アイアンやウェッジの選び方での迷いはマルチタイプで解消?

昔のアイアンセットでは3番アイアンからサンドウェッジまで10本揃っているのが当たり前でした。

それがいつしか自分の好みで選択できる限定アイアンセットができたことで、ウェッジの選び方にも幅ができたようです。

今回はこの一連の流れを振り返りながら、今後のアイアンやウェッジがどうあるべきかを考えていきます。

セカンド位置の違いでアイアンとウェッジの選び方は変わった

従来のアイアンセットは、3番アイアンから9番アイアンまでの7本と、ピッチングウェッジ、アプローチウェッジ、サンドウェッジの3本で、合計10本がセットの内容でした。

ところが現在のアイアンセットは、5番アイアンから9番アイアンまでの5本とピッチングウェッジで、合計6本がスタンダードなセットです。

今でも3番アイアンからの10本セットもごくわずかありますが、主流となっているのは5番アイアンからの6本セットになっているのには、ゴルフクラブの進化が関係をしているようです。

従来のゴルフクラブと現在のゴルフクラブを比較すると、ドライバーはチタン製ヘッドにカーボンシャフトになったことで、格段に軽量化されました。

この結果、ヘッドスピードが速くなり、飛距離が伸びるようになったわけです。

そのドライバーの飛距離が伸びたことで、セカンド地点で使うアイアンの番手が変わってきます。

また扱いが難しいと言われる3番アイアンや4番アイアンよりも簡単な、7番ウッドや9番ウッド、ユーティリティなどが開発されたことで、セカンドでの選び方が変わってきたことがアイアンセットの内容を変えていったようです。

アイアンセット以外のウェッジの選び方は操作性重視

アイアンセットが10本から6本に変わった理由には、ウェッジの進化もあったようです。

一般的にアイアンの番手間の距離は10ヤード刻みで設定されていますが、実際のアイアンショットは距離を調節しなければならず、極端な場合は番手が想定した距離の半分程度も打たないことがあります。

つまり正確な距離はプレーヤーの打ち方によって生み出されるものであって、番手の選び方でアイアンショットを打つケースは少なくなってきたのです。

そうするとコントロールのしやすいアイアンが好まれるようになります。

その代表的なのがグリーン周りからのショートアプローチです。

距離や方向だけではなく、チップショットやピッチエンドラン、さらには難易度の高いロブショットなどを望むプレーヤーにとっては、アイアンセット以外の自分好みのウェッジを使用するようになります。

多くのプレーヤーがアイアンセットのウェッジを使用せずに、セット以外でショートアプローチ用のウェッジを望むようになったことから、セットから除外されていったようです。

自由な選び方ができるアイアンセットにピッチングウェッジ

プレーヤーのニーズによって、既定化されていた10本のアイアンセットは6本になりましたが、ここで注目するのはピッチングウェッジです。

元々ウェッジができたのは、バンカーショットが苦手な選手が簡単に脱出できるようにと開発したものです。

砂の中に打ち込みやすい「クサビ型」のアイアンを、その名の通りウェッジと名付けたのですが、その後アプローチにも使われるようになり、現在のバリエーションができていきます。

そんな中サンドウェッジの派生だったピッチングウェッジは、現在アイアンセットに組み込まれています。

実はピッチングの名称を使わずに10番アイアンと称しているメーカーもあり、今ではショートアプローチの道具としては見なされていないようです。

これもまたプレーヤーのニーズが反映され、距離を刻むアイアンとしての役目が多くなってきたことで、アイアンセットに組み入れられていったようです。

ただしアイアンセットの中にはウェッジを入れず、5番アイアンから9番アイアンまでの5本セットにして、ウェッジは好みによる選び方ができるようにしているものもあります。

進化していくアイアンとウェッジに合わせ選び方も変化していく

ある意味では選び方に自由がなかったアイアンセットの時代から、扱いにくいロングアイアンや多様性が求められるウェッジは、プレーヤー自身が自分の技量によって選べる時代へとなってきています。

それを可能にしたのは、ゴルフクラブの進化があったからです。

そもそもサンドウェッジが開発されなければ、今もニブリック(9番アイアンに相当)を使ってアプローチをしていたでしょうから、おそらくコースの形状やバンカーの配置すら違っていたかもしれません。

確かにプレーヤーのニーズによって道具は進化し続けているのですが、その進捗状況は短期間では気づかないものです。

ある日突然のようにヘブン(7番ウッド)が生まれ世界を席巻し、結果的にユーティリティへの道を作っていくことになります。

ウェッジもバンカーからの脱出にこだわり、ソールに膨らみ(バンス)をつけて安定感を増すように進化していきます。

一方でバンスを削り、シャープなソールでアプローチをする、高いピンポイントに落ちる球筋を生み出すロブウェッジへと進化していきます。

アイアンとウェッジの選び方は「簡単さ」がキーワード

アイアンやウェッジは進化を続けてきましたが、この間のプレーヤーはどうでしょう?

距離を打ち分けるためにいろいろな打ち方が開発されて、徐々に難易度が高くなってウェッジの良さを生かしきれなくなっていきます。

例えばロブウェッジを持っていても、ここぞというときにトップが心配で使えないことがあるかもしれません。

ショートアプローチの難しさが分かってくると、簡単に打てるアイアンやウェッジを望むようになります。

つまりプレーヤーのニーズは高機能でありながらも「簡単さ」へと、選び方は変化していくことになるのです。

アイアンショットの打ちミスがなく、アプローチはバックスピンで止まる、何の努力もせずにスイングするだけで希望の球筋を打つことができるようなモデルが開発されていきます。

しかしながらそういったモデルは当然のようにルールによって規制され、フェースの溝は深さや角までルール化されていくことになりました。

熟練した技量を持つプレーヤーとの差がなくなってきたことで、今度はベテランのプレーヤーたちのニーズが反映されていくことになります。

選び方を迷わないマルチアイアンやウェッジは登場する?

ベテランプレーヤーの多くは、アイアンの距離を望むようになります。

簡単なクラブの恩恵はパワーのあるプレーヤーに対して有利に働くことになったので、パワーを補うために飛ぶアイアンへのニーズが高まり、ストロングタイプのアイアンが開発されます。

それまでの番手よりも1番手から2番手飛ぶように設定されているので、中にはベテランプレーヤーのアイアンショットほうが飛ぶケースも出てくるようになります。

元々アイアンは距離を刻むための道具ですから、飛距離が伸びても意味はないのですが、潜在的なニーズに合っていたのかもしれません。

爆発的な波及で、多くのゴルファーが当たり前のようにストロングタイプを使うようになりますが、しばらくすると飛距離よりも距離感が大事だとまた回帰することになるのは想像できます。

用途に合わせたアイアンやウェッジの選び方から、1本で多様にショットができる道具へと変わっていく日が来るかもしれません。

ただしこれまではニーズを反映してきた各メーカーですが、万能なマルチアイアンが完成してしまうと売り上げダウンが予想されるので、開発を手がけるかにも注目していきたいところです。

アイアンとウェッジの選び方の基準はプレーヤーによって違う

アイアンの中から生まれたウェッジですが、次第に用途が限定されていくため、その使い方に迷いが出てくることになります。

技量に合わせた選び方ができるようにするべきか、道具の性能に合わせた技量を持てるように研鑽するのか、どちらが正解なのかプレーヤーによって答えは違ってくるはずです。
自分がどちらのタイプなのか考えてみることをおすすめします。