ユーティリティは便利なクラブで打ち方も簡単なことから、フェアウェイウッドやロングアイアンに代えて使われることが多くなっています。
しかしながら長さが苦手とかフェードやドロー打ちが難しいということで、他のクラブと併用されているようです。
今回はウッドタイプの他にアイアンタイプもある2種類のユーティリティに注目してお話しします。
ロングアイアンの代わりとなるユーティリティの打ち方
フェアウェイはもちろんのこと、ラフからでも打てるユーティリティは便利なクラブです。
一般的に日本国内でユーティリティと言えば、ヘッドはウッドのような丸みのあるもので、シャフトはアイアンのような少し短めで太めが標準的な形です。
フェアウェイウッドよりも小ぶりでも、同じような構造を取ることで重心深度は深いため、フェースにボールが当たれば真っ直ぐに飛ぶと言われています。
ドライバーがどんなに曲がるゴルファーでも、ユーティリティであればストレートボールになるのは、この重心深度とアイアンのような太いシャフトのお陰です。
そうした曲がらないという大きな利点がある一方で、インテンショナルなドローやフェードを打ち出すのには向かないクラブです。
ユーティリティは曲げる打ち方をしても、深い重心深度によってストレートボールになってしまいやすいからです。
ロングアイアンの代わりとして使う場合には、ある程度の方向性を出せれば問題はありませんが、ミドルアイアンの距離になると球筋を打ち分ける性能が必要となってきます。
そのような場面が頻繁にあるようなら、アイアンタイプのユーティリティを使ってみると良いかもしれません。
ユーティリティが合わないときはアイアンタイプがおすすめ
アイアンタイプのユーティリティは主に海外で使われていて、名称はユーティリティではなくハイブリッドと呼ばれています。
肉厚のアイアンと思っていたものが、アイアンタイプのユーティリティだったわけですが、外観的にはウッドタイプのユーティリティとは違ってアイアンそのものです。
打ち方もアイアンとまったく同じダウンブローからレベルブローで構いません。
通常のアイアンに比べると多少の厚さはありますが、ウッドタイプのユーティリティほどの重心深度はないため、アイアンより直進性を高めつつも球筋を打ち分けることも叶います。
インテンショナルなドローやフェードを打つことができ、さらにラフからでも簡単に振り抜くことができます。
アイアンと見間違えるほどの形状をしているのにもかかわらず、振り抜きが良いのはソール幅に秘密があります。
アイアンと比べると、一目瞭然で厚みを感じられます。
この幅広いソールが深い芝の上を滑り、芝の抵抗を受けずにボールをとらえることができるのです。
ユーティリティは7番アイアンと同じ打ち方が良い!
ゴルフを始めたときにスイング作りをしたアイアン、おそらく7番アイアンの打ち方がレベルブローです。
スイングの最下点がボールの真下にピッタリ合うようにしたはずで、芝を削りとることはなかったでしょう。
練習場のマットでスイングをすると、ソールが人工芝を擦る音が「シュッ」と聞こえるはずです。
安定した軌道でスイングができれば、あとはユーティリティの性能でボールを運んでくれます。
ここで大事なことは、アイアンで良くあるダウンブローのような打ち込みをしないことです。
ベアグラウンドのようなライが荒れているところにボールがあると、スイングの最下点がわずかにズレただけでトップやダフリになることがあるからです。
そんな状況でもアイアンなら、クリーンなインパクトを狙うレベルブローではなく、鋭角的に打ち込むダウンブローでボールの下のベアグラウンドごと打ち抜くこともできます
しかしながらアイアンタイプのユーティリティはソール幅が広いため、打ち抜くことができずに跳ね返り、浮いたリーディングエッジでボールをとらえることになりかねません。
アイアンタイプのユーティリティの打ち方はレベルブロー
先ほど説明しましたように、アイアンタイプのユーティリティの打ち方はレベルブローが基本です。
アイアンよりも厚みがあることでボールのつかまりが良くしっかりミートできるのですが、一方で引っ掛けが気になるかもしれません。
強引にインサイドに引く打ち方をすると、フェース面が返ってしまいフックする可能性があるため、注意を払う必要はあるでしょう。
またアイアンタイプのユーティリティは、芝の上を滑らせることでボールをとらえることができます。
芝の中に沈んでいるボールでも、ソールは地面スレスレで芝をなぎ倒しながらボールをとらえます。
「滑る」という表現だと抵抗がないように感じるかもしれませんが、実際にはパワーが必要です。
そのパワーに秀でているのが欧米人だったことで、欧米ではアイアンタイプのユーティリティ、日本国内ではパワーを必要としないウッドタイプのユーティリティが浸透していったわけです。
パワーが必要だからこそのアイアンタイプのユーティリティですが、強引なスイングはフックの要因ともなります。
アイアンタイプのユーティリティの打ち方に慣れるとフックする?
アイアンタイプのユーティリティは、強いインパクトをイメージせずにしっかり振り抜く打ち方をイメージすると、インサイドに引っ掛けるような軌道にはなりません。
ヘッドを振り抜くイメージを持つと、フォーロースルーではターゲットに向けてヘッドを出すはずです。
インサイドインのスイングというよりも、インサイドストレートのようなイメージになるかもしれません。
ヘッドを真っ直ぐに出すイメージが定着すると、ボールの手前から滑りながら入り、インパクトのあともその軌道を維持していくことになります。
つまりインパクトゾーンでのヘッドの直進率は高くなり、フェース面はスクエアで安定することになるのです。
もちろん、これは「イメージ」でしかありません。
実際には上から下へと振り下ろすダウンスイングも加味されるため、インパクトの直前までヘッドの位置は高く、またインパクトのあとも徐々に浮いていくので、スイングの最下点とボールの位置が一致していないと、トップやダフリが生じる可能性は残ります。
ウッドとアイアンの2つのユーティリティの打ち方と注意点
アイアンタイプのユーティリティの打ち方は、アイアンよりもインパクトゾーンを長くイメージし、振り抜きを意識することが必要だと説明しました。
アイアンの場合には軸を移動させずに円のスイング軌道を重視しますが、ユーティリティの場合には、インパクトゾーンを長く取るために右足の内側から左足の内側まで軸を移動させたほうが良いです。
ドライバーショットと同じ体重移動をするのですが、スタンス幅は7番アイアンと同じ肩幅で十分ですから、ドライバーほど大きな移動をすることはありません。
一方ユーティリティの打ち方を習得すると、アイアンはダフリに気をつけなければなりません。
ユーティリティの打ち方は、ボールの手前からヘッドを滑らせますが、その打ち方に慣れてしまうとアイアンでは確実にダフリます。
回転軸を中心としたアイアンのスイングと、インパクトゾーンを長く取るユーティリティのスイングを区別することができれば打ちやすさを実感できるはずです。
ウッドタイプとアイアンタイプのユーティリティがあるため、どちらが自分にとって扱いやすいタイプかを見極めることができると、良いセッティングができあがることでしょう。
ユーティリティの打ち方に慣れるとアイアンショットが不安定になる可能性あり
ユーティリティには、ウッドタイプとアイアンタイプがあり、ウッドタイプはフェースに当てれば真っ直ぐに飛ぶように作られていますが、自分の意思で球筋をコントロールする打ち方に向きません。
対してアイアンタイプは操作性に優れていて多彩な攻め方が期待できますが、既存のアイアンと併用するとミスショットになる可能性があるので注意が必要です。