ドライバーのロフト角を選ぶとき、何となく適当に決めていませんか?
飛距離やパワーの違いでロフト角を選ぶゴルファーが多いようですが、それは間違っているかもしれません。
ロフト角を違いを知れば、納得できるでしょう。
今回はドライバーにロフト角に違いを用意する意味を考えます。
ドライバーのロフト角の違いと飛距離の関係性
ゴルフショップに足を運んでドライバーを選ぶとき、メーカーやモデル、またはデザイン性などを基準にすることが多いようです。
1つのドライバーに絞り込むと、次に確認するのはロフト角、そしてシャフトとのバランスを選ぶことになるようです。
ドライバーの選び方としては順当ですが、ロフト角を選ぶ基準は決まっているでしょうか?
「自分は普通だから」という漠然とした理由で、ロフト角を選んでも飛距離に結びつくことはありません。
また筋肉モリモリだからとか、スイングスピードが速いからといった理由での選択方法も違います。
ご承知のようにロフト角はフェースの傾き角度を数値化したものですから、ボールをインパクトするとその角度で飛び出すことになります。
仮にロフト角が10度であったとき、フェースがボールの側面をとらえると、打ち出し角は10度になります。
ところがドライバーショットで放たれるボールは、14度の角度が理想と言われています。
つまり足りない4度をカバーする打ち方ができるのであれば、10度が適正のロフト角ということになります。
ロフト角の違いでドライバーの飛距離が決まるわけではない?
ドライバーのロフト角と打ち出し角の違いは、アッパーブローのスイングで埋めてくれます。
高くティーアップしたボールを打つのはドライバーだけですが、これはアッパーブローのスイングをするためです。
ドライバー以外のクラブを使うときは、ショートティーを使ってボールの高さをほぼ地面と同じにします。
払い打つようなレベルブローのスイングは、スイングの最下点にボールをセットしますが、打ち上げるアッパーブローのスイングでは、ボールを高く上げて下から打てるようにするのです。
このときの下から侵入する角度が4度であれば、ロフト角10度のドライバーを使うと、ちょうど良い打ち出し角になります。
もしも、ロフト角10度のドライバーでレベルブローのスイングをすると、打ち出し角が足りないため綺麗な放物線を描くことができません。
つまり打ち出し角が合っていないと、いくらパワーがあっても飛距離ダウンしてしまうわけです。
ドライバーのロフト角の違いの意味は飛距離の3要素で分かる
ドライバーのロフト角とアッパーブローのスイングが相まって、適正な打ち出し角でボールは放たれます。
この理論であればロフト角を選択する必要はなく、決まった角度のものを購入して、アッパースイングで足せば良いだけのはずです。
ところが市販のドライバーは、最低でも2種類の違うロフト角のものを用意しています。
アッパーブローのスイング軌道の違いと言えばそれまでですが、ロフト角10度の場合は9度か11度のどちらかが用意されていることでしょう。
数字で見ると1度の違いですが、パターのロフト角は2度から4度くらいが一般的ですから、その1/2~1/4の角度でしかないわけです。
そんなごく僅かな違いを時速140キロ以上でスイングしているヘッドで調整するのは、まさに神業的なものではないでしょうか。
つまり2つのロフト角の違いは、打ち出し角を調節するためのものではないということです。
この2つのロフト角の違いは、飛距離の3要素を知ればすぐに答えが見つかるでしょう。
ロフト角の違いの意味が分かったところでやはり選べない?
店頭のドライバーを選ぶときに、違いのある2つ以上のロフト角から自分に合ったものを見つけなくてはいけません。
アイアンの場合は、ロフト角によって打ち出し角が決まり、それが飛距離に反映されます。
ドライバーも同様であれば、ロフト角が10度と11度で打ち出し角が変わり、飛距離に反映されるはずです。
ところがドライバーの場合は、10度も11度も同じ14度の打ち出し角が求められるのです。
打ち出す角度が同じでヘッドスピードも同じであれば、飛距離は変わりませんから、どちらを選んでも同じことになると思うかもしれません。
飛距離の3要素を確認すると、初速と打ち出し角とスピン量です。
初速と打ち出し角が変わらないわけですから、最後に残ったスピン量が違うというのが答えです。
スピン量とはバックスピンの回転数のことで、何も考えずにドライバーショットをすると4000回転くらい入ると言われます。
飛距離の3要素が適正としているのは2500回転以下、理想とするのは1800回転だそうです。
この回転数をコントロールするのがわずか1度のロフト角ということになります。
スピン量の抑制のためにあるドライバーのロフト角の違い
ドライバーの飛距離を左右するロフト角の違いは、打ち出し角ではなくスピン量にあるようです。
計測データによると、ドライバーのヘッドスピードが同じ場合、ロフト角10度と11度の初速と打ち出し角はどちらも同じであっても、スピン量はおよそ200回転違うということです。
このときのスピン量は適正値と理想値の中間ですが、それでも11度のほうが吹け上がったために飛距離は10ヤードの違いとなっています。
同じ角度でインパクトをしているのにスピン量が違うのは、ロフト角10度のほうがトップスピンを作り出すスイングになっているからです。
実際のボールはバックスピンがかかっていますが、テニスや卓球で下から上にラケットを動かすドライブをかけたショットと似た状態を作っています。
結果的にバックスピンはかかっていますが、4000回転を1800回転にするには、そのトップスピンをかけるスイングと、なるべくロフト角の小さなドライバーが必要になるわけです。
ドライバーのロフト角の違いを理解して自分に合った物を選ぶ
ドライバーのロフト角の違いは、よりスピン量を抑制して飛距離を伸ばすためのものです。
打ち出したい角度は決まっていますから、ロフト角が立っているとパワーが必要とか、ロフト角が寝ているからパワーを必要としないということではありません。
まして「普通だから」という選択肢はないことも当然です。
松山英樹プロのドライバーのロフト角は9度、池田勇太プロは9.5度、小平智プロは10.9度です。
もちろん皆普通ではありませんが、普通のロフト角のドライバーを使っています。
確かにヘッドスピードの速さで、ドライバーのロフト角を決めている時代はありましたが、それはずっと昔のことです。
オールチタン製のヘッドができて総重量が軽くなったことで、総合的にヘッドスピードが速くなり、その速さに負けないようにヘッドを改良したことで、スプリング効果が最大限に活用できるミート率が飛距離を生んだと考えられています。
ドライバーのロフト角の違いは、スピン量を抑制するためのものですから、プロのドライバーを見て分かるように、自分に合ったものを選べば、例え8度であろうと12度であろうと問題はないのです。
自分のスイングデータを今一度チェック
ドライバーのロフト角の違いを、腕前とかパワーの指標と思い込んでいるゴルファーが多いようです。
実際にはそのわずか1度の違いでスピン量を抑制するために使われるので、自分に合ったものがどれかを決めるためには、自分のスイングデータを詳細確認しておくことが大切です。
練習場へばかり行くのではなく、定期的にショップに足を運んで計測してもらうことをおすすめします。