ドライバーの高反発ルールとは?ルールで決められた基準は?

高反発ドライバーとは、フェース面を限りなく薄くして反発力を極限まで高めたドライバーのことです。

ゴルフのルールでは、クラブフェースの反発係数(COR)の数値が0.830を超えてはならないと規定されています。

今回は高反発ドライバーがルールで決められた背景、利用した場合の飛距離などについて解説します。

ドライバーの高反発禁止など、ゴルフのルールは誰が決めている?

ゴルフの規定は、R&A(英国ゴルフ協会)とUSGA(米国ゴルフ協会)が共同で、ゴルフの持つ長い歴史、伝統、文化を配慮しながら、環境の変化等を考慮して4年に1度改定することになっています。

高反発ドライバーは、2008年の改定で新たに定められたSLEルールで規制されました。

このルールができたことで市場に出回るクラブはすべて一度チェックされ、適合リストに掲載されるまではいかなる反発力であろうとルール違反とされることとなります。

実際はドライバーだけでなくフェアウェイウッドやアイアンまでを網羅するルールです。

SLEルールの「SLE」とは、Spring Like Effectの略で、ドライバーにバネのような反発効果を過度に持たせてはならないとし、その基準をクラブフェースの反発係数(COR)0.830以内としました。

次にR&AとUSGAが高反発ドライバーを規制した背景を見ていきましょう。

高反発ドライバーがルールで規制された背景

少しでも遠くに飛ばしたいゴルファーの欲求にゴルフメーカーは常に応えてきました。

高反発ドライバーが規制される前は、技術の発達によりクラブフェースの反発係数を高めることでドライバーの飛距離は飛躍的に伸びていき、メーカー同士がドライバーの飛距離を競い合う飛距離競争が行われていました。

あまりにドライバーに飛距離が委ねられると、例えばパー5のコースでほとんどのゴルファーが2オンしたり、パー4のコースで1オンするといった事態にもなりかねず、ドライバーの飛距離に比例してコースも長くする必要が出てきます。

ただ、ゴルフ場は限られた敷地内でしかコースの長さ等を調整できませんし、毎年のようにコースを改装するなると莫大な投資が発生しますので、ドライバーの飛距離を抑制するルールを制定する必要があったのが背景にあるようです。

規制を最初に言い始めたのは、USGAでした。

R&Aは、当初クラブフェースの反発係数と飛距離に因果関係はないという見解を出していましたが、さらにゴルフクラブの開発が進んだため、R&Aも規制に踏み切らざるを得なくなりました。

それでは、ゴルフのルールで規制されている高反発ドライバーはコースで使用できないのでしょうか。

その点を次に見ていきましょう。

ルール適合外の高反発ドライバーはコースで使えない?利用している人はどんな人?

高反発ドライバーは、公式競技や各クラブの月例会などのハンディーを取得する競技会の場合は利用できません。

それ以外のプライベートでの友人とのラウンドや会社関係のコンペなどでは利用しても基本的に問題ありません。

ただコンペでもそのコンペ内ルールとして規制されることも考えられますので、参加する際は確認したほうが良いでしょう。

確かにゴルフのルール上、高反発のドライバーは利用できませんが、ゴルフを趣味として楽しんでいるゴルファーの中で、全てのルールを守ってプレーをしている人が果たしてどのくらいいるでしょうか。

パー3のショートホールで友人がナイスショットした後にクラブの番手を聞く、15本以上のクラブをバックに入れラウンドする、救済時のドロップを肩の高さから行う、救済エリアを計測するクラブにクラブの中で最も長いドライバーを利用せず、手持ちのアイアンで救済エリアを計測するなどは、すべてルール違反です。

ただ高反発ドライバーは、現在でも大手メーカーが新作を発表していることから、一定のニーズがあるのは間違いありません。

ドライバーの飛距離に自信があったけれど、年を重ね、力の衰えにより飛距離が落ちてきた方や、十分な練習時間を確保できないけれど、飛距離は確保したい方に人気があるようです。

それでは、高反発ドライバーを使えばだれでも低反発ドライバーより飛距離を伸ばせるのでしょうか。

次にこの点を考えます。

ドライバーの高反発・低反発による飛距離の違い

SLEルールの規制対象の指標となっている反発係数は、0から1の範囲で表され、1に近づくほど反発力が強くなります。

理論上反発係数が0.001増えると飛距離は1ヤード伸びると言われています。

例えを挙げると、ヘッドスピード40m/sのゴルファーが反発係数0.810のドライバーからSLEルール適合ギリギリの反発係数0.830に変えた場合約20ヤード、ルール適合外の0.845に変えた場合約35ヤードほど飛距離が伸びると言われています。

