アイアンはロフト角によって正しい飛距離を打てる道具

アイアンの距離がプレーに影響を与えることはありますか?

飛ばないことがスコアの伸び悩みになることはないはずですが、多くのゴルファーはロフト角を無視してフェースを立てて、飛距離アップを狙っています。

そこでアイアンのロフト角と飛距離の関係、飛距離アップの心理について考えます。

アイアンの飛距離はロフト角の影響のようで、そうではないらしい?

アイアンの飛距離は番手の刻印によって分かりますが、この番手はロフト角が基準となっています。

一般男性で想定すると、7番アイアンであれば飛距離は130ヤード(ランの5~10ヤードは別)で、8番アイアンなら120ヤード、9番アイアンは110ヤードと各番手の間隔は10ヤード刻みになっています。

ターゲットまでの距離が125ヤードであれば、7番アイアンを5ヤード分短く打つように振り幅を変えて距離を調節するのが常道です。

これが一般的な距離の出し方ですが、中には8番アイアンを5ヤード上げて打つ方法もあります。

それはボールを右足側に置いてフックグリップに握りを変えて、ハンドファーストに構えてフェースを立ててセットします。

こうすると、8番アイアンを握っていても、セットしているロフト角は7番アイアンと同じものです。

ボールが右に移動したことで、スイングが最速となる最下点に入る前にインパクトを迎えることになり、8番アイアンの飛距離はちょうど5ヤードプラスの125ヤードになるということです。

飛距離はアイアンのロフト角よりヘッドスピードによるもの

アイアンの飛距離は、ロフト角だけが影響を及ぼしているわけではありません。

むしろヘッドスピードの速さのほうが、インパクトで衝撃を与えて反発力で飛距離を稼ぐことができます。

一般的なアマチュアゴルファーのドライバーのヘッドスピードは、40~43m/sと言われています。

1秒間に40メートル動く速さの尺度が、いまひとつ分かり難いものがあり、正直ピンと来ない人のほうが多いかもしれません。

時速に換算すると40m/sが144キロ、43m/sは約155キロです。

このスピードでヘッドをぶつけたら、それなりの衝撃があることは想像がつくと思います。

しかも2つのヘッドスピードの差はキロメートルで比べると、時速11キロもあります。

時速11キロは100メートル競走なら歩幅3歩分の違いですから、ヘッドスピードの速さによる飛距離の違いは確実に理解しておく必要があります。

アイアンの飛距離とロフト角の関係

アイアンの飛距離をヘッドスピードで見てみましょう。

ヘッドスピード40m/sの7番アイアンの飛距離は130ヤード、ヘッドスピード43m/sの7番アイアンの飛距離は145ヤードで、比較差は15ヤードもあります。

通常の番手間の距離は10ヤードですから、番手としては2番手上げて5ヤード分だけ距離を調節します。

このヘッドスピードの差で分かることは、意識的にヘッドスピードを落とせば、番手の飛距離は自由に変えることができると言うことです。

番手以外で距離をコントロールするのはものすごく難易度の高いように思えますが、誰でも使ったことのある打ち方です。

突然5番アイアンで9番アイアンの距離を出すとしたら、事前に距離調節の練習をしていなければ難しいと思うかもしれません。

しかし林の中で枝が邪魔になり、5番アイアンで9番アイアンの距離を打つことは珍しいことではありません。

ヘッドスピードの速さにロフト角を組み合わせる打ち方は、練習をしなくても感覚で打つことができるようです。

つまり練習を重ねれば、信頼性の高い距離を打ち分けられるようになれそうです。

ロフト角が飛距離の要素に関係している理由

アイアンの飛距離にロフト角が影響するのは、飛距離の3大要素を確認すると分かるかもしれません。

飛距離に関わる要素は、初速と打ち出し角とスピン量です。

初速はヘッドスピードの速さを衝撃力として、フェースの芯でミートすることで大きな弾みを受けて飛び出すときの速さです。

つまりスイング力とミート力の2つの要素が必要になっています。

次に打ち出し角はまさにロフト角であり、適正な角度で打ち出されれば、性能通りの飛距離を出せます。

ただしヘッドスピードの速さとミートするポイントによって、その飛距離に違いが生じます。

最後のスピン量は、バックスピンの回転数のことで、毎秒何回転すると飛距離が伸びるかはデータ化されています。

基本的には回転数が少ないほうが飛び、回転数が多ければ止まる球になります。

打ち出し角とスピン量はロフト角が関係していて、意識的に角度を変えると理想の放物線に近づき、ブレーキとなるスピン量を少なくすることができます

アイアンのロフト角に合わせた飛距離を狙うようにする

アイアンの役目を考えると、飛距離にこだわる必要はほとんどありませんよね。

飛距離を求めるのであればフェアウェイウッドを使う、それを使うのが難しいのであればユーティリティーで打てば、アイアン以上の飛距離を出すことができます。

しかもアイアンよりも安全に、ミスショットのリスクを最小限に抑えて飛距離を狙えます。

つまりアイアンはロフト角を変えずに、想定した距離をコンスタントに打てることが求められるというわけです。

アイアンを使う状況を考えたとき、すべてがフルショットできることはありません。

常にロフト角の飛距離からマイナスして使うのですから、基準となるフルショットだけがロフトを立てた構え方で、大半のショットとなる距離調節のときはノーマルに戻すようだと迷いが出てくるかもしれません。

単純に距離が足りないと感じれば、ワンクラブアップして飛距離を合わせれば良いでしょう。

無理にフェースを立てるスイングは、ミスを誘う可能性があるので、安全策を選択することがスコアを作るためには必要なのではないでしょうか。

飛距離の違いはヘッドスピードとロフトにある

アイアンは飛距離を狙う道具ではないことは分かっていても、同じ組のプレーヤーが自分よりも下の番手でショートホールをティーショットしていたら、気にならないと言ったらウソになるかもしれません。

ヘッドスピードが40m/sで7番アイアンを使えば130ヤードですが、同伴プレーヤーのヘッドスピードが45m/sもあれば、想定される飛距離は155ヤードです。

ショートホールでは9番アイアンを5ヤードマイナスで打ってピッタリの距離です。

そのため7番アイアンと9番アイアンであれば、気にならないわけがありません。

もしもその45m/sのプレーヤーがストロングタイプのアイアンを使用していたら、アプローチウェッジを使うことになるかもしれません。

ストロングアイアンは、ソールの刻印は7番でもロフト角は5番のようになっていて、2番手上の距離を出すことができます。

そうするとヘッドスピードで2番手、ロフト角で2番手の違いになるので、合わせて4番手下はアプローチウェッジになるというわけです。

この違いに対抗したところで何も意味はなく、距離に合ったアイアンを選んで、ピンそばに乗せればゴルフ的には何の問題もないはずです。

飛距離を求めるよりアイアンのロフトに合った距離を打つ!

アイアンの飛距離を伸ばすのであれば、ヘッドスピードを上げるか、ピンポイントに芯でミートするか、もしくはロフト角を変えてフェースを立てて打つしかありません。

ただし、アイアンの役割は番手に与えられた距離を確実に出すこと、つまり想定したターゲットにボールを運ぶことが優先されます。

そのためには、与えられたロフト角に合わせたショットを心掛けていくことが大切です。