パターの持ち方にルールを設けた理由は下品だったから?

パターの持ち方や打ち方は自由だったわけですが、PGAツアーの優勝回数最多の選手の「パターが入りすぎる」ということから、なんとルールが改正されてしまった経緯があります。

それからおよそ100年、そのへんてこりんなルール改正は残っています。

今回は、最も新しく規制を受けたアンカリングを軸に話を進めます。

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パターの持ち方でルール違反となったのは「入りすぎ」が理由?

何かと「基本」が好きなゴルフですが、パターに関しては持ち方や構え方、それに打ち方について自由とされています。

要はカップインすれば、どんなフォームであっても問題はないという、結果主義になっています。

ただし自由とは言ってもルールはありますので、そのルールは遵守しなければなりません。

ところがパターの持ち方のルールは、分かるようで良く理解できないものです。

イップスに悩むゴルファーにとってゴルフを続けていくために必要だった長尺パターを使う打ち方を、ルールを決めるR&Aの委員会が2016年から「アンカリング」を禁止します。

「入りすぎる」ことを理由に、基点を設けた打ち方を規制したわけです。

突然の規制はイップスに悩むゴルファーにとって新たな試練となり、またパッティングについての共通認識であるはずの「自由」は、抑制されることとなったのです。

ただ「アンカリング」を規制したことは分かっても、実際のパッティングでどう違うのかが分かりにくいのが実態です。

グリップを固定する持ち方がパターのルール違反になる

イップスに悩むゴルファーにとって準備期間は設けたとはいっても、不意打ち的なこの規制に対して、「なぜアンカリングがダメなの?」と不思議に思ったことでしょう。

アンカリングは、あごや喉の下にグリップエンドまたは左手をつけて、そこを基点にして振り子のストロークをするパターの持ち方と打ち方のことを言います。

元々パッティングのスタイルはヘッドを振り子のように動かすわけですから、基点を設けていることがそんなに有利に働くとは思えません。

仮に左手を伸ばしてシャフトの中間を握れば、左肩を基点にした振り子のストロークができます。

パターのグリップエンドは左肘の辺りにあるのでアンカリングはしていませんが、左肩がその基点の役割を担うことができます。

もちろんこれならアンカリングをしていないので、ルール違反に問われることはありませんが、プレーヤーはアンカリングと同じ恩恵を受けられる方法です。

なぜこんなへんてこりんなルールを作ったのでしょうか。

これは遡ること100年前、とんでもないゴルファーが誕生したことに関係します。

マナーに反するパターの持ち方をルール違反に?

米国出身のプロゴルファー、サム・スニードをご存知でしょうか。

彼のパッティングスタイルが奇抜だったことから、「変なフォーム」は違反とみなすことにしたようです。

1912年生まれの彼の戦績はPGAツアーで82勝という、前人未到の大記録を樹立した偉業の持ち主です。

そんな、すばらしい戦績を残していながら観客がリスペクトしなかったのは、パターの変な持ち方が要因だったようです。

サム・スニードのパッティングフォームは、パッティングラインを跨いで股間からパターを押し出すような独特なスタイルでした。

なんとも奇妙な打ち方だったのですが、結果は前人未到の82勝につながっていきます。

パターは結果がすべてなのでだれも文句は言えませんが、観客の女性たちからは不評を買うことになり、結果としてR&Aの委員会は「パッティングラインを跨いで打つのは違反」というルールを作ります。

このルールは今も残っているので、本来は「お先に」で同伴プレーヤーのラインを踏まないように自分のラインを跨ぐのもルールに抵触しますが、元々サム・スニード用に作られたルールですので、それで違反を受けた人はいないようです。

長尺パターの持ち方がルール違反になったのは邪心が原因?

R&Aが「下品だから」という声を反映して違反と決めたのは、英国が聖地であるという自尊心からでしょう。

自国のゴルファーを上回るサム・スニードに対しての邪心があったのかもしれません。

ここまではアンカリングと股間パターに関連はないのですが、自身のパッティングフォームを違反とされたサム・スニードは、同じストローク理論で違反にならない方法を見つけます。

ルールは「パッティングラインを跨ぐ」ことを違反理由にしたため、長めのパターを使ってボールを右足の横に置く、「サイドサドル」というストローク方法を開発したのです。

結果的にこのストローク方法は股間パターよりも精度が高くなり、勝ち星をさらに重ねることになりました。

時は流れて、高速グリーンが常態化する中、パターイップスが蔓延することになります。

それが普段と違う打ち方をすれば回避できることが分かり、敢えて変則な打ち方をするゴルファーが増えてきて、このサム・スニードのパッティングを試すことになります。

そして完成したのがアンカリングと指摘された長尺パターの持ち方だったのです。

イップスになったらパターの持ち方を変えざるを得ない

変則パタースタイルのサム・スニードは、常勝の要因となったボールを右足の横に置くサイドサドルをやめて、パターの持ち方を新しくします。

それはグリップを握るとき左手の親指を上にして小指を下にする、片手だけの持ち方です。

右手はヘッドの少し上に添えて、極端な前屈みの姿勢をとることになります。

元々変則的な打ち方だったサム・スニードは、ルール上の規制で変えざるを得なかったわけですが、さらに新たなパッティングスタイルも求めていったのはサム・スニード自身もイップスだったからかもしれません。

そこに目をつけたイップスの罹患者たちは、この変則の持ち方を真似することになります。

自由なパターの持ち方は、ある者は竹ぼうきを掃くようなアンカリングスタイルになり、ある者は右手の添えるクローグリップへと変わっていきます。

このうちサム・スニードを彷彿させる長尺パターを規制しようとしたのか、またもR&Aは規制に乗り出すこととなります。

結果的にグリップ自体やグリップを握る手が体に触れているとアンカリングになり、触れていなければルール上はセーフになるという規定を設けたわけです。

同じパターの持ち方でもルール違反になっていない?

サム・スニードはパッティングスタイルが元で紳士的でないと評価され、しかも独自のフォームを違反と認定されたのに、同じスタイルのアダム・スコットはなぜ違反にならないのでしょう。

2013年にマスターズで栄冠に輝いたアダム・スコットは、パターが入りすぎることに批判が集まったことで、アンカリングした持ち方を規制するきっかけを作ります。

それを受けてアダム・スコットは長尺パターをやめて、普通のパッティングフォームをとっていましたが、やがて元のフォームに戻します。

傍から見るとルール違反に見えますが、本人は違反していないと主張します。

良く見ると、肘から先は体に触れていませんし、グリップも体に触れてはいないようです。

つまりアンカリングにはなっていない、アンカリングテイストのパッティングということのようです。

元々自由だったパターの持ち方や打ち方を、邪悪とも思えるルール改正で縛ったことが問題でした。

2019年にルールの大改正が行われましたので、2年後の小改正のときには、こうした変なパターの規則も改正して、パターぐらいは自由に打たせてくれることを望みたいです。

パターの持ち方のルールはサム・スニードが強かったから

パターの持ち方をルールで縛ったのは、間違いなく米国出身のサム・スニードの股間パターによるものです。

当時はイップスという概念がなかったので、奇抜なパッティングフォームに変えていたようですが、それが82勝へと繋がったのですから、当時の英国主体のゴルフ界は我慢ができなかったのかもしれません。