ドライバーのスイングは他のクラブと違ってアッパーブローが基本です。
それだけにボールの位置や構え方、またヘッドの軌道やインパクトの仕方も違ってきます。
今回はドライバーの正しい構え方とスイングの仕方、ワイドスタンスにする意味を解説します。
ドライバーのヘッドはボールの横で構えではダメ!
ドライバーは他のクラブと違ってアッパーブローのスイング軌道が基本ですので、構えた場所とインパクトの場所が違っていることを認識しなければなりません。
ドライバーを構えるときに、ヘッドを浮かせてボールの後ろでセットしているとしたら、それはボールを払い打ちしようとイメージしているからかもしれません。
このレベルブローのスイングは正解とは言えません。
わざわざティーアップしてボールを地面よりも高くしているのは、アッパーブローでインパクトをするためです。
下から上に向けてフェースを合わせることで、スピン量を減らして打ち出す角度をキープするのが目的です。
ドライバーのロフト角は11度前後ですが、打ち出す角度は14度以上欲しいので、この差をアッパーブローが補うことになります。
具体的には、ティーアップしたボールの10センチ程度手前で芝面にソールします。
そこを目掛けてダウンスイングをしますが、通過して浮かび上がったところでボールをとらえるのがドライバー特有のアッパーブローです。
ヘッドを構えた場所とインパクトの場所が違うのがドライバー
ドライバーのロフト角は打ち出し角に満たないため、他のクラブにはない特有の構え方をします。
理想の打ち出し角が14度とすると、ドライバーのロフト角は12度だとすると2度足りません。
その2度を埋めるためにフェースを上に向けてインパクトをするのです。
打ち上げるイメージはできていても、2度という角度は見た目では分かりませんよね。
タイガーウッズや松山英樹が使うパター、スコッティーキャメロンのロフト角が4度ですから、その半分の角度を「打ち上げる」のは、あくまでもイメージに近いものがあります。
実際のところティーアップしたボールをレベルブローのスイングで打とうとすると、ダウンブロー気味にヘッドが入ってくるそうです。
そう考えると、アッパーブローのイメージはある意味狙い通りなのかもしれません。
アッパーのイメージでもレベルブロー気味に入ってくることが想定できるからです。
このアッパーブローのスイングをするためには、右足かかと内側延長線上にボールをセットし、ヘッドはそれから10センチ離したところでセットすると説明しました。
このときスイングの最下点はスタンスの中央で、そこからアッパーブローの軌道でボールをとらえていくイメージですが、グリップよりもヘッドが先行するスイングがドライバー特有のものなのです。
ティーの高さはドライバーヘッドを基準に測る
ドライバーを構えるときのボールの高さは重要です。
往年の名選手の中には、「ティーが高いほどハンディキャップ上位だ」と言った趣旨の言葉を遺していますが、これは打ち上げる角度が高いのではなく、ドライバーヘッドのロフト角が小さいものを使っているという意味で言っています。
ロフト角が小さい、いわゆるフェースの立ったドライバーでアッパーブローのスイングをすると、フェースの斜度が少ないためにバックスピン量が減ります。
飛距離を伸ばすためには、バックスピン量を2500回転以下に抑えたいところですが、レベルブローでインパクトをすると、4000回転を超える可能性があるため吹け上がって途中から失速します。
そこで最低限のティーの高さが必要になります。
およそ2度をカバーするティーの高さは、ドライバーをソールしてフェースの最上部とボールの中間地点が同じ高さになるようにセットします。
この高さで10センチ離して構えてスイングすると、丁度良いアッパーブローのスイングができて、想定とするスピン量の2500回転が可能になります。
ドライバー特有の構えをしたときのグリップの握り方
ドライバー特有のスイングの概要が見えてきたところで、実際にドライバーを構えるときのポイントを確認しましょう。
スタンスを取ってヘッドをボールの10センチ後方に置き、最初に右手でグリップを軽く持ちます。
左手で右胸(右肩)を押して、オープンになった体をスクエアに修正します。
このひと手間によって飛球線に対して体は平行になり、アウトサイドインのスイング軌道を防ぐことができます。
そのあと左手でグリップを握りますが、グリップを握ったときに左手のこぶしが2個~2個半、見えるようにします。
この左手の手のひらに右手を合わせるようにグリップを挟み、両手で握ります。
ただしこのスクエアグリップが絶対ではありません。
スイングスピードやスイング軌道によって、スライスするようなら左手のこぶしが3個見えるようにして、インパクトでフックフェースになるようにしましょう。
このとき必ず、「両手の面は合わせる」ようにすることが大事です。
正しいドライバーの構え方とヘッドの動きは連動している
正しい構えができるようになると、スイング軌道も間違いなく安定してくるようになります。
ただアイアンショットとは違って、ドライバーのスイングは体重移動がつきものです。
ワイドスタンスを取って構えるのは、下半身の安定も理由のひとつですが、もっと大事な理由はインパクトゾーンを長く取ることにあります。
インパクトゾーンは最大にとってもスタンスの幅が限度です。
逆に考えるとスタンスの範囲内であれば、ヘッドを直進させることができるということです。
もちろんスイングは円を描いていますが、この円の動きに体重移動を加えることで、あたかもヘッドを真っ直ぐに振っているかのように見えます。
テークバックで右股関節の上に体重を移動し、ダウンスイングでは左股関節の上までスライドします。
このスライドしているときにインパクトをするタイミングは難しいものですが、ヘッドが直進すれば点ではなく線でフェースを合わせやすくなります。
ちなみにトップからインパクトまでは0.3秒ですから、インパクトゾーンでヘッドが直進する時間は0.1秒に満たないくらい短いものです。
ワイドスタンスで構えるのはドライバーヘッドに理由がある
ドライバーはワイドスタンスで構えますが、それはインパクトゾーンを広げていると解釈することができると説明しました。
スイングを真上から見るとヘッドは円の動きをしていますが、飛球線の後方から見ると振り子の動きをしてます。
つまりインパクトゾーンでヘッドが直進しても、それを後方から見ると上から下りてくるように動いているわけです。
そしてインパクトするときはヘッドが最下点まで下りて、そこから浮かび上がるときにボールをとらえます。
そうすると、体重がボールの延長線上である左股関節に乗る前にインパクトを迎えないと、レベルブローのスイングになる可能性が高くなります。
そうならないためには、アドレスのときの体重配分を再確認しましょう。
スタンスの場所で2~3度ジャンプすると、両足に5対5の体重配分になるはずです。
すると足の上に体重が移動するのでなく、内腿で壁を作ってその内側で体重移動を行うようになります。
最初にアッパーブローをイメージして、スタンスの内側で体重移動すれば、安定したドライバーショットを放てるようになるはずです。
正しくドライバーを構えたらヘッドの軌道は安定する!
正しくドライバーを構えることさえできれば、スイングの歪みはほぼ少なくなり、ヘッドの軌道は安定してきます。
ただし、そのためにはアッパーブローのイメージを持ち続けることが大切です。
そして特殊なクラブを使って、特殊なスイングでボールを打っていることを理解できれば、素直にフェースを合わせることができるはずです。