もちろんクラブの反発係数のみがドライバーの飛距離に影響しているわけではありませんので、理論通りの効果が見込めるとは限りません。

ゴルフの飛距離には、ボール打ち出し時の初速、角度、スピン量が影響します。

特にボールの初速は飛距離に大きく影響しており、初速が大きいほどボールが伸びると言われています。

つまり高反発ドライバーは、フェースのたわみと強い反発力でボールを弾くことでボールの初速度を上げて飛距離を伸ばす仕組みになっているのですが、ボールのスピン量は落ちてしまう傾向があります。

ボールのスピン量は、多すぎると吹け上がり飛距離をロスしますし、少なすぎても上手くボールが上がりません。

ボールのスピン量が落ちすぎてしまうと、高反発ドライバーを使っても飛距離が伸びない事態も起こりえるのです。

また高反発ドライバーはフェース面を限りなく薄くすることから、クラブの重量が軽くなるため以前と同じスイングができなくなったり、ドライバーだけ重量が軽くなることで他のクラブとの重量バランスが崩れてしまうことがあります。

各クラブの重量が正しく調整されている場合、それらの重量を測定して、縦軸に長さ、横軸に重量をとり、線で結ぶとほとんど一直線になります。

高反発ドライバーを購入する際は、今のクラブよりも軽くなる可能性が高いので、他のクラブと重量バランスがとれているかを必ず確認するようにしましょう。

高反発ドライバーとヘッドスピードの関係は?高反発ドライバーが合うゴルファー

高反発ドライバーをヘッドスピードが速いゴルファーが利用すると、飛距離が伸びるメリットよりもデメリットが発生する可能性が高くなりますので注意が必要です。

具体的には高反発ドライバーはフェース面を薄く加工しているので、フェース面が割れてしまう可能性があること、前述のようにバックスピン量が減り過ぎてしまい、ドロップして飛距離をロスしてしまうことの2点が挙げられます。

従って高反発ドライバーを利用するのに適しているのは、ヘッドスピードが35m/sから38m/sくらいのゴルファーと言えます。

実際高反発ドライバーを利用されているのは、年齢を重ねることで飛距離が落ちてきた年配の方が多い状況です。

高反発ドライバーを利用するのに適したヘッドスピードが35m/sの方が、標準的なSLEルール適合のドライバーを利用した場合の飛距離は平均175ヤード前後ですが、高反発ドライバーを利用した場合、約195ヤード前後と約20ヤード伸びると言われています。

これがヘッドスピードが38m/sの場合では、標準的なドライバーで195ヤード前後、高反発ドライバーだと215ヤード前後となります。

このようにクラブを替えるだけで20ヤード近く飛距離が伸びるのであれば、高反発ドライバーを利用したい人も増えるのではないでしょうか。

ただ高反発ドライバーを購入するとなると、出費が多くなり二の足を踏んでしまいます。

そこで現在利用しているドライバーを高反発ドライバー並に反発係数に高めることはできないのでしょうか。

現在使用しているドライバーの反発係数を変えられる?高反発加工とは

一般的に販売されているSLEルール適合のドライバーは、万一にも適合外のドライバーが世にでないようドライバーを製造する際の個体差を考慮して、ルール規定の上限である反発係数0.830より大きく抑えられています。

SLEルール適合のドライバーの反発係数が低く抑えられているのは、フェース面が肉厚であるからです。

このフェース面を少しずつ削っていきフェース面を薄くすることを高反発加工と言います。

ルール適合のドライバーを利用していて愛着もあり買い替えはしたくないけれど、飛距離を伸ばしたい場合、高反発加工をすることを検討してはいかがでしょうか。

高反発加工は、ゴルフ工房等で実施されていて、費用はあくまでも目安で40,000円から50,000円程度必要となるようです。

それでも新規に購入するよりは出費を抑えられる可能性もありますし、同じクラブを利用できる安心感もあります。

またクラブ単位で個別に加工していくので、ルール適合の最上限である反発係数0.830ぎりぎりまで上げることもできます。

特に競技やハンディー取得を目的にされていないエンジョイゴルファーであれば、SLEルールを無視して反発係数を上げることもできます。

ただし高反発加工はフェースを削っていくため、ヘッドスピードが速いゴルファーが加工したドライバーを使用した場合、フェイス面が割れてしまう可能性が高まりますので、そこは注意が必要です。

ドライバーの高反発規制ルール、ルール適合外のドライバーの利用制限や飛距離

今回は、ドライバーの高反発規制のルールの内容、ルールが制定された背景についてみてきました。

ゴルフのルールでは、クラブフェイスの反発係数が0.830を超えるクラブを利用してはいけないとされていますが、競技会やハンディー取得時以外のプライベートな場での使用まで禁止されていません。

高反発ドライバーはヘッドスピードが遅い方に向いています。

高反発ドライバーを使用したい場合、新しく購入する方法と現在利用しているルール適合ドライバーをゴルフ工房等で反発係数を高める方法があります。

興味を持たれた方は一度試してみてはいかがでしょうか。