アイアンを使っていると、自然にフェースの表面や溝の角に傷が付いてしまうことがあります。
その傷の手当をする前に、ヘッドを洗って全体の傷跡を確認してから補修を行っていきましょう。
傷を消す作業と傷を隠す作業、そして修繕する方法を紹介します。
アイアンのフェースに付いた傷を確かめよう!
ゴルフクラブは日ごろから手入れをしないと、どんどん劣化が進むものです。
特に地面に打ち込むアイアンの場合には、泥汚れをそのまま放置しておくと、セメントのように硬くこびり付いてしまうことがあります。
またフォージドタイプのアイアンの中には、錆に弱いものがあるため、汚れ落とし以外に錆止め処理も欠かせません。
アイアンで気になるのは、フェース面に付いた傷や痕です。
アドレスでボールの後ろにヘッドをソールしたとき、普段は気にも留めないような小さな傷に気付くことがあります。
気になったままスイングを開始すると、集中力がそがれ良い結果が生まれないことが多いようです。
そこでアイアンのフェース面に付いた傷の補修方法を紹介していきます。
気づいたらなるべく早く取り掛かりましょう。
まずはヘッドを水洗いします。
フェースの表面や溝、ソールやバックフェースなどを、しっかり擦り洗いして土やつぶれた草を剥がします。
フェースの表面はスポンジ洗いで十分落ちますが、溝は使用済みの歯ブラシを使うと良く落とすことができます。
フェースについた傷を確かめるときに注意する点
アイアンを水洗いするときに、水を溜めたバケツにヘッドを浸けると、シャフトとヘッドのつなぎ目も水没してしまいます。
ホーゼルのつなぎ目にはソケットが付いていますし、そもそも装着時に接着されていますから、水が入る心配はありませんが、ソケット部分まで水に浸さないのが常識になっています。
スポンジに水を含ませるだけで泥汚れは綺麗に落ちますし、このあと再度洗うことになるため、ヘッドを水没させる必要はありません。
水洗いが終了したら雑巾やキッチンペーパーで空拭きをして水気を取ってください。
フェースの溝に小石が挟まっているようなら、爪楊枝や千枚通し、または書けなくなったボールペンの先を使って、溝をなぞって挟まっている小石を外します。
そのあとフェースに付いたボール痕や小さな傷は、キッチン用品で良く使われる消しゴムタイプのメラミンスポンジを使えば綺麗に落ちてきます。
もしも赤錆が浮いているようなら、細目のサンドペーパーで擦って綺麗に落としましょう。
アイアンによってはフェースの傷から劣化が激しくなる
アイアンの中で赤錆が浮くタイプは、打感の軟らかい軟鉄鍛造製の可能性があります。
軟らかい鉄を使っていることから、フェース面やソールは容易に傷がつきやすくなっています。
そうしてできた傷の部分から錆が侵食してくるため、なるべく早くメンテナンスをしたほうが良いでしょう。
まずフェースの傷の部分の目に見えない錆を落とすつもりで、サンドペーパーで擦ります。
そのあと油分を落とすために、食器用の中性洗剤で落として、水で洗い流しましょう。
雑巾やキッチンペーパーで水分を拭き取ったら、錆止めが配合されている潤滑剤を吹き付けます。
キッチンペーパーに吹き付けてから塗り込むのも良いでしょう。
フェースの表面に油分が付くと、「インパクトでボールが滑るのでは?」と不安になるかもしれませんが、その点は問題ありません。
錆止め潤滑剤はグリスのようなべタベタ感はなく、フェースの表面をベタ付かせたり滑らせたりすることはありません。
錆びたネジの中に浸透させて外すことができる液剤なので、フェース面の皮膜も目に見えないものです。
気になるようでしたら、皮膜の上から軽く擦ってしまっても良いですが、それでも効果はある程度持続します。
フェースの傷はアイアンのガンブルー塗装で消す
