ゴルフクラブを寝かせるスイングをすると、軸を中心とした円のスイングができるようになると考えられています。
そのため極端に寝かせるスイングに注目が集まっていますが、そのポイントは何なのか、フラットすぎるスイングプレーンの打ち方と、難易度について紹介します。
天才プロがゴルフクラブを寝かせることで注目されている?
有名ゴルファーの中に、ゴルフクラブを寝かせるスイングを実践していて注目を集めています。
世界的にはガルシアやファウラーなど多くのトッププロたちが短尺ドライバーを使って横振りのスイングをしているのに、爆発的な飛距離と曲がらない球筋で結果を残しています。
ただし、あまりにも独創的なスイングフォームだったこともあり、一般のアマチュアゴルファーに浸透することはなく、少しの期間だけ真似をしてみても、良い結果を得られないことから、そのスイングから離れていったのです。
つまり限られた一流選手にしかできないスイングフォームと思われていたのですが、なんと不振にあえぐ我らの石川遼選手が、このクラブを寝かせるスイングを取り入れたのです。
天才的な素質を持つ石川遼プロができたとしても、一般ゴルファーができるとは限りませんが、同じ日本人ゴルファーが取り入れたことでフラットなスイングにさらなる注目が集まっています。
一般ゴルファーにクラブを寝かせるゴルフスイングは難しい?
基本的にクラブを寝かせるゴルフスイングは、意識的に寝かせることが重要です。
もしも無意識にクラブが寝てしまうと、ダウンスイングで右肩が出てヘッドが遅れ、フェースが開いてスライスの球筋になってしまうからです。
また右肩を低い位置でテークバックしようとするために、左肩が浮いて右肩が沈む典型的な悪いフォームになってしまいます。
あくまでも背骨を回転軸にした円のスイングをイメージして、その結果でクラブを寝かせるスイングになっていれば良いわけです。
つまり回転軸に合わせたスイングをしていれば、左肩が浮いたり右肩が沈んだりすることはありません。
一般ゴルファーにとって問題なのは、スイングプレーンを意識したスイングができないことです。
意識すればミスに繋がるのですが、無意識でテークバックをすることが可能なのかと言うこと、そしてダウンスイングでさらにその下の軌道を通す必要があります。
このスイングの軌道について、もう少し詳しく確認してみましょう。
寝かせる角度はどのくらい?
もともとスイングプレーンという概念は、今から半世紀も以前にベン・ホーガンというプロゴルファーが唱えたものです。
最強のゴルファーと言われたホーガンは、このスイングプレーンをヘッドの動きの上限として定めたのですが、厳密な基点や箇所を説明していませんでした。
そのため後年になってから様々な解釈が生まれて、現在では大きく2つのスイングプレーンが存在しています。
1つは首元からヘッドを結んだ線を1枚の板に見立てて、それよりも越えないようなスイングをするというものです。
これだと基点が首元であるから、かなり立った軌道のスイングになります。
もう1つはゴルフクラブを構えたときの、シャフトの傾きをスイングプレーンとしたものです。
肩から下がったグリップの位置とヘッドを結ぶ線ですから、こちらはかなり寝かせるスイングプレーンになります。
現在ではテークバックの軌道とダウスイングの軌道が違うことが当たり前と考えられていて、縦振りと横振りの間を通るオンプレーンがダウンスイング時の正しい軌道と考えられています。
トッププロが取り組むクラブを寝かせるゴルフスイング
ダウンスイングでは、オンプレーンが正しいスイングプレーンと考えられていますが、ゴルフクラブを寝かせるダウンスイングは、シャフトを基点としたスイングプレーンのさらに下をスイングします。
ただしテークバックはオンプレーンの軌道を通るので、ダウンスイングで寝かせることになります。
ここで注目したいのは、寝かせるスイングを完成させているガルシアやファウラーと、石川遼との違いです。
ガルシアやファウラーの右肘は、トップの位置で背中まで回っているので、身体の正面から外れています。
回転軸を中心に左肩が90度回転しているのですから、対角線上の右肩も背中側にあることは理に適っています。
その肩の横にある右腕、右肘も背中側にあるのは正しいのかもしれません。
しかしながら石川遼プロの右肘は、通常のスイングと同じように右サイド、もしくは捻転した身体の正面にあります。
この右肘の位置の違いが、寝かせるスイングの角度が完全になっていない原因なのかもしれません。
まだ改造中ということですから、いずれはガルシアやファウラーのようなスイングになるか、もしくは遼スペシャルのスイングになるのか、ゴール地点は明かされていないようです。
上手に寝かせるスイングの仕方
石川遼プロが結果を残せていないこともあって、いまだ日本のゴルフ界ではメジャーなスイングではありませんが、回転軸を中心としたスイングは腰への負担が軽減されるはずです。
米国ツアーで腰に爆弾を抱えてしまった石川遼プロにとっては、完成させることが世界の舞台に戻るために必要なことなのでしょう。
ただ一般ゴルファーがここまで寝かせるスイングプレーンをとると、フックフェースでインパクトをするか、ヘッドが遅れてフェースが開くかを心配しなければなりません。
基本は軸を中心に腰を回転させて、同時に両肩でクラブを担ぐように引くと、右肩が沈むテークバックを防ぐことができます。
少しだけ左脇が開くイメージになるので、ダウンスイングで右腕に力を入れると、スイングプレーンが歪んでしまいます。
そこで左手首のコックをリリースすれば、クラブヘッドが前に出るので、正しいスイング軌道でインパクトすることができるはずです。
ゴルフクラブを寝かせるスイングをしなければならない理由
正しいインサイドインのスイングができるのであれば、無理にクラブを寝かせるスイングをする必要はないと思います。
天賦の才を持つ石川遼プロでさえ、2017年から取り組んだスイング改造が2年経っても完成していないのですから、一般ゴルファーがこのスイング改造をしたところで完成するのかは微妙なところなのではないでしょうか。
石川遼プロの場合は、腰を痛めたことからスイング改造に踏み切ったのでしょうが、一般ゴルファーなら腰が直るまでは休止しているはずです。
寝かせるスイングプレーンは、どうしてもゴルフスイングの改造をしなければならない、そんな状況下のゴルファーが取り組む領域のものなのかもしれません。
通常のパッティングでイップスになり、長尺パターを使えなくなって、クローグリップで対応するのと同じくらい特殊なスイングですから、一般ゴルファーは普通にスイングすれば良いだけだと思います。
ただ練習場で寝かせるスイングでボールを打つと、アウトサイドイン気味の軌道は修正できるので、スイングチェックのときには役に立つ場合もあると言えるでしょう。
寝かせるスイングが合うのかの確認が必要
ゴルフスイングでクラブを寝かせるスイングは、通常のスイングであるオンプレーンよりも低く、それよりも低いシャフトプレーンよりさらに低い軌道でスイングすることになります。
回転軸を中心にした円のスイングとしてメリットもありますが、極端にフラットなスイングにはマイナス面もあるので、自分に合うスイングかを確認する必要があります。