ドライバーは、曲がりにくいから、反発が良いからといった理由で選びがちです。
しかし、前提として自分でしっかりと振り抜けるものを選ぶことが、スイング作りにも理想の放物線を手にするためにも重要です。
今回は振り抜きに影響するドライバーの重さと、ヘッドスピードとの関係についてお話しします。
ドライバーの重さは総重量だけで考えてはいけない
ドライバーの重さと聞くと、クラブの総重量を考えるのではないでしょうか。
確かに総重量は重要な要素になるのですが、より重さについて考えるためには、どのような構成で重さを考えるかが重要です。
テーラーメイドのM5ドライバーを参考に見ていきましょう。
標準的なスペックで約308gの総重量となります。
・クラブヘッド
クラブヘッドは約204.5gです。
M5ドライバーもそうですが、最近は移動式ウエイトがついており、重心深度や重心距離を調整できるモデルも多いです。
またヘッドバランスを調整し、慣性モーメントの増減やヘッドスピードアップするために、入れ替え式ウエイトで変更もできるものもあります。
・シャフト
シャフトは、三菱ケミカルと共同開発の「KUROKAGE TM5 2019」のSフレックスをベースに見ます。
重量は約56gです。
・グリップ
グリップは約47.5gのものが装着されています。
このようにゴルフクラブは、少なくてもクラブヘッド(調整ウエイト含む)、シャフト、グリップの3つのパーツで構成されていることが分かります。
なぜ、このように分解して考える必要があるかというと、同じ総重量でもパーツの重さ(比重)が変わればバランスが変わってくるからです。
バランスが変わると、同じ重さでも振り感が大きく異なってきます。
ドライバーの調整ウエイトの重さを変えるとどうなる?
クラブヘッドの重さは、ドライバーの設計段階で決まっていますが、調整ウエイト付きのものは自身の調整次第で変わってきます。
調整ウエイトを単純に重くすると、クラブヘッドが重くなるため、バランスが変わることは想像できるでしょう。
基本的には、ヘッドが重くなるとヘッドスピードが落ちることがありますが、運動エネルギーは大きくなり、ボール初速が伸びる可能性があります。
先ほど例に挙げたM5ドライバーもそのひとつですが、最近ではウエイトを移動させて重心位置を変えることができるドライバーもあります。
まず、調整ウエイトを前後に移動させられるタイプは重心深度を変えることができます。
重心深度が深くなる(ウエイトを後ろに向かって移動)ほど、フェース面が上を向きやすく、打ち出し角度を得やすくなります。
次に調整ウエイトを左右(フェース面と並行方向)に移動させると重心距離を変えることができます。
シャフト軸線からの重心距離が変わると、クラブヘッドの返りやすさが変わります。
この特性を利用して、ドローボールを打ちやすくしたり、フェードボールを打ちやすくしたりすることができます。
ドライバーはシャフトで重さを変えるのが簡単
ドライバーの総重量は、クラブヘッドが大きく割合を占めているのは、3つのパーツの重量差ですぐ分かります。
しかし、ドライバーの重さに大きく影響するのはシャフトです。
クラブヘッドは、大きく重さを変えるのは好ましくないため、重さを変えるとしたらシャフトとグリップになります。
少し軽くしたいとか、重くしたいとかあればリシャフトが一番手っ取り早く、効果的です。
先ほどの交換ウエイトでクラブヘッドの重さを増やすこともできますが、遠心力が増えすぎると振り抜きにくくなったり、シャフトのたわみやフレックスが変わり本来の性能を発揮できなくなることがあります。
すると自分のヘッドスピードと合わずミスショットを誘発する恐れもあるのです。
クラブヘッドでの重さ調整は、やっても1~3gくらいが限度だと考えられます。
その点、ドライバーのシャフトは40g~80g台と幅広く、好みに合わせやすいものです。
また、クラブヘッドとの相性も踏まえると、シャフトそのものを変えるほうが効率的です。
ただし、ある程度費用がかかるのがネックです。
そのため低予算で抑えたいゴルファーは、シャフトの重さを変えるではなく、グリップでバランスを変えてみるのが得策です。
グリップを軽いものに変えるとヘッドが重く感じ、重いものに変えると軽く感じることができるようになります。
ヘッドスピードと重さ、飛距離の関係
ここでは、ドライバーのヘッドスピードと重さ、飛距離の関係をお話しします。
基本的には、重いクラブほどヘッドスピードは落ちると考えて問題ありません。
軽いドライバーと重いドライバーを振り比べてみれば一目瞭然です。
では、とことん軽くすれば良いという考えもありますがそうではありません。
なぜなら重さによるエネルギー伝達(衝撃)に違いが出てくるからです。
同じ重さのドライバーを違うヘッドスピードで振ったとき、速いほうが飛距離が出るのはイメージしやすいでしょう。
では、ヘッドスピードが同じだと仮定し、ドライバーの重さが違うとしたらどうなるでしょうか。
ボールへのインパクトの衝撃に違いが出ます。
軽自動車とダンプカーが同じ速度で壁にぶつかったら壁はどうなるでしょうか。
想像できるはずです。
つまりドライバーが軽いと衝撃が小さいため、飛距離が出にくくなります。
対して重ければ衝撃が強く、飛距離が出やすくなるのです。
つまり、軽いほうがヘッドスピードの速さで飛ばせるが、重いほうはパワーで飛距離が出やすいということです。
このバランスを考え、自分に合ったドライバーを選ぶことが大切です。
軽いドライバーはヘッドスピードが上がるから、やはり良いのでは?
