シャフト選びで知っておきたいトルクの数値とスイングの関係

シャフトを選びのポイントの1つにトルクというスペックがあります。

小さな数値で表されていますが、その意味を理解していないことが多いようです。

そこでシャフトのねじれの数値がスイングに対してどのように作用しているのか説明します。

無駄なの?シャフトのトルク数値を知ること

ドライバーがフックするのは、シャフトの「トルクに問題があるかもしれない」と、聞いたことはありませんか?

そもそもゴルファーの7割がスライスに悩みを抱えている中、フックするゴルファーは「上手い証拠」なんてことを言われることがあります。

しかしながら意図せずに左側に曲がっていくようだと、思い切ったスイングができなくなってしまい、想像以上にデメリットは大きくなります。

ところが自分のスイングに合ったシャフトを使いたいと思ったとき、トルクをマッチングさせることは意外に難しいかもしれません。

シャフトのしなりであれば、しなり具合や戻り具合は、スイングをしていても実感できるはずですし、ヘッドスピードの数値を確認することでシャフトの硬さはおよそ見当がつきます。

ところがシャフトのねじれについては、スイングしながら感じることは少ないはずです。

また同じトルクのドライバーであっても、スイング方法が異なればトルクは変わってきます。

正しいトルクを見つけられる第1歩は、自分がどんなスイングをしているのかを知ることです。

とりあえずシャフトのトルクの意味と数値の意味を理解しよう

そもそも論になりますが、「シャフトのトルクとは」について確認しましょう。

ヘッドのヒール側にシャフトが接着されているので、スイングをするとそのヒール側を軸にトゥ側は開いたり閉じたりします。

このときのシャフトのねじれをトルクと言いますが、一般的にトルクが2.7以下を「小さい」と分類し、5.5以上を「大きい」と分類しています。

この数値は何段階かに区分されていて、選択時の目安として使われることがあります。

1つの目安として、小さい順に~2.7、2.9、3.4、3.9、4.8、5.5~と分けることはできますが、問題はトルク値が2.7だと、どのくらいシャフトのねじれが小さいのかが分からないことです。

しかも、すでにスイングが完成されているプロゴルファーと違って、日々進化を続けているアマチュアのスイングでは、多少のトルクの違いは「誤差の範囲」になることがあります。

コースがタイトなレイアウトであれば、ドライバーのスイングが慎重になるのは普通のことです。

コンパクトなスイングをすれば、それだけシャフトのねじれも少なくなるので、マン振りしたときに合わせたトルクでは使い難いでしょう。

このコントロールショットの機会がどのくらいあるかによって、自分に合ったトルクを決めるときの判断材料にもなってきます。

スイングに合ったシャフトのトルクと数値を探してみよう

まずは自分のスイングを分析してから、トルクの数値を選ぶようにすべきです。

ゴルファーでもっとも多いと言われるスイングスタイルは、スクエアフェースでインパクトをするドライバーショットです。

異論はあるかもしれませんが、多くのゴルファーはターゲットに向けてドライバーショットを打ち出しています。

ただし14回のティーショットで、数回のミスショットは起こるかもしれません。

ここではリスク回避のために、シャフトのトルクを選ぶことはせず、素直にストレートボールのショットのパターンで考えます。

ドライバーを構えてからトップまでは比較的ゆったりとしたリズムでテークバックをし、左腕が地面と平行になるまではほぼノーコックの状態です。

トップの位置でコックを固めて、しっかりタメをとってからダウンスイングに切り返します。

ダウンスイングでは徐々にコックをリリースしていき、スクエアフェースを重視してインパクトを迎えます。

このようなスイングでは、シャフトのねじれは少ないので、トルクは3.9を目安にすると良いと考えられます。

フェースが開くスイングに合うシャフトのトルクの数値とは?

スクエアフェースでインパクトをしたいとは思っていても、なぜかフェースが開いてしまうのは、シャフトがねじれているからかもしれません。

スイングを確認してみると、リズムが早くなっている可能性があります。

ドライバーを構えてからテークバックを始動するとき、手首の力でヘッドをひょいと引き上げてしまい、その勢いでトップの位置までグリップを持ち上げると、ヘッドの重みでオーバースイング気味になります。

正しいヘッドの位置よりも過度に回ってしまったことで、タメができずにダウンスイングへと切り返すことになります。

すると先に体が開いてしまい、それに追いつくためにリストターンで対処しようとするため、シャフトがねじれてフェースが開きスライスします。

トルクの数値の大きなドライバー、この場合だと5.5以上にすればフェースの開きは収まりやすく、スライスは抑制されるはずです。

同時にキックポイントが先調子のタイプを選ぶと、さらに効果は大きくなるはずです。

普通のシャフトと言われるときのトルクの数値はいくつ?

ゴルフでは良く「普通」という言葉を使います。

ヘッドスピードはと聞かれて「普通です」と答えたり、シャフトの硬さの好みを聞かれて「普通が良いです」と答えたりすることが多いようです。

実はこの場合の「普通」については、間違った使い方をしているわけではありません。

ゴルフクラブのライ角は、日本人の平均身長に合わせて作られていますから、まさに普通なわけですし、シャフトのフレックスのレギュラー(Rシャフト)はヘッドスピードの平均値である40m/sを基準にしていますから、こちらも普通なのです。

「平均=普通」であるならば、普通とは平均とされる数値の範囲内にあるということになります。

この辺が日本語の面白いところかもしれませんが、ゴルフのシャフトでは平均はアベレージ(Aシャフト)、普通はレギュラー(Rシャフト)と区分していて、普通のほうがワンランク上としています。

シャフトのトルクにも「普通」はあります。

一般的にはトルクが4.8であれば、インパクトの直前でわずかにフェースが開き、インパクト後に振り抜けるときにフェースが閉じいていくタイプです。

シャフトのトルクを6段階に分けて普通の数値が上から2番目

シャフトのトルクを2.7~5.5の6段階に分けて、トルクの大きい順で2番目となる4.8が普通なのですから、数値だけを見ると違和感があるかもしれません。

ただスイングから考えると、インパクトの直前までフェースは開いた状態で、ボールの芯の部分でスクエアになり、ヘッドがボールの左端を抜けるときには閉じていきます。

インパクトのタイミングによっては、軽いフェードボールになっているかもしれませんし、逆にドローボールの可能性もありますが、一応はストレートボールのインパクトのパターンにはなっています。

ヘッドのねじれを活かしたインパクトがしやすいのは、このトルクが4.8のドライバーということになります。

それに合うのは、テークバックはゆったりとしたリズムで行い、トップでしっかりタメを作ってから体の回転でスイングをする、いわゆるボディーターンのスイングです。

こうしたスイングフォームは時代とともに変わりますので、もしかすると数年後の「普通」は変わっているかもしれませんが、トルクが4.8、フレックスはR、キックポイントを中調子で揃えると、どれも普通で扱いやすいドライバーであると考えても良いのかもしれません。

トルクの数値が普通のシャフトに合うスイングとは

インパクトのときのシャフトのねじれ具合をトルクの数値で確認できたとしても、その意味を知らなければ活用のしようがありません。

このときの数値の意味とは、どれだけのねじれがあるのかではなく、スイングとねじれの関係を知って、自分のスイングにはどんなトルクが合うのかを知っておくことです。

もしもスイングが「普通」であれば、トルクも普通のタイプを揃えるのが良さそうです。