ゴルフの構えで腕を胸の上に乗せているのはなぜ?

ゴルフクラブを構えたときに腕を胸の上に置いて、肘の内側を上にしているフォームを見たことはあるでしょうか。

見た目は窮屈そうな姿勢ですが、何かのメリットがあるからその姿勢をとっているはずです。

今回は腕を胸の上に乗せるフォームを紹介します。

アドレスで腕を胸の上に置くのはゴルフクラブのライ角が原因

アドレスで正しい姿勢をとっているはずなのに、歪んでいることに気づくことがあります。

スタンスを肩幅に開いて上半身を前傾させると、肩から下がる腕は「ゴリラ」のように左右に揺らせることができる状態になっているはずです。

グリップと体には一定の間隔があって、テークバックで腕が動きにくいようなことはありません。

ところが上半身の前傾が浅くなると、腕が体にくっついた状態でゴルフクラブを構えることになるでしょう。

人にもよりますが、テークバックを始める前に、この密着した腕が原因で動きにくいと感じてしまうため迷いが生じます。

両腕を伸ばして手を合わせたとき上腕は胸の上に置くべきなのか、両脇から体を挟むようにするべきなのか、結論はどちらかが正解とうことはありません。

正しい姿勢はゴリラのポーズですから、正解はもっと深く前傾姿勢をとることです。

ただゴルフクラブのライ角が体型と合っていなければ、正解であるゴリラのポーズをとれないことがあります。

アドレスで胸の上に腕を乗せるのは正解?

国内用のゴルフクラブのライ角は、170センチの身長に合わせていると言われています。

ヘッドをソールしたとき、シャフトは自然な状態で斜めになっているはずです。

このシャフトと地面の角度がライ角なのですが、身長が170センチよりも低い場合は、シャフトの先端についているグリップは高く感じられるはずです。

仮に足から肩まで長さが10センチ低くければ、腰の辺りで握るはずのグリップをお腹の位置で握ることになってしまうでしょう。

これではスイング姿勢をとることができないので、前傾姿勢を起こしてグリップの位置を引き上げます。

それに伴って上半身を起こすため、胸の上に腕が乗るように構えます。

このとき両肘を体につけて、腕の内側を上にして構える方法とゴリラのポーズで両手を合わせたときと同じように、肘を外側に向ける構え方があります。

どちらでも問題はありませんが、次の動作を考えると腕の内側を上にして構えたほうが動きやすくなると思います。

左腕で胸の上を擦るようなゴルフスイングが必要な理由

ゴルフクラブをトップの位置まで引き上げるとき、右肘を折り曲げて右手でグリップを支えます。

このとき右肘は地面を指すようにするために、アドレスの時点で胸の上にある腕は内側を上に向けておくと、スムーズに曲げることができるはずです。

ただこのテークバックの仕方は、ライ角と身長が合っていないときの対処法であって、クラブセッティングが体に合っているのであれば、スタートから胸の上に腕を乗せて構える必要はありません。

一方でダウンスイングでは、「左腕で胸を潰すように」という表現法があります。

胸の上を擦るようにスイングすると、正しいスイング軌道を作れるという意味です。

これは左脇が開くとき、もしくは両腕を前に突き出すようにスイングしている場合に使われています。

左腕で左胸を擦るようにダウンスイングすると、左肘は体の内側に入るので、外に逃げるカット打ちを防ぐことができるのです。

またインパクトのフェース面を重視してノーコックでスイングすると、腕を真っ直ぐ前に出してグリップが身体から離れることも防ぐことができます。

腕を胸の上に置くゴルフスイングの狙い目は?

一般ゴルファーの場合は、テークバックでスムーズにトップの位置までゴルフクラブを引き上げられるようにするため、もしくはダウンスイングで左肘が外に逃げないようにするために、アドレスで腕を胸の上に置いて両肘を体につけていると説明しました。

特に肘が内側に絞り込まれることから、スイングで両脇が開くことを防ぐことができるのがそれを採用する理由でしょう。

一方プロゴルファーの中でも、ゴルフクラブを構えたときに肘を体のほうに向けて、胸の上に腕を乗せてアドレスをしていることがあります。

そんなゴルフスイングが完成しているプロゴルファーの場合には、テークバックのスムーズさやダウンスイングの肘の逃げが原因で構えを変えることはないはずです。

まして左腕で胸を潰すようなスイングをする必要もないはずです。

それなのに肘をつけて腕を胸の上に乗せています。

そこに期待する効果は、アマチュアと違いヘッドスピードを上げるためと正しいスイングをすることにあるようです。

ゴルフ上級者が腕を胸の上に乗せるアドレスをする理由

プロゴルファーやアマチュアの上級者が、腕を胸の上に置いてアドレスをするのは、肘が体の内側に収まることを重要視しているからです。

この状態で捻転をすると、体の回転した範囲でしか腕を動かすことができないので、体と腕は一体でトップの位置までゴルフクラブを引き上げることができます。

インサイドインのスイングを重視するゴルファーの場合には、スイング中に肘が外側に逃げることを嫌います。

外に逃げるということは、手打ちになっていると考えられるからです。

もちろんフルスイングでそのようなフォームを取ることはありませんが、距離をコントロールするためにハーフスイングやクォータースイングをしようとすると、手打ちになりやすくなります。

同じスイングフォームをとることで、安定したゴルフスイングに繋がるので、すべてのスイングでこのアドレスの姿勢をとっているのです。

さらにヘッドスピードの加速に必要な、トップの位置でタメが作りやすくなるというメリットもあるようです。

腕を胸の上に置いたアドレスでタメを意識したゴルフスイング

腕を胸の上に置いてアドレスをするのは、体の軸をイメージしてスイングするための方便のようなもの。

前傾して腕を下ろし、自然な状態でゴルフクラブを握れば、スムーズなテークバックはできるはずです。

ただその動作をすることで、軸が歪んでスイング軌道が不安定になるゴルファーもいるのです。

そんな不安がある場合の対処法として、腕を胸の上に置いたアドレスは1つの方法といえます。

回転軸を中心としたスイングは、腕の動きと体の動きが一体であることが必要です。

腕と体がバラバラに動くと、ヘッドが遅れて開いてスライスしたり、ヘッドの遅れを防止するために手首をこねてフックしたりと、インパクトが不安定になります。

一方で体と腕の動きが合っていないタメを意識したスイングがあります。

回転軸を意識して、体の回転が先行して、あとから腕が追ってくるようなスイングを「タメ」と言いますが、円運動の内側のスピードを上げることで外側が加速することで飛距離アップが期待できます。

体が先行し腕が遅れますが、一対でスイングするイメージを持つことが重要です。

そのために、この腕を胸の上に置いたアドレスをとっていることがあります。

腕を胸の上に置くのにはインサイドインのゴルフが必要

ゴルフスイングで腕を胸の上に置くフォームはイレギュラーな姿勢ですが、回転軸を意識したスイングを期待するときに使うことがあります。

そのために必要なことは、インサイドインのスイングができることです。

やはり基本に忠実であることが、そのメリットを最大限引き出せるのでしょう。