苦手なアイアンというものは誰でもあるものです。
すべての番手を使いこなせるゴルファーもいますが、そもそも苦手意識があると使わない傾向が出て、いつまで経っても得意になることはないようです。
その苦手意識の理由の中に重量ピッチが合っていないことがあります。
そこでここからは、アイアンの重量ピッチについて考えていきます。
アイアンの中で特定の番手が苦手なのは重量が原因かもしれない
アイアンセットの中で特定の番手だけに苦手意識があれば、1度すべてのクラブの重量を確認してみると良いかもしれません。
アイアンに限らずゴルフクラブに苦手意識が生まれるのは、イメージ通りのインパクトができていないからです。
アドレスでボールの後ろにヘッドをセットして、インパクトでそこに戻す「再現性」が安定していないことが原因として多いようです。
前傾姿勢をとって両腕をダラリと下げ、中央で両手を合わせたところが本来のグリップ位置です。
この姿勢でアイアンを構えて素振りを繰り返すと、再現性は高まりスイング軌道は安定してきます。
このスイング軌道が安定しているにもかかわらず、それでも特定の番手に違和感があるのとしたら、クラブの重量が合っていないことが疑われます。
以前はドライバーとフェアウェイウッドをセットで揃えて、アイアンも3番からウェッジまで同じモデルで揃えるのが当たり前でしたから、重量のひずみはありませんでしたが、今は選択肢が増え、バラバラに揃えていることで重量が逆転してしまうことがあります。
アイアンは番手によって長さと重量が違うから打ちにくい?
アイアンの中で苦手意識の高い番手の代表格として、3番アイアンが挙げられます。
長さを苦手の理由としていることが多いようですが、一般的な3番アイアンの長さは38.75インチです。
一方ユーティリティ4番の長さは39.5インチですし、7番ウッドの長さは41.75インチです。
3番アイアンが苦手だからと、ユーティリティや7番ウッドを使っているとしたら、本当の理由はシャフトの長さではない可能性が生じます。
3番アイアンは7番アイアンよりも30グラム程度重量が軽くなっているのですが、長さと軽さが相まってスイング軌道が安定しません。
そこで軌道を安定させるために鉛板でバランスを変えてヘッド側を重くしてみると、ヘッドの効きが良くなって軌道が安定することがあります。
そうして3番アイアンはバランスを変えたことでクリアできたとしても、次の4番アイアンが軽く感じるようになってしまい、鉛板を貼る前の3番アイアン同様にスイング軌道に不安が生じてきます。
どこかの番手でこの流れを断ち切らないと、アイアン全体に不安感が蓄積されて「アイアンは苦手」に陥ってしまう可能性が高まります。
アイアンは同じ番手でも重量が違うと感じることがある
アイアンのバランスを変えると、同じ番手でも重量に違いが感じられます。
アイアンの重量は3番アイアンから9番アイアンへ、順に重たくなるように作られています。
逆にシャフトの長さは9番アイアンから3番アイアンへ、順に長くなるように作られています。
ゴルフクラブは長くなるほど、スイングの外周を回るヘッドのスピードは速くなります。
一般的な番手間のシャフトの長さは0.5インチ刻みで、距離は10ヤード刻みで設定されています。
これは同じスイングスピードで振ったときに、クラブにかかる慣性の力を揃えるのが目的です。
ただ軽くて長いクラブほどヘッドスピードは速くなるため、ヘッドコントロールが難しくなるのは当然です。
ヘッドコントロールが難しいということは、インパクトでぶれる可能性が高くなるわけです。
練習を重ねることでスイングは安定してきますが、簡単な安定性向上方法は重量配分を変えバランスを変えることです。
しかしながらバランスを変えるということは、鉛板をどこかに装着することになるため、総重量が変化します。
すべてのアイアンの総重量を変えると、ユーティリティやフェアウェイウッド、さらにはドライバーの重量との間隔に違和感が生まれてしまう危険性が出てきます。
ドライバーとアイアンの重量差で番手間のピッチが決まる
5番アイアンの重量は、ドライバーの重量にプラス90グラム前後を目安にすると良いとされています。
ヘッドの内側が空洞のドライバーはヘッドが軽く、カーボンシャフトも軽量タイプが使われていますから、全重量はおよそ300グラムです。
5番アイアンはここから90グラム増やすので、およそ390グラムが適正な重さです。
番手間の重量ピッチはモデルによってかなり違いはありますが、7グラム刻みで考えると3番アイアンは376グラム、9番アイアンは418グラムの計算です。
この重量ピッチであれば問題はありませんが、ユーティリティを入れると少しだけ複雑になってきます。
苦手な3番アイアンと4番アイアンをカバーするために、ユーティリティを使っている場合は、5番アイアン以下との重量ピッチの差に違和感が生じるかもしれません。
ドライバーと5番アイアンの重量差は合っているのに、中間のユーティリティの重量が合っていなければ、ユーティリティとアイアンのどちらを使うか迷っているときに、重量差が要因となってしまうわけです。
安心できる番手は重量が合っているから?
ユーティリティとアイアンとの重量差による不調は、アイアンとウェッジでも同じことが言えます。
ウェッジは単体で購入することが多いため、9番アイアンやピッチングウェッジとの重量差を気にしなければいけません。
もちろん重いウェッジのほうが安心感はあるため、重すぎるウェッジに不満は出にくいのですが、そのせいでショートアイアンに頼りなさが生まれるかもしれません。
結果的にユーティリティとウェッジの重量によって、5番アイアンや9番アイアンに違和感が生じてしまうと、安心して使える番手は6番、7番、8番の3本だけになってしまう可能性があります。
ただし、ユーティリティを使用したあとにミドルアイアン、またはウェッジで打つことがあるのがゴルフですから、どの番手にも影響があるのは十分に考えられます。
そのためアイアン以外の全番手の重量の違いを考慮しながら、自分のスイングに合ったアイアンを揃えることが重要です。
アイアンの番手間の重量ピッチを揃えることが大事
ゴルフクラブは、ドライバーからウェッジまで順に短くなっていきますが、反対に重量は増えていきます。
飛距離の観点からすると、飛ぶクラブを軽くするのは当然のことですが、使い勝手の観点からすると重いクラブほど軌道が安定します。
徐々に重量を重くしているのは、慣性モーメントをなるべく揃えて、スイングリズムを一定に保てるようにしているからです。
何よりも大切なことは、ゴルファー自身のスイングです。
スイングが乱れると、どんなにすばらしいクラブでも、その性能を活かすことはできません。
まして番手間の重量がバラバラであれば、スイングが乱れないほうが不思議です。
アイアンだけの重量配分ではなく、ドライバーからウェッジまで重量ピッチを統一できれば使い勝手はかなり良くなるはずです。
そのために余分となるバランス調整のための鉛板を、なるべく使わないで済むクラブを選ぶことです。
ヘッドに重量を加算したり、カウンターバランスでグリップ側にも重量を加算すると、全体の重量ピッチが狂ってきて収拾が付かなくなってしまうからです。
少なくともウッド、ユーティリティ、アイアン、ウェッジの区分間で重量ピッチを揃えるようにするだけでも、大きな違和感はなくなるはずです。
特定な番手にだけ違和感があるときはセットの重量を確認しよう
アイアンの特定な番手に違和感があるときは、他のクラブと重量ピッチが合っていないのかもしれません。
重量ピッチの違和感は、一般的にアイアン間にありますが、ユーティリティやウェッジとの違いもあるかもしれません。
そのため14本のクラブを揃えるときは、全体の重量配分を確認することをおすすめします。