シャフトには「調子」があります。
ヘッドが走るゴルフクラブを先調子、グリップ側が重いと感じる手元調子、また中間の中調子と3つの調子があります。
これらの調子の違いと、ゴルファーとしての受ける感覚の違いについて考えます。
シャフトを感覚で評価する3つの調子の違い
ゴルフクラブには「調子(ちょうし)」と呼ばれるものがあります。
一応は数値で表すことはできますが、ゴルファーの感覚によるものが大きいシャフトのしなりの頂点を表すものです。
グリップを握ってヘッドを揺らしたときに、ヘッドがビュンビュンと動き重さを感じると先調子と言います。
実際にヘッドが重たいわけではなく、シャフトの先端側でしなることが、そう感じさせます。
一方でゴルフクラブのヘッドが軽く感じたら、手元調子または元調子と呼びます。
先調子と違って手元側が重く感じることはなく、「ヘッドが軽いと感じるのは手元が重いからだ」と考えたものです。
そしてもう1つ平均的な中調子があります。
先調子でも手元調子でもないゴルフクラブを中調子と呼びますが、上記2つに比べて違いが分かり難いのが特徴かもしれません。
同じゴルフクラブを違う人が握ってヘッドを揺らしてみると、先調子と感じる人がいれば真逆の手元調子と感じる場合もあります。
ボールがつかまる先調子の場合のシャフトの感覚の違い
ゴルフクラブの信頼度は、シャフトの調子の違いによって大きく影響を与えることになります。
先調子のシャフトは、ヘッドが重いと感じることから、ボールのつかまりの良いゴルフクラブと感じることが多いようです。
「ボールがつかまる」とは、インパクトのときにヘッドが返ることを表した言葉です。
フェースがボールをとらえるとき、手前までのフェース面はターゲットよりも右側を向いたオープンフェースになっています。
そしてインパクトでフェース面はターゲットに面するスクエアになり、インパクト後がターゲットよりも左側を向くクローズになるのが自然な流れです。
時計の文字盤と針を思い浮かべてボールを0時に合わせて地面に置き、針が逆回転して3時から0時そして9時へと回るようにスイングを考えると、フェースの開閉は分かりやすいかもしれません。
先調子のゴルフクラブは、グリップが1時のときにヘッドは0時でインパクトを開始し、グリップが0時を迎えたときにヘッドは11時に進んでボールを打ち出そうとします。
もちろんこれは感覚でしかなく、実際のインパクトでは瞬間的にボールは飛び出しています。
手元調子と先調子のシャフトとの相性はゴルフ技量の違い?
手元調子のシャフトはヘッドが軽くなると感じるわけですが、それを球離れが良いと評価することが多いようです。
「球離れが良い」とは、自分の意思で打ち出すボールをコントロールできる、つまり操作性が良いと感じるときに使います。
右方向に打ち出したボールを曲げてセンターに戻すドローボールや、左方向に打ち出してボールをセンターに戻すフェードボールを打ち分けられる、または打ち分けやすいのが先調子との違いです。
先調子は自分の意思でボールをつかまえているわけではなく、ゴルフクラブの性能によってボールをつかまえています。
一方で手元調子は、自分の意思で球筋を変えることができるゴルフクラブになるということです。
このことから初心者は球筋が安定する先調子を好み、上級者は自分の意思でボールをコントロールできる手元調子を好むと言われています。
ただし前述したように、この2つの感覚は同じクラブに対しての評価という場合もあります。
先調子のシャフトが初心者用とレッテル張りの間違いを解説
シャフトの調子の違いを初心者と上級者で分けても、実際には感覚的な部分が大きいので分かり難いかもしれません。
もう少し具体的にみてみると、先調子と手元調子の違いが見えてくるかもしれません。
先調子のシャフトを使うことで安心感が生まれるゴルファーとは、急激なテークバックをするタイプです。
ゴルフクラブをトップに引き上げるときに、ダウンスイングと見間違うぐらいの勢いで引くと、シャフトが大きくしなり、トップではその反動を受けてオーバースイング気味になってしまいます。
この状態でダウンスイングをすると、グリップの進行に比べてヘッドが遅れるので、インパクトでフェースが戻り切らずスライスボールを打つことになります。
このヘッドの遅れをインパクトの直前で修正してくれるのが、先調子のシャフトです。
グリップの先が地面を指すようになると、ヘッドが利いているのでしなりの分だけ逆しなり、つまりシャフトがたわんでヘッドが先行します。
ゴルファーは技術がなくてもヘッドの遅れを解消することができるため、昔から「初心者用」と言われるわけです。
シャフトの調子の違いはインパクトに直結する?
手元調子のシャフトは操作性が良く、ボールコントロールがしやすいと上級者から高評価を得ていますが、実際には球離れが良すぎて荒れ球になっている場合もあります。
自分の意思をダイレクトに伝えるアイアンで言えば、従来からある薄い肉厚のマッスルバックタイプと同じです。
スイートスポットでピンポイントにミートしないとならない難しいクラブですが、これを使いこなせるようなゴルファーが操作性を語れる技量を持つと言えます。
そう考えると、手元調子のシャフトこそが上級者の証(あかし)のような風潮は、実態からすると少しだけ違いがあるのかもしれません。
ただ操作性だけを求めて手元調子にするわけではなく、先調子のシャフトへの不安が理由となっている場合もあります。
先調子のゴルフクラブでボールを打つと、つかまりが良すぎてフックするような気がすることがあるからです。
この状態をフェースにボールが「くっつく」と表現していて、ハードヒッターは嫌うことが多いようです。
シャフトの調子の違いは鉛を使って自分で変更できる
先調子と手元調子のデメリットを解消するのが中調子のシャフトです。
スイングによるヘッドコントロールに苦はなく、だけどつかまりの良いクラブを志向するといったゴルファーは、現実にはいないかもしれません。
2つの「調子」の良い部分を兼ね備えたのが中調子ということではなく、悪い部分を排除してストレスを感じないのがメリットなのかもしれません。
したがって中調子には明確な「感じ」がありません。
先調子でなく手元調子でもないシャフトが、中調子の所以(ゆえん)とするところです。
このような調子は鉛を貼ることで、自分で感覚を変えることができます。
手元調子はヘッドの下部に鉛板を貼れば先調子に感じられるようですし、先調子もグリップの前のシャフトに鉛テープを貼れば手元調子のようになります。
さらに先調子がどうしても気になるときは、シャフトの先端を5ミリ程度カットするだけで、調子の違いが出てくるものです。
ただ感じ方はゴルファーによって違うので、どれだけ調子を変えると良いかは、やはり感覚に頼るしかありません。
シャフトカットして「合わなかった」ということがないように、鉛を使って対処するのがおすすめです。
調子の違いは変えることができる
シャフトの調子には先調子、中調子、手元調子の3つの区分があります。
先調子の感覚を嫌う場合は手元調子を選択し、シャフトの感覚の違い自体がストレスになる場合は中調子を選ぶと良いでしょう。
これらは自分の感覚によるものなので、シャフトとの相性を否定する前に鉛を貼って変えてみるのはおすすめです。