アプローチの場面でのクラブ選択は、ほとんどの人がアイアンの中でもウェッジばかりになりがちです。
ではなぜウェッジを使おうとするのでしょう?
ゴルフを始めた時からそのように教えられたからですか。
それともレッスン書や雑誌でウェッジでのアプローチ打ち方が紹介されていたからかもしれません。
理由は様々かもしれませんが、アプローチはウェッジばかり使うのでなく、その状況に合った番手のアイアンを選択をして失敗しない打ち方を覚えれば、アプローチは途端に簡単になります。
アプローチとアプローチショット。ちょっとした言葉の魔法
アプローチのゴルフ以外の意味を辞書で調べてみると
・近づくこと。接近。
・対象とするものに迫ること。また、その方法。
・門から入口まで続く通路
つまり、アプローチとはグリーン(ピン)に迫る打ち方ということになります。
アプローチとはその場の状況のことで打ち方のことではありません。
アプローチの場面でウエッジを多く使う人が多い理由はここにあります。
グリーン上だからパターという選択をし、同様にアプローチの場面もアプローチだからウェッジという選択肢しかなくなっているということです。
これは心理的な言葉の魔法なのです。
この魔法はゴルフを始めた時からかかっている場合が多いので、自分ではなかなか気が付きません。
おまけに雑誌などでは、新作の宣伝とアプローチの打ち方や性能の説明が大々的に特集されたりしています。
それを読んでアプローチはウェッジを使うという意識への刷り込みがより一層強くなってしまうのです。
グリーン周りだからとりあえずアプローチを打つではなく、「この距離は8番アイアンだ」「あと15ヤードだ」などと考えることへと意識を変えていきましょう。
言葉の魔法や余計な情報に惑わされずに、その時の状況でのクラブ選択と打ち方でグリーンを捕らえ、カップの近くに寄せる事が上手いアプローチショットです。
アプローチショットの正しい打ち方も基本はアドレスから
ゴルフの基本はアドレスです。
そのためアドレスが狂うと全てが狂います。
特にアプローチショットはアイアンやウェッジでピンポイントにターゲットを狙う打ち方なので、より正確なアドレスと安定した打ち方が必要になります。
そんなアプローチショットのアドレスの作り方はまず、ボールとターゲットを結ぶ飛球線と平行に立つことから始まります。
そして、球を中心に肩幅程の歩幅で直立します。
そうしたらアイアンのグリップを握り、胸の前辺りで両腕を軽く伸ばしましょう。
そこから、肩の力を抜いて腕を下に下げてくると両肘が身体に当たって下がらなくなるはずです。
その状態からお尻を突き出すように前傾してください。
ヘッドをボールにセットするとグリップエンドが左足の鼠径部にくるようになります。
グリップは指の付け根で握りしっかり手首を固定するようにしてください。
持っているアイアンのシャフトの長さやライ角によって前傾の角度や膝の屈伸は変わってきますので、適正なシャフトの長さやライ角は自分で確認するしかありません。
これは重要なことですので、忘れないでください。
スタンスは靴の3分の1ほどオープンスタンスにして、左の靴先は45度ほど開き右の靴先は真っ直ぐにします。
また、少し右に開くと右膝が左に流れなくなります。
そして地面を足の指でつかむようにしっかり意識して立ちます。
こうすると上半身に無駄な力が入りにくくなります。
アイアンの動きとアプローチのスイング方法
アプローチもドライバーやアイアンショットと同じで、正確なアドレスから始まり前傾姿勢はそのままで、両肘を体から離さずグリップを固定して、背骨を軸に肩甲骨を動かすようにスイングする打ち方です。
バックスイングでグリップを腰の位置まで上げていけばトップとなります。
トップではシャフトが飛球線と平行になりヘッドのフェイスは正面を向きトゥは上を向くようにします。
左肘が開かないようにダウンスイングを開始してインパクトは意識せず、利き手で球をフワッと包み込むようなイメージで球を捕えます。
フォローは球を打った後グリップが反対の腰の位置辺りまで上がりフィニッシュを迎えます。
フィニッシュでヘソはターゲットに向き左脇は締まり、グリップは身体の正面を向き、手首の固定は解除されヘッドのトゥが上を向いている状態になるようにしましょう。
フィニッシュの時ヘソが前を向きヘッドのトゥが上に向いているようになれば、しっかりとボディターンとフェースターンができているといえます。