私たちアマチュアゴルファーは、ラウンド後半になるとドライバーが安定しなくなることが多くありませんか。
プロゴルファーと違い、体力や基礎筋力が少ないことも原因ですが、クラブの重さが合っていないことも考えられます。
ただし、軽いドライバーに変えるときは注意が必要です。
話をしてきた通り、軽いドライバーはヘッドスピードが上がるので一見良いのではと思えます。
しかし、ヘッドスピードが上がっても軽ければエネルギー不足で飛距離が出にくくなったり、強い球が出ず風の影響を受けたりして曲がってしまうなども考えられます。
もし、今のドライバーが重いと感じ、買い替えを検討するときは、次のこともしっかりと理解しておいてください。
重いものから、軽いものへ変えるとしっかりと振り切れている感覚が得られます。
そして実際にヘッドスピードも上がります。
しかし、自分のパワーに対して軽すぎるドライバーの場合、使うに連れて次のような症状が出ることがあるのです。
軽く振ってもヘッドスピードが出るため、楽な感覚を覚えてスイングが緩んでしまうこと。
また、初めは重さを感じられていたが徐々に感じられなくなり、無理矢理合わせに行くスイングになってしい、その結果ミート率が下がり、安定性が欠けてしまうこと。
ドライバーが良いときアイアンでミスしやすく、また反対も起こるということ。
交換後、一時的に良くなることはありますが、このようなリスクがあることもしっかり理解してドライバーを選ぶようにしましょう。
適正なヘッドスピードに合わせたドライバー選び
最後に適切なヘッドスピードについて話をします。
ヘッドスピードは速ければ良いというものではありません。
自分でしっかりコントロールできることが大切です。
コントロールできるヘッドスピードとは、適切な重さのドライバーで再現性を高められるものと言って良いでしょう。
話してきた通り、ドライバーの場合軽すぎても良くありませんし、重すぎても良くありません。
ただし、1回のラウンドで多くても14回前後しか振らないドライバーです。
そのため、軽すぎるよりも若干重いほうがスイングも緩まず、クラブが慣性で仕事をしてくれるため良いかもしれません。
ラウンド後半、重さを感じるようになったら、指1本分でも短く握るだけで解消できる可能性もあります。
こういったことも踏まえ、ドライバーを選ぶ際は、必ずお店で試し打ちをするようにしましょう。
3~5球程度試し打ちをして、ヘッドスピードが安定しているなら問題ないと考えられます。
そこから少しずつ重量を上げ、遅くなる、伸びなくなる重量が来たら重すぎる証拠です。
少し軽くして、適正の重さを見つけましょう。
また、購入したけれど少し重く感じる心配があればバランス重さは変えず、バランス調整をしましょう。
重量は問題ないけれど、バランスがあっておらず、重く感じているだけでかもしれません。
この辺りは、お店(クラブフィッティング専門のスタッフがベスト)で相談すれば乗ってくれるはずです。
より自分に合ったドライバー選びを!
自分にとって使いやすいドライバーとは、適正なヘッドスピードを再現性高く、継続して実現できるものだと思います。
ドライバーを選ぶとき、クラブヘッドの性能に目が行きがちですが、重さやバランスについて考えてみることをおすすめします。