パターを構えたときグリップに違和感がある場合は、ライ角が身長に合っていないと考えられます。
本来は構え方や打ち方が自由なはずのパッティングスタイルの中で、正しいライ角の探し方を再考察してみましょう。
パターのライ角を身長で判断することはできない?
床面にパターをソールしたとき、シャフトと床にできた角度がライ角です。
ライ角が小さいとシャフトの傾きは大きくなり、グリップの位置は低くなります。
そのため身長の低い人、または腕の長い人はライ角の大きなものを選ぶと、スムーズにストロークできると言われています。
一方でライ角が大きいとシャフトの傾きは小さくなり、グリップの位置は高くなります。
したがって身長の高い人または腕の短い人は、ライ角の小さなものを選ぶと違和感なくアドレスの姿勢をとることができるはずです。
パターの構え方は自由であり、上半身を前傾する姿勢やグリップの握り方、またストロークの方法もそれぞれ違うので、正しいライ角を体型だけで選ぶのは難しいかもしれません。
世界が認めるプロゴルファーのフィル・ミケルソンは、190センチの長身なのにパターは32インチの短いタイプを使っています。
しかもグリップラバーの先端を握っているので、グリップを握る手から先端は17インチにも満たないかもしれません。
この17インチは、ルール上の長さ制限の18インチを下回るわけですから、よほど短いパターとの相性が良いのでしょう。
パターのライ角を身長だけでは決めることができない理由
ミケルソンほどの極端な構え方をしなくても、両肩とグリップで作る三角形のアドレスと、両肩と両肘とグリップで作る五角形のアドレスでは、同じプレーヤーが構えてもグリップの位置は変わってきます。
グリップの位置が変わるということは、パターの適正なライ角も変わることでもあります。
つまり身長や腕の長さだけを見て、ライ角を決めることはできないわけです。
ライ角を決めるときは、最初にパターの形を選んで、次に構え方を決めてグリップの高さを確定させます。
パターのヘッドは大きく分けて、ピン型とL型の2つがあります。
スタイリングだけを見るとマレット型やネオマレット型もありますが、ストロークスタイル考えると、ピン型とL型の2つになります。
ピン型は両肩のレベルを変えるショルダーストロークですし、L型は回転軸を中心に円を描くワイパーストロークです。
この2つの打ち方の違いは、そのままライ角の違いになるので、やはり「握ってみないと分からない」ということになります。
パターのライ角と身長を対比するときの基準となるもの
パターのライ角は実際に構えてみないと分からないのですが、どんなものにも目安はあるように、パターのライ角と身長にも対比基準となる目安はあります。
まずゴルフクラブには基準とする身長があることを理解しましょう。
公表はされていませんが、クラブの角度を逆算すると170センチの身長を基準としているようです。
この170センチは日本人の平均身長なので、最大公約数を考えれば最良の基準値と考えられます。
ちなみに日本国内用の製品は170センチを基準にしていますが、海外からの並行輸入品は海外の平均身長である180センチを基準にしているので、気をつけなければなりません。
日本人の平均身長に合うパターの長さは、32インチから34インチと言われています。
実際にゴルフ量販店では、32インチから34インチのパターがずらりと並んでいますが、それ以外の品数は少ないはずです。
ピンパターの場合、この32、33、34インチで用意されているライ角は、66度から74度までの9度を1度刻みで用意されているので、長さと角度で27通りの中から選ぶことができます。
ライ角を合わせるとき身長だけでは分からない
平均身長の170センチでもシャフトの長さは3種類あり、しかも1インチに対してライ角は9つ用意されていますから、これから外れる場合は特殊な構え方をしていると考えたほうが良いかもしれません。
ですから、身長を見ただけでライ角を判断しても、合うという保証はないわけです。
しかも他のクラブのスイングに比べると、パターは体を動かさずにグリップだけを動かすようなストロークですから、微妙なずれでもマイナスに働くことがあるかもしれません。
このライ角が合わない場合は、ヘッドを正しくソールできないということになります。
グリップの位置が高いと、そのグリップを押し下げて構える傾向にありヘッドのトゥ側は浮きます。
その結果、先端から根元までの横長のフェース面が斜めになると、インパクトする部分が狭くなり、わずかなズレが距離感を狂わしてしまいます。
強めにパッティングできる上り斜面では気になりませんが、繊細なタッチが必要な下り斜面ではこの微細な違いがスコアに直結します。
身長に対してライ角が大きいときの対処法
身長に対してパターのライ角が大きい場合は、構えるときにグリップが高くなるので下ろさなければなりません。
グリップを下ろすとヘッドのトゥ側が浮いてしまうため、ソールは地面に対して平行を保つことができないと先ほど説明しました。
ただしこれはグリップエンドぎりぎりを握ったときのことであり、グリップラバーの中間や先端を握るとライ角に合わせることができます。
本来はパターのストロークをスムーズにするために、自分のフォームにパターのライ角を合わせますが、グリップの握る位置を変えるだけでライ角に合わせることができます。
身長に対してライ角が大きい場合は、深い前傾姿勢をとってグリップラバーの先端側を握ればライ角を合わせることができるのです。
ただ反対に身長に対してライ角が小さい場合には、シャフトの長いパターを使わなければなりません。
この場合は、ライ角に合わせたアドレスをとることはできますが、ボールの位置が体から離れてしまうことになります。
身長に対してパターのライ角が合わなくても大丈夫な方法
パターの構え方や打ち方は自由ですが、基本とされているものの1つにパッティングライン上に置く目線があります。
基本のスタイルとしては、左目の下にボールがあるようにアドレスの姿勢をとります。
パッティングラインと目線が一致していることで、ラインに乗せたパッティングができると考えられているからです。
もしも目線がパッティングラインよりも手前側にある場合は、ターゲットよりも右側に押し出す可能性が高まります。
身長に対してライ角が小さいことからシャフトの長いパターを選んでしまうと、体からボールが離れてしまい、右方向にプッシュ気味のパッティングをしてしまうかもしれません。
ですからパターを選ぶときに、ライ角が自分に合っているのかを判断できない場合は、ライ角が大きなものでシャフトは少しだけ長めのものを選ぶことをオススメします。
そうすればグリップを握る位置で調整することができるからです。
短く握ったことでバランスが気になるようであれば、ヘッドに鉛を貼って調節すれば良いだけです。
パッティングしたボールが思っていたラインよりも左右にぶれるようであれば、ライ角を疑ってみると良いかもしれません。
パターのライ角が身長に合わなくても問題はない!
パターのライ角が身長に合っていなくても問題はありませんが、構えたときのグリップの高さと合っていなければ問題があります。
ライ角を合わせることで正しいインパクトができます。
自分に合ったライ角が分からない場合は、シャフトは長めでライ角の大きなものを選べば、後は握る位置で調節することができることを覚えておきましょう。