アイアンの中にはソール幅の広いタイプがあります。
ダフリにくくなってミスショットをカバーしてくれる便利なクラブで、海外では人気となっているのに国内では意外に使われていないようです。
そこで今回はそうしたソール幅の広いアイアンの特性と注意点を紹介していきます。
アイアンにソール幅の広いタイプができるまでの歴史
アイアンにはたくさんの種類があります。
初期型から受け継いできたマッスルバックは、1990年代に登場するキャビティアイアンによって、プロ好みのアイアンと言われることが多くなります。
元々は金属を熱して叩いて成形したことから、シンプルなデザインのマッスルバックしかありませんでした。
当然、初心者から上級者まですべてのゴルファーがマッスルバックを使っていたわけですが、真芯に当たらないと思った飛距離が出ないという欠点がありました。
その欠点を補ったのがキャビティアイアンで、打面の肉厚を薄くすることで、スプリング効果が得られるようにしたわけです。
真芯に当たらなくてもたわむフェース面によって、芯の周辺でも同じような飛距離を出すことができるようになったのです。
初心者はもちろんのこと、中級者や上級者もキャビティアイアンの性能に頼ることになります。
キャビティタイプの成功は、さらに新しいタイプのアイアンの開発へと繋がります。
その1つに振り抜きの良さが際立つ、ソール幅の広いタイプのハイブリッドアイアンです。
トップブレードが狭くソール幅が広いアイアンは便利
ハイブリッドアイアンは、トップブレードはマッスルバック同様に狭くなっているものもありますが、ソール幅はキャビティアイアンよりも広くしています。
広いソールのおかげで、アイアンヘッドは芝の上を滑り、芝の抵抗を最小限にすることができます。
これが振り抜きの良さとなるわけですが、感覚としては同じようなものに9番ウッドや11番ウッドがあります。
ハイブリッドであれば、ラフの中に沈んでいるボールでも、ヘッドを滑らせて簡単にインパクトができます。
フェアウェイウッドほどのヘッドの抜けはありませんが、ソール幅の広いヘッドは、一般的なアイアンと比べるとはるかに振り抜きの良さを実感できるはずです。
ハイブリッドの見た目はソール幅の広いアイアンですが、実はユーティリティの仲間だと言えます。
日本国内のユーティリティはウッドタイプのヘッドが使われていますが、国外ではアイアンタイプのユーティリティをハイブリッドと呼んでいます。
そのためソール幅の広いクラブは、ハイブリッドアイアンではなく、「ハイブリッド」なのです。
アイアンのソール幅が広いタイプはハイブリッドというクラブ
アイアンのヘッドでソール幅だけ少し広いのがハイブリッドです。
キャディバックに入っているときは、ソール側だけが見えるので厚めのアイアンですが、アドレスで構えるとトップブレードが狭いため、マッスルバックのような操作性の良さをイメージできます。
ハイブリッドは見た目の良さだけではなく、トップブレードが狭く、ソール幅が広いため、下部が重く作られています。
そうした低重心のクラブはボールのつかまりが良く、インパクトでしっかりミートすることができます。
また重心が低いと、打ち出すボールは高弾道になります。
アイアンと同じスイングをしても高弾道のボールを打つことができるため、ロングアイアンに相当する番手でもダイレクトにグリーンを狙うことができます。
そもそもソールが広いことで、ボールの手前から入射してもダフることは抑えられ、打ち出すボールは高弾道で直進性に優れているのですから、1度使うと「止められない」ほどの性能を感じることになります。
ソール幅の広いアイアンタイプは使用目的が限定される?
ソール幅の広いアイアンのようなハイブリッドは、アイアン以上の性能を兼ね備えていますが、決してシェア率が高いとは言えません。
ダフらず曲がらずで高弾道と良いこと尽くめのはずなのに、ハイブリッドセットを持つ人は少ないようです。
その理由は、高性能の1つである「真っ直ぐに飛ぶ」ことにあると考えられます。
ゴルフというスポーツでは、グリーンに近づくほど多彩な球筋を求めるようになるため、フェースを開いてスピン量を増やすショットや、フェードやドローなど曲がる球筋で攻める場合があります。
ところが低重心のハイブリッドは、多少フェースの向きが違っても、真っ直ぐにボールを打ち出してしまいます。
オープンスタンスをとって体を開き、フェースを開いてセットしてもほとんど意味がないということになるかもしれません。
振り抜きによって距離を重視するロングアイアンやミドルアイアンの場合には安心できるクラブではありますが、自在にコントロールしたいショートアイアンには、逆に物足りなさを感じることになります。
ソール幅の広いハイブリッドはアイアンのように打てない?
ハイブリッドをソール幅が広いアイアンとして考えると、ソールが広い分だけフェースを開くとリーディングエッジが浮いてしまいます。
入射角度にもよりますが、一般的にはフェースの刃が浮いていたらトップするはずです。
そのことが分かっているとしたら、フェースを開くショットを選択することはなくなりますから、「攻め」の幅は小さくなってしまいます。
つまりロフト角を変えずに打つ場面があるとしたら、3番アイアンから5番アイアンくらいの間ではないでしょうか。
この番手に見合うハイブリッドであれば使い勝手が良いと感じるはずですが、6番アイアンから9番アイアンまでであれば、ソール幅の狭いアイアンのほうが使いやすいかもしれません。
そうなるとハイブリッドは3番から5番までの3本、アイアンは6番から9番までの4本、さらにウェッジが3本で揃えることにあります。
このセットを使いやすいと思うか、かえって使い難いと感じるかは、ゴルファーによって評価の分かれるところではないでしょうか。
揃えてみよう!ソール幅の広いアイアンタイプのユーティリティ
ソール幅の広いハイブリッドに安心感はありますが、操作性という観点からするとアイアンに軍配があるようです。
インテンショナルなフェードやドロー、またスピンをかけた高い弾道などを打ち分けるのことが多ければ、球離れに優れたアイアンを選んだほうが良いはずです。
イメージすると、フェードやドローに打ち分けたりスピンを効かせたりすることは、良くある場面ではありますが、プロゴルファーでない限り実際に使うことは少ないはずです。
しかも、その特殊な打ち方でターゲットに向けて確実にボールを運べたかを検証すると、意外に成功率は低くなることでしょう。
曲げたりスピンを効かせたりせずに、クラブが持つ性能を信じてしっかりインパクトができれば、想定以上にダラダラと転がることはありません。
つまり「プロのような」打ち方を望まなければ、ソールの広いハイブリッドのほうがミスが少なくスコアをまとめることができるはずです。
そういったことから、3番から9番までハイブリッドで揃えて、あとはしっかりミートができるように練習をすればスコアアップが期待できます。
ソール幅の広いアイアンがあればハイブリッドかもしれない
市場に出回るアイアンセットの中にソール幅の広いタイプはありますが、それは海外で人気のユーティリティのハイブリッドかもしれません。
広いソール幅のおかげでダフることはなく、しかも高弾道のストレートボールが可能です。
扱う上での必須条件は、開いたり閉じたり余計なことをせず「しっかりミートする」ことだけです。