ドライバーをダウンブローでスイングするメリットってある?

トッププロのドライバーショットは、5割以上がダウンブローでスイングしているそうです。

アッパーブローがセオリーにも関わらず、あえてスイング軌道を変えるのにはそれなりのメリットがあるからでしょう。

今回はなぜダウンブローのドライバーショットをするのか、その意味について考えます。

ドライバーをダウンブローにするメリットはあるのか

アップブローでスイングしなければならないドライバーショットを、ダウンブローで打ち込むことはありますか?

ドライバーはボールを下から打ち上げるアッパーブローでスイングすることで、綺麗な放物線を描いた弾道になります。

フェースの角度いわゆるロフト角は大きくても12度程度ですが、打ち出す角度は14度以上が適正といわれているので、フェースを2~3度上に傾けて下から打ち上げなければなりません。

ところがトッププロの多くは、メリットがなさそうなダウンブロー気味に打ち込んでいるようです。

ヘッドスピードが速くてテレビ中継ではヘッドがどんな角度でボールをとらえているかは分かりませんが、スイングの解析写真や動画をスローモーションで見れば、アッパーブローではないことは分かるはずです。

必ずしも高弾道でなければ飛距離が伸びないわけではありませんが、ダウンブロー気味に打ち込むと打ち出し角はフェースの角度以上に上がることはないはずです。

それでも結果としては、プロゴルファーのボールは飛んでいますから、ヘッドスピードの速さにその特別な理由があると考えなければなりません。

ダウンブローにするメリットはドライバーの方向安定性

トッププロのドライバーショットがダウンブローになっているのは、打ち出すボールの方向を安定させるためだと考えられています。

本来のドライバーは飛距離を求めるゴルフクラブなので、強いインパクトとともに打ち出す角度やスピン量が重要になってきます。

アマチュアレベルのヘッドスピードであれば、スイングの最下点をボールの手前に定めて、遅れるヘッドをコックのリリースで修正して、ヘッドが浮かび上がるときには上を向いたフェース面でボールをとらえることができます。

ところがトッププロの50m/sを超えるヘッドスピードではヘッドの遅れを修正しても、最下点を通過した後にフェースが開いてしまい方向が安定しません。

そこで飛距離を出せるアッパーブローを止めて、ロフトを立てたダウンブロー気味に打ち込むようにしていると考えられるのです。

そのため若干ティーを低くしてボールの側面をとらえるようにしますが、スイング軌道はダウンブローです。

このスイングのメリットは方向性の確保ですが、スピン量が増大するために飛距離ダウンがデメリットということになります。

ダウンブローのメリットを得るには300ヤードのドライバーショットが必要

トッププロは飛距離ダウンのデメリットを承知で、ドライバーをダウンブローでスイングしているのは方向性を安定させたいからです。

トッププロが出場するトーナメントのコースセッティングは、どのホールも異常と思えるほど難易度が高く、フェアウェイキープはスコアメイクの上で「必須条件」といえます。

ドライバーの着弾点となる300ヤード以上先のフェアウェイ幅は20ヤード程度です。

グリーンでさえ30ヤード以上はあるでしょうから、ドライバーでピンそばを狙っているような精度が必要となる計算です。

そうすると、5~10ヤード飛距離ダウンがあっても、フェアウェイセンターをキープするメリットのほうがプライオリティーは高くなると考えるのがプロならではでしょう。

そこで不思議なのが、ダウンブローでインパクトをすると本当にフェアウェイがキープできるかです。

アマチュアゴルファーがダウンブローでインパクトをすると荒れ球になるのに、トッププロは球筋が安定するのには、それなりの理由があるはずです。

加速するドライバーのスイングをすることがダウンブローのメリット

ドライバーショットをダウンブローで打ち込むためには、まずヘッドスピードが速いことが絶対の条件です。

さらにスイートスポットでインパクトができる技術も必要です。

このヘッドスピードとスイートスポットの2つの条件が揃うと、ボールを打ち出すときの初速が速くなりミート率は高くなります。

高いミート率があることを前提に、右足から左足までの体重移動を瞬時に行います。

瞬時といってもヘッドスピード50m/s以上の速いスイングに合わせるので、瞬間的になるだけのことです。

本来は左足の内側で体重移動を止めて、軸の回転でヘッドスピードを加速させますが、ダウンブローで打ち込むときは右足のかかとを上げるフォームにします。

つま先で蹴るようにすることで、ヘッドスピードを加速させるメリットが得られるのです。

短距離選手のスタートのように右足を蹴ることで、体重を乗せたドライバーショットになります。

このときのイメージは、インパクト後に右足がターゲット側に1歩踏み出すような感じです。

もちろんプロがそんなフォームになることはなく、両目、両肩、両腰がターゲットに面してフォロースルーで正しい姿勢をとっています。

低いティーでドライバーがダウンブローだとメリットはある!

ドライバーをダウンブローに打ち込んでメリットがあるのは一握りのトッププロだけですが、ティーを低くすればアマチュアゴルファーでも方向を安定させることはできます。

トッププロのようなスイングはできませんが、昔のイチロー選手の振り子打法のように、左足を踏み込む打ち方をすれば飛距離はわずかにダウンする程度で真っ直ぐに飛ばすことができるからです。

イメージし難いですが、ボーリングの球を投げ終わってから、右足を前方にスライドさせるのと同じようなことです。

ゴルフではテークバックで左足のかかとを上げて、ダウンスイングでしっかり踏み込み、そのまま右足を近づけてフィニッシュを迎えます。

ダウンブローであることからスイング軌道は縦振りに近くなりますが、フォロースルーをしっかりとれば方向性は確保できるはずです。

またスピン量が増大することから、吹け上がり気味になるのでランが少なくなり、総体的な飛距離ダウンは止むを得ませんが、それだけにピンポイントにボールを運ぶショットができるようになります。

ドライバーを縦振りのダウンブローにする

ドライバーのスイングはアッパーブローが基本です。

ヘッドスピードが速すぎて方向が安定しないという特別な理由があれば、ダウンブローで対応する方法もありますが、50m/sをマークできるアマチュアゴルファーは極々わずかなので、無理にスイング軌道を変える必要はありません。

ただドライバーショットの方向性が安定しない場合には、縦振りのダウンブローは曲がり難いというメリットがあります。

ダウンブロー気味にはなりますが、実際にはレベルブローに近いスイングになるはずです。

もしもレベルブローで適正な打ち出し角にするためには、ドライバーをスプーンに持ちかえたほうが結果的に飛距離がアップすることもあります。

飛距離を落としてフェアウェイのセンターを狙うのであれば、ロフト角14度以上のフェアウェイウッドを選択したほうが確実だという考え方です。

ヘッドスピードが速いゴルファーが、安定的なゴルフを目指すためにダウンブローのスイングを取り入れようと考えるのであれば、レベルブローやダウンブローに適したクラブを選択したほうがより安定した球筋でプレーをすることができるはずです。

ダウンブローのメリットはドライバーショットの安定性

ドライバーショットの基本はアッパーブローですが、プロ並みのヘッドスピードがあればダウンブローのほうが曲がらないというメリットがあります。

ただし飛距離ダウンにつながるので、安定性を求めるのであればスイング軌道を変えるよりも、ドライバーをフェアウェイウッドに変えたほうが安心できることでしょう。