アイアンショットがスライス気味で、球筋が気になるときに鉛を貼って応急処置を施すことがあります。
一度貼ると余程のことがない限り、貼りっぱなしにしてしまうことが多いようです。
今回はスライスを防止するために鉛を貼る位置と、ヘッドが重くなることでバランスが崩れることを防ぐカウンターバランスについて解説します。
アイアンショットがスライスするときは鉛を貼ってみては?
アイアンのフェース面はフラットなので、正しいインパクトができれば真っ直ぐに飛び出すはずです。
フェースにはロフト角という斜度があるため、飛び出したボールにはバックスピンがかかります。
ところがインパクトでほんの少しでも擦ってしまうと、サイドスピンがかかり曲がる球筋になってしまいます。
グリップの握り方やアイアンを構える位置、またボールを置く位置を変えることで修正できますが、シャフトのフレックス(硬さ)やバランス(調子)が原因の場合には正しいスイングに変えて対応しなくてはいけなくなります。
もしも正しいスイングをしているのにスライスするようなら、シャフトが柔らかすぎるか、手元調子になっていることが考えられます。
スイングを変えると「悪いクセ」になる可能性があるので、こんなときは鉛を貼ってアイアンをプチ改造するほうが簡単に解決できるかもしれません。
ただし闇雲に鉛を貼っても効果はないので、どこに鉛をつけると修正できるかを知っておくと良いでしょう。
アイアンにスライス防止の鉛を貼ってもルール違反にならない
アイアンに鉛をつけることで、スライスを修正することができます。
ただし規制されている箇所があるので、まずはルールの確認をしましょう。
まずラウンド中にスライスが出たために、その場で鉛を貼るのはルール違反です。
ラウンドをスタートする前に鉛を貼っておかなければなりません。
プレー中頻繁にスライスするからと鉛を貼ると、クラブの改変になるのでダメですが、スタート前に貼っていた鉛がはがれた場合には元に戻すことが認められています。
なおプレー中に鉛を剥がすと、これもクラブを改変したことになりルール違反です。
そのためはがれないように汚れや脂分を綺麗に拭き取ってから接着するようにしましょう。
また鉛の角を潰しておくと、引っ掛かってはがれることがなくなります。
ただしヘッドのフェース面には鉛を貼ることはできません。
またルール上は許されていますが、ソール部分に貼るとはがれる可能性が高いので、実際に貼れるのはバックフェース(裏側)だけということになります。
スライス防止用の鉛はアイアンの曲がりと逆側に貼るべき?
アイアンのバックフェースに鉛を貼る場合は、スイングでトゥ(先端)が開いてしまうことが原因でスライスするのを防ぐためのものです。
アイアンへッドのトゥ側が開くことを別視点で考えると、ヒール(根元)側が先行しているとも言えるわけです。
そこでバックフェースのヒール側に鉛を貼ると、重心距離が短くなってフェースは返しやすくなります。
まず鉛を1枚貼って、しばらくはその状態でショットを繰り返して、スライスの度合いを確認します。
プレー上での許容範囲であれば1枚だけにしますが、もしもスライスが止まらないようであれば、2枚目を重ね貼りしてください。
ティーなどを使って角を潰して、しっかり固定するようにしましょう。
なおトゥ側に貼ると重心距離が長くなり、フックを防止することができます。
そのためスライスするのにトゥ側に鉛を貼ってしまうと、さらに悪化するので注意が必要です。
鉛の貼る位置を理解せずにヘッドにつける場合、重くしたほうが先行すると勘違いして、この間違いを犯してしまうことがあるので、「曲がる方向と反対側に貼る」ことを覚えておきましょう。
アイアンヘッドの中央下部に鉛を貼るのもスライス防止になる?
軽いスライスの場合には、持ち球としてそのままでも問題はないと思いますが、どうしても気になるようであれば、バックフェースの中央下部に鉛を貼ってみましょう。
アイアンはドライバーなどウッド系のクラブに比べると奥行きがありません。
そのため重心(芯)はフェースの表面とほぼ同じところにありますが、バックフェースの中央下部に鉛をつけると重心深度が深くなり、奥行きのあるヘッドと同じ効果を得ることができます。
重心深度が深くなると、ボールの直進性が増して上りやすくなります。
ターゲットに向けてピンポイントにボールを運びたいアイアンにとっては、高弾道のボールは魅力的なはずです。
また中央下部に鉛を貼ると、スピン量を抑えてくれることからサイドスピン量も減って、軽いスライスであればストレートの球筋に変えることができるはずです。
ただしヘッドが重く感じるようになることから、シャフトのバランスが変わって、引っかけの不安が起こる場合もありますことも知っておきましょう。
ヘッドに鉛を貼ったらカウンターが必要?
スライスを防止するために、アイアンヘッドに鉛を貼るとヘッドだけが重くなるため、先バランスになることがあります。
先側になると「ヘッドが効いた」感じがするため、スライスは防止できても今度はフックが気になり出す可能性が高まるのです。
スライスからフックへと曲がる方向が変わっただけでは意味がなくなってしまいますよね。
このような場合には、カウンターバランスでヘッドの重さを消してしまいましょう。
鉛をグリップ側に貼ることで、手元側でバランスを取るわけです。
ただしヘッドに貼った鉛とは違って、テープタイプの鉛を貼ります。
グリップラバーの先に鉛テープを貼るのですが、ルール違反にならないようにつなぎ目がないようにピッタリ合わせてシャフトを1周してください。
このときつなぎ目を空けたり重ねたりすると、ルールに抵触することがあるので注意が必要です。
なおスライス防止のためとはいえ、アイアンのヘッドに貼る鉛の量が3個以上になるようなら、クラブそのものの見直しが必要かもしれません。
本番前に限定してアイアンスライス対処法の鉛を使う
アイアンショットでスライスする理由が良く分からないときは、とりあえずヘッドの根元側に鉛を貼って様子をみましょう。
スライスの原因がスイングにあったときには、いずれ正しいスイングに修正されていくので、自然とフック気味になっていくことが考えられます。
鉛を貼ったことで一瞬でスライスが止まったとしても、それは恒久的な対策ではありません。
ただし重心深度を深くするために、バックフェースの中央下部に鉛を貼った場合は、アイアンの特性を考えて恒久的に使うことができます。
鉛を貼ることは簡単ですが、剥がすタイミングは意外に難しいものなので、最初から期間を決めて貼ると良いかもしれません。
少なくとも鉛を貼ったアイアンでなければスライスすると、イメージが体に染みこんでしまうと悪いクセとして残ってしまうことも考えられます。
ラウンド前の練習で「今日はスライス気味」の対処法として鉛を使うようにして、練習場では正しいスイングで正しい球筋になるように鉛なしのアイアンで練習するようにしましょう。
スライス防止のために鉛を貼る位置と継続使用の注意点
アイアンショットがスライスするときは、ヘッドの裏側に鉛を貼るとフェースの開きを抑えることができ、球筋を安定させられます。
鉛を貼る箇所はヒール側が基本ですが、間違ってトゥ側に貼るとスライスはさらに悪化するので注意が必要です。
また鉛をつけるのはラウンド前までに完了し、1回ずつ貼るくらいの気持ちを持つと、鉛頼りになることなく、正しいスイングを身につけることができます。