アプローチショットではターゲットを狙う打ち方が要求される
同じアドレス、同じ打ち方、同じスイングができれば、あとはピンまでの距離に応じた番手のショートアイアンを選択するだけです。
アプローチショットは直接カップを狙う打ち方ではありません。
当たり前のことですが、グリーンに乗った球は推進力があるために転がります。
しかしながら、いざアプローチショットになるとこのことを忘れて、直接ピンを狙ってしまいがちです。
すると、たとえナイスショットをしたとしてもカップをオーバーしてしまったり、最悪はグリーンを越えて奥のラフやバンカーにつかまってしまうこともよくあるでしょう。
アプローチショットは打った球がグリーン上のどこに着地して、そこからピンまでどのくらい転がるかを考えて着地点のターゲットを狙う打ち方をするのが正解です。
しかしそのターゲットまでの距離は千差万別ですから、ウェッジだけでその距離を打ち分けるのは至難の技です。
そこで残りのアプローチの距離をショートアイアンの8番、9番、PW、SWでその番手ごとの飛距離で打ち分ければそう難しくはありません。
下は各アイアンの飛距離を1とした場合のそれに対してのランの距離です。
・8Iは飛距離が1に対してランは4
・9Iは飛距離が1に対してランは3
・PWは飛距離が1に対してランは2
・SWは飛距離が1に対してランは1
練習で自分の飛距離を覚えて、各番手の飛距離とランの割合を理解すれば、アプローチはもっと簡単に感じるはずです。
アイアン以外もアプローチの武器となる
アプローチショットは飛球線上に障害物がなくターゲットまで近ければパターで狙えますが、少し距離はあるが障害物がない場合は5番ウッドのようなショートウッドを使う手もあります。
ロフト角も少なく、打ち方も簡単でパターのように打てば低い弾道で飛びランも出せるからです。
転がして寄せる状況であるならば、絶対に転がすべきです。
アイアンやウェッジではライが悪くてザックリしそうだとか、距離感が出せそうにない状況でも5番ウッドだと上手く寄せられる可能性があります。
雨でぬかるんだライや冬場のアプローチでは特に力を発揮し無難に寄せていけます。
5番ウッドはパッティングの要領で転がせるので打ち方も非常に楽です。
アドレスはショートアイアンのアプローチショットと同じです。
グリップを短く握って固定して、なるべくボールの近くに立つようにしてください。
ややハンドアップにしてグリップエンドの延長線が左脇腹の辺りを指すようにします。
あとは右足寄りにセットしたボールをコツンと打つだけです。
慣れないうちは、うまく距離を合わせて転がせるか不安ですが、ちょっとした打ち方のコツを覚えればアプローチで必ず使える武器となります。
アプローチの打ち方は全てのアイアンの打ち方に通じる
100ヤード以内のアプローチショットはドライバーショットのように大きく曲がることもないから大怪我をすることもありません。
また、パッティングのようにカップという小さな的を狙う必要もありません。
ショットやパターの調子は日によって違うことが多いのですが、アプローチショットはそうではありません。
打ち方やちょっとしたテクニックを身につけておくと、常に1ピンくらいまでは寄せられるようになります。
アプローチショットとはショートアイアンのハーフショットですが、カップに寄せるためには正確で安定したアドレスから、狙った方向にロフトなりの高さで、振り幅通りの距離を正確に打つものです。
そしてこれは、全てのアイアンの打ち方に共通するもので、ロングアイアンやミドルアイアンのフルショットもこのハーフショットの振り幅を大きくしただけのものです。
つまりアプローチが自分の思い通りに打つことができるようになると、スコアアップに絶大な効果をもたらすのです。
スコアメイクの鍵はアプローチの打ち方にあり!
アイアンのショットやパターの調子は日によって違うことが多いのですが、アプローチショットはそうではありません。
ショートアイアンのアプローチショットを自分のものにすることで、多少のショットのミスをカバーし、ボギーオンやパーオンも狙えるようになります。
まさにアプローチはスコアメイクの鍵となりますが、基本を知らないがゆえにアプローチの打ち方を難しく考えすぎていることがよくあるはずです。
実は、あの辺りに落とせば自然にボールは転がってカップに寄ってくれる、そんな気楽な気持ちでできるのがアプローチなのです。