヘッドが最下点を過ぎてからボールに当たる」打ち方。
レベルブローとは、「クラブヘッドが最下点でボールに当たる」打ち方。
ダウンブローとは、「クラブヘッドが最下点に達する前にボールに当たる」打ち方です。
このように、アッパーブローはティーアップしていなければ、打てない打ち方となります。
ドライバーのスイングはアッパースイングが適していると言われます。
ティーアップしたショット以外はレベルブローかダウンブローになるのですが、「アイアンを上から打ち込む」と表現されるように、アイアンはダウンブローが基本で、ボールの先の芝を取るような(ターフを取る)ショットが求められます。
そしてユーティリティは、アイアンに比べてソールも厚く、芝の少し手前から入っても滑るため、ボールを点で捉えるというよりは、線で捉えるようなイメージのレベルブローが適しています。
アイアンでラフからのショットをすると、手前の芝にリーディングエッジが絡んでフェースが開いたり、ダフッたりするミスが起こり易いです。
傾斜からでも操作性の高いユーティリティを味方に
ユーティリティを使ってのラフからの脱出は、まずレベルブローを意識すると触れましたが、その他にもポイントがあります。
ラフというのは、フェアウェイから外れたところにあるわけですから、傾斜になっているところも多くあります。
ただでさえラフで難しいのに、傾斜のあるライからのショットになるとさらに難易度が上がります。
ここでは、傾斜のあるラフからの打ち方について見てみましょう。
まず、左右の土手方向に行ってしまった場合、つま先上がりかつま先下がりになります。
加えて左足上がりや左足下がりのケースもあります。
こういった傾斜からのショットが難しい理由とは何でしょうか。
普段の練習場では、平坦なところからしかボールを打っていないからです。
ところがラウンドで出会うような傾斜のあるライでは、ボールと自分との距離が平坦なライの場合と異なってくるため、ミスを引き起こし易くなります。
更にライの状況は千差万別で、傾斜だけでなく芝の深さや土の状態なども練習場とは全く異なります。
一打一打、完璧にミートすることは至難です。
そこで、アベレージゴルファーが傾斜のラフに行ってしまった場合は、長くて操作性の難しいフェアウェイウッドではなく、重くてダフりの可能性の高まるロングアイアンでもなく、操作性が高くソールが滑ってくれて距離もある程度見込めるユーティリティを使いましょう。
ユーティリティでコンパクトに芝を切る打ち方をしよう
では、もう少しユーティリティでのラフからの打ち方について見ていきましょう。
レベルブローというシンプルなスイングが基本となります。
芝を切るようなイメージです。
その際、芝の抵抗に負けないようにグリップはしっかりと短く持ちます。
飛ばそうと思って大振りしないように、コンパクトかつ芝に逆らわず振り切ります。
あまり深くヘッドを入れなくても、クラブが仕事をしてくれますので、若干トップでも構わないという気で打ってみてください。
芝のギリギリを滑るようにレベルブローを打つことも決して簡単なわけではありませんが、クリーンにとらえようとして手前に落とし過ぎて大きくダフるよりは、トップ気味で前に進むべきです。
ラフからのセカンドショットでリカバリーしたい気持ちが先行し過ぎて、距離を少しでも稼ぎたいという気持ちは捨て、サードショットをいかに無理なく打てるようにするかを最優先で考えましょう。
難しいラフショットはユーティリティをフル活用しよう
ラフからのショットは季節によっても難易度がかなり変わります。
夏以外は短めで比較的フワフワとしていてボールも浮きやすいラフですが、夏場のラフは元気いっぱいで絡みつきやすく長さも長いため要注意です。
アイアンで上から打ち込むのではなく、ユーティリティでコンパクトなレベルブローの打ち方を心がけ、距離よりもミートすることに専念しましょう。
コンパクトでも、しっかりとミートすれば、思った以上にボールが飛んでくれる可能性もあります。