ゴルフ用ズボンのカーゴパンツを認められないのはどう思う?

最近ゴルフショップで人気のズボンの一つであるカーゴパンツは、ゴルフ場の服装規定で認められていないところが多いようです。

いまやスタンダードとなったカーゴパンツが認められない理由と、その裏側に隠されたもうひとつの理由について掘り下げていき、今後のゴルフ界の発展と服装規定の是非について考えます。

ゴルフ用のズボンに適さないのはジーパンとカーゴパンツ

ゴルフ用のズボンを意識したことはありますか?

ゴルフには野球や柔道のようなユニフォームがないので、個々のゴルファーが好みのものを選んで着ています。

ただ、それまでの慣習やゴルフ場が定めるドレスコードがあるので、むやみに好みの服装を着ることはできません。

スポーツの祭典とも言われるオリンピック種目になっているゴルフなのに、競技者として統一されていない服装を忖度するのは意外に面倒なものです。

そこで「NG」と言われている服装を見つけることができれば、それらを除外することで無用な迷いを無くすことができると思えます。

ズボンの場合には、ジーパンとカーゴパンツがNGとされています。

このほかにも、穴の空いたダメージパンツもNGですが、多くの場合にはジーパンの中に分類されるでしょうから、この2つを排除すればあとは問題となることはないはずです。

ちなみにジャージやスウェットパンツ、野球など他のスポーツのユニフォームなどもダメですが、説明は不要と考え、敢えて載せてはいません。

ゴルフ用ズボンとして販売されていても戦闘服としての歴史あるカーゴパンツはNG?

ファッションを気にしている人であれば、カーゴパンツがどんなものなのかはご存知だと思いますが、ジーパンほどメジャーではないのに、なぜゴルフ界ではNGなズボンとしているのでしょう?

歴史を振り返らなければ、カーゴパンツが適さない服装であることの意味は分からないと思います。

そもそもカーゴパンツとは、船荷を降ろすときに着た作業服のこと。

当初は動きやすいようにだぶつきがあり、また耐久性のある厚地のものが多かったようです。

さらに道具類を収納できるように、腿の両サイドに外付けの小さなポケットがついています。

こんな便利な服装ですから、酷使する仕事には重宝されたのでしょう。

それに目をつけた米軍では、太平洋戦争下に正規の軍服として採用し、『カーゴパンツ=ミニタリーパンツ』というイメージになっていきます。

スポーツの服装として戦闘服を排除するのは、ゴルフ界だけではないでしょう。

現在ではズボン以外にシャツやキャップにも迷彩色のデザインはありますが、スポーツの世界ではふさわしくないと考えられています。

ゴルフがスポーツだからではない!カーゴパンツがNGな本当の理由とは

戦闘服だからカーゴパンツはNGというのは、平和を愛するスポーツ界では至極もっともなことです。

しかしながらゴルフの世界でカーゴパンツを排除する、本当の意味は違うところにあるようです。

元々近代ゴルフの愛好者は貴族だったと言われていて、彼らは同じレベルの人達だけを仲間に迎えて倶楽部を作っていました。

一方でゴルフを楽しむ人達は、貴族以外の人も大勢いたわけですが、貴族が作った倶楽部に入ることはできなかったのです。

時代が過ぎると、貴族以外の弁護士や議員なども入会できるように門戸を広げます。

別に民主的な目的であったわけではく、長男は貴族の身分を維持できていたけれど、次男、三男は弁護士などの職業に就いたからなのです。

簡単にいうと元貴族というだけのことだったのですが、やがて貴族出身者ではない同レベルの人も入会できるようになっていきます。

ここで線引きしたのが雇用者と労働者で、倶楽部においては労働者を仲間とは認めないために、作業服であるジーパンやカーゴパンツ、またTシャツ姿を排除したと考えられます。

カーゴパンツをゴルフ用のズボンとすると時代は変わる

「戦闘服の排除」という大義名分があるので、ゴルフ場でのカーゴパンツの着用はNGです。

ただジーパンやTシャツが認められないことと、同じ臭いがするという考え方もあるわけです。

もしも職業を軽視するような服装規定を今の時代に決めたとしたら1発でアウトでしょう。

しかも業界全体が労働者排除を推奨しているとしたら、他国のことは別としても、日本国内では通用しないはずです。

戦後の農地改革によって小作人制度が改められ、いわゆる領地貴族的な制度は崩壊しているのに、それを「服装のマナー」として続けていくとしたら、将来に禍根を残すことになってしまいます。

伝統的な服装の規定やマナーは、どんなスポーツであっても大事なことですが、改めるべきは改め、古い慣習からの脱却こそが大切なことだと思いませんか。

そうは言っても、たかがズボンのデザインですから、目くじらを立てるほどのこともありませんが、実はカーゴパンツは作業服から進化していて、いまやゴルファーご用達のチノパンと肩を並べるファンションとなっていることは理解すべきです。

ゴルフ界の服装規定でカーゴズボンがNGとなったのは石川遼プロがきっかけ?

いわゆるシュっとした細身のズボンで、腿の辺りに小さなポケットが張り付いているゴルフ用ズボンが人気のようです。

一応、腿の周辺に外付けのポケットがついていると、細身であってもカーゴパンツに分類される可能性があるので、ゴルフ場によってはNGとするところがあるかもしれません。

今では外側にポケットがついているズボンの総称をカーゴタイプと呼ぶこともあるので、作業服のイメージはなくなっています。

また厚手の破れ難い生地ではなく、伸び縮みするストレッチ素材やお洒落なコーデュロイ素材のものもあります。

ファッション性が高く、バリエーションも豊富になっているそんなカーゴパンツですが、頑としてNGを宣言したの男子プロの協会でした。

かなり以前のことになりますが、当時人気No.1の石川遼選手が迷彩柄のカーゴパンツでツアー出場して一石を投じました。

結果的にプロ会が「認めない」として、新たにカーゴパンツの服装規定を設けることになったのです。

ところが市販のゴルフ用品としてのカーゴパンツは、これを機にトップランクで推移する人気のアイテムとなっていきます。

カーゴズボンが認められるゴルフ界に変わる必要性

男子プロの協会では、膨らみのある外付けポケットがついたズボンをカーゴパンツとしたことから、膨らんでいないスタイリッシュなデザインは許容されるのか、と暗中模索をしているようです。

伝統を重んじることは大事ですが、いつまでも古い考えにとらわれて固執することで、新しい流れを認めることができないことが現在のゴルフ界の斜陽と重なってきてしまいます。

昔、カートに乗るのは邪道とされていました。

時代が進み「邪道」と位置づけた人達が、自ら歩いてラウンドができなくなって、各地のゴルフ場でカートが使用できるようになりました。

同じように世代が変わればカーゴパンツも認められるようになるのでしょうが、それには多くのゴルファーが認められるゴルフ場でプレーをすることです。

市場経済に敏感なゴルフ界は、「あっ」と言う間に変化するかもしれません。

なによりも差別的な意味合いの強い服装規定をなくしていくのが、今後のゴルフ界の発展に繋がっていくのではないでしょうか。

人気のカーゴズボンを認めないゴルフ界の体質が残念!

服装規定はゴルフ場が独自に定めているもので、ルールに記載されているものではありません。

ただ業界を牽引するプロ会がカーゴズボンを認めない決定を下したことで、多くのゴルフ場では鉄板の規定となっていきます。

すでに市場では新しいファッションとして認知されている中認めないのはカート導入時と同じで、轍を踏んでいることを理解していないのは残念なことです。