アイアンを構えたとき、ボールをスタンスの中央に置くのか、番手ごとにボール位置を変えるのか迷うことがあります。
今回はグリップよりも右側にボールがある、いわゆるハンドファーストの構えの必要性と、スタンスの中心にスイングの最下点を定める必要性について解説します。
アイアンのボール位置を中心に置いても軸は右側に移動する?
アイアンショットでブレが生じたときは、ボール位置に問題があったのかもしれません。
正しいボールの位置は、スタンスの中央を基準に番手ごとにボールを移動します。
そのとき使うアイアンは7番です。
7番アイアンで構えたときボールを中央に置いて、グリップもスタンスの中央で握るのが基準です。
アイアンの場合は体重移動が少なく軸移動があまりないので、背骨を中心軸とした円の回転ができます。
正しいスイングができれば、フェース面とグリップは中央にあるはずです。
ところがドライバーショットと同じくらい深いテークバックをすると、中心にあったはずの中心軸は右側に移動して、ダウンスイングでは勢い良く左足に向かって移動していきます。
この過程でインパクトを迎えるのですが、タイミングがずれるとスライスやフックになり、球筋は安定しません。
しかもスイングスピードが増してくると、グリップが先行しやすくなり、ヘッドが遅れてフェースが開いてしまいます。
ボール位置を右側にするとグリップは左側で構える
アイアンのボール位置は、7番アイアンを中心に置いて、8番アイアンは右側にボール半個分、9番アイアンなら1個分移動します。
逆に6番アイアンなら左側に半個分、5番アイアンなら1個分移動しなくてはいけません。
7番アイアンよりも番手の大きい場合は、中心よりも右側に置くのはゴルフのセオリーです。
ところがグリップが先行した状態でインパクトを迎えると、フェースが開いてスライスの元になります。
このグリップが先行する理由は、ゴルフクラブの軽量化とスイングフォームの進化によるものです。
鉄のパイプがシャフトだったころは、クラブ全体が重く、スイングスピードは上がりませんでした。
ところが軽量スチールやカーボンシャフトが開発されて、誰もがプロ並みのスイングスピードを出せるようになったわけです。
スイングスピードが速くなれば、ヘッドが遅れてくるのは仕方のないことです。
結果的に多くのゴルファーは、ハンドファーストで構えるようになります。
中央でアイアンショットする意識で右側をボール位置にする
ハンドファーストというのは、ボール位置よりもグリップ位置が前方にあること、つまり中央よりも左側で構えることになります。
アドレスでのハンドファーストは、そのままインパクトのグリップ位置と同じです。
つまりハンドファーストで構えると、アイアンのフェースはターゲットに面していますから、インパクトでグリップが中央よりも左側にいっても、フェースが開く心配はなくなります。
ここで注意しなければならないのは、イメージは中央でインパクトをすることです。
アドレスでグリップを左側に置いたのは、その状態でフェースを合わせると、スライス防止になるからです。
左側で構えたグリップを握り直さずに右側に移動して中央で構えてみると、フェース面は左側を向いてフックフェースになるのが確認できます。
つまり中央でフックフェースで構えても、グリップが先行した状態でインパクトを迎えることから、フェースはターゲットに面するのです。
アイアンを右側で構えるとボール位置とフェース面が合わない
先ほど説明したようにボール位置を中央にして、グリップだけを左側で構えると、スライス防止になります。
ただ過度に左側に寄せたハンドファーストにしてしまうと、打ち出すボールはフックしますし、逆に右側に寄った弱めのハンドファーストだとスライスします。
ハンドファーストの構え方には3種類あります。
ゴルフのバイブルに書かれている1つ目は、使用するアイアンによってボールの位置とスタンスを変えていく方法です。
徐々にオープンスタンスになることから、ボールの位置が前方(飛球線が遠くなる)に移動し、さらに左側に移動していきます。
これは理論的には正しいのですが複雑なことと、アイアンを使う場所にはアンジュレーションがあり、理論通りのショットが打てない場合があります。
そこで現在は2つ目のボール位置を常に同じ中央に置いて、グリップの位置を変えていくシンプルなスイング法です。
ボールの位置が一定ということは、スイングの最下点が変わらないということです。
そして3つ目が現在の主流となっているボール位置を移動するスイング法です。
アイアンのスイングと右側に移動するボール位置の関係
アイアンのスイングだけを考えると、すべての番手が同じスイングをしてボール位置を変えないシンプルなスイングが良いと思いませんか。
しかしながらそのスイングは練習場のようなフラットな場所では便利ですが、実際はつま先下がりではスタンスを左に向けたり、左足下がりの傾斜ではボール位置を右側に移動することもあります。
つまりアンジュレーションのあるコース内では、スイングの最下点でボールポジションを決めるよりも、状況に合わせてボール位置を変えたほうが実践的なのです。
結果的に3つ目のボール位置を変える構え方がミスの少ないからと主流となったわけです。
ただボール位置を変えるということは、スイングの最下点が毎回違うことになります。
スイングだけではなく、球筋も変わってきます。
一般的にボール位置を左側にすれば、フェースが寝て高い弾道になりますし、右側に置けばフェースが立って低い弾道になります。
ところがボール位置を変えることで、意識的に高いボールを打ち上げたり、バックスピンの効いたボールを打つことができるようになります。
ボール位置を右側に置くときのアイアンショットの注意点
アイアンショットの目的は、ピンポイントにボールを運ぶことですね。
ボール位置を左側に変えることで高い球筋になり、真上から落下させてピンポイントに攻めることができるようになります。
またボール位置を右側に置くことで、バックスピンを効かせて止めるショットができるようになるのですから、攻めの幅は広がっていきます。
問題はスイング軌道の安定とインパクトでのフェース面です。
ボール位置を左側にした場合、そのボールの真下にスイングの最下点とするために、身体自体が左側に傾いてスイング軌道が崩れることがあるかもしれません。
またボール位置を右側にする場合、フェースが開くのを抑えようと、右手首を手のひら側に折ってしまうこともあるでしょう。
手首をこねるスイングは、距離が不安定になるばかりか、トップやダブりなどミスショットの原因となるので、抑止したいスイング法です。
そう考えるとコース内に斜面があろうとも、基本はスタンスの中心でボールをとらえることが最善とも考えられます。
あとは攻めのために、ボール位置を変えることで、プレーの幅を広げていくのがミスの少ないプレースタイルになるでしょう。
アイアンのボール位置はグリップよりも右側に置くべき
スイングの基本となる7番アイアンのボール位置は中央です。
番手が上がるとグリップを左側に移動し、ボールはそのまま右側に置いておきます。
このフォームにすれば、距離のあるアイアンショットでもフェースが開いてスライスすることはなくなるはずです。