アイアンで赤錆の量が多い場合は、赤錆を抑えるためにガンブルー塗装をしてみてはどうでしょう。
その塗装によってフェース面の傷痕も消えて、しかも赤錆防止にもなるからです。
ガンブルーという名称から青色の塗料を想像すると思いますが、基本的に塗料色は黒色です。
ガンブルーとは銃器(ガン)が錆びないように皮膜を作るものです。
塗料とは言いますが皮膜となるのは黒錆で、この黒錆を付着させることで赤錆の侵食を防ぐわけです。
黒錆を付着させるのに手脂は厳禁です。
また、水洗い後にドライヤーで乾かすと、アイアンヘッドが熱くなってしまいますが、ガンブルー塗装をするときは冷やした状態のほうがノリは良いと言われています。
ガンブルー塗料は、ヘッドの表面を擦るように塗ると、瞬時に黒錆が現れてきますが、完全に乾燥するまでは風通しの良い日影に立てかけて放置しておきましょう。
塗りにムラがあるようなら、再度重ねて塗っておくと安心です。
乾燥後は仕上げに空拭きで磨いてから、錆止め潤滑剤を振りかけておくと良いでしょう。
ガンブルー塗装が使えないアイアンのフェースの傷を消す
ガンブルー塗料は軟鉄のアイアンに塗ることはできますが、錆の浮かないステンレスなどの鉄に塗ることはできません。
フェースの傷をメラミンスポンジやサンドペーパーで擦っても目立つようであれば、やはり塗装をするしかありません。
傷の深さにもよりますが、スプレーで噴射すれば塗装ができるタイプが簡単です。
吹きかけるときに、「塗料がもったいない」と近づけて噴射するとムラができて仕上がりが悪いため、ある程度のロスはあきらめたほうが良いと思います。
一般の鉄部塗料だと、インパクトの衝撃で剥がれてしまいます。
塗料の粒子が細かいナノ塗料であれば、傷をカモフラージュしても剥がれる心配はありません。
ナノ塗料は柔らかい材質、例えば皮製の椅子とか紙のようなものに塗装して、グニャグニャに曲げても剥がれることはありませんし、トタンのような熱で膨張しやすい鉄でも剥がれることはありません。
順当なつや消しのクリア以外にも、あえてブラックやシルバーで着色することもできますから、好みの色を選択してみると面白いかもしれません。
フェースの傷補修で厄介な溝の角を崩すケースの処理
アイアンのフェースの傷でもっとも厄介なのは、溝に挟まった石が溝の角を変形させた場合です。
溝が潰れた状態になったときは、シャフト交換やライ角調整などを行っているメンテナンス工房に持ち込むのが最良の方法です。
溝切りをし直してもらうことで、少なくともインパクトでボールの表面に傷を付けるようなことはなくなりますし、そこから腐食することも防いでくれます。
ただ溝切りには工賃と時間がかかりますので、溝の角が多少変形した程度の傷であれば、自分でメンテナンスをする方法をとることも検討しましょう。
市販で溝切り専用のガラス切りのようなグッズがありますので、それで毎日少しずつ擦ることですべての溝をメンテナンスしていきます。
対象となるのはすべてのアイアンで、しかもすべての溝をなぞります。
続けていれば切れ味の良いアイアンショットが打てるようになりますし、もちろん溝の傷も目立たないようになってきます。
擦ったあとはそのままにせず、錆止め潤滑剤を噴霧しておくと、より綺麗に仕上がるでしょう。
アイアンのフェースの傷は塗料で見えないようにする
アイアンのメンテナンスは、最初に水洗いをしてから、フェースのボール痕や傷などをチェックし、メラミンスポンジなどで擦って消しましょう。
それでも消えない場合は塗装で隠すのが簡単な方法ですが、アイアンの材質によって塗料を使い分けると綺麗な仕上がりを得られるでしょう。
傷をつけないように使うことはできないのがアイアンです。
そのため、毎ラウンド後に補修なんてことになるのも大変ですから、多少の傷には目をつぶることも必要ではないでしょうか。