ドライバーのライ角は、アイアンに比べ軽視されがちです。
そのため標準的なライ角のもの以外は、あまり種類がありません。
逆にライ角を基準に選ぶと、クラブヘッドがほとんど選べない状況になります。
そのため、仕方なく標準的なライ角のものを使っている人が多いことでしょう。
今回は、ライ角を正しく知ることで、ドライバーの選択肢を広げてください。
何を基準に標準スペックを決めているの?
ドライバーやアイアンのクラブには、標準とされる数値があります。
主に挙げられる項目としては、ロフト角、ライ角、シャフトの長さです。
もちろんルールの範囲内ということが前提となりますが、これらの数値は何を基準に決めているのでしょうか。
男性向けのクラブは170cm前後の身長のゴルファー、女性向けは160~165cmくらいのゴルファーを想定して作られていると言われています。
つまり、大前提として身長をベースに決めているというわけです。
また、プロゴルファーの試打データやアマチュアの試打データを合わせ、傾向を分析して商品化しています。
しかし、男女問わず体格差はまちまちで、身長や手の長さに違いがあります。
そのため、本当に自分にクラブがあっているかは不明です。
クラブを基準にスイングを作ることを大前提としている人は深く考えずに標準的なクラブを使っていることでしょう。
それは悪いことではありませんが、何も考えずに標準的なクラブを使っていて良いのでしょうか。
話した通り、体格差から必ずしも標準的なクラブが合うかどうかは別です。
クラブの情報をより知ることで、自分に合ったクラブがどのようなものか考えられるようになることが良いと考えます。
ドライバーの標準スペックは?
では、実際にドライバーの標準スペックを調べていきます。
何を標準として考えるかは各ゴルフメーカーにより違うと思いますが、発売されているもを統計的に見ていくと大きなずれはありません。
例えば、テーラーメイド、キャロウェイ、スリクソンなどのドライバーを調べると次の通りです。
クラブヘッド体積:460cc
(一部430ccといった小ぶりなものもあり)
ロフト角:9°~12°
(メーカーによっては、10.5°を最大としているところもあり)
ライ角:58°
(一部、59°/59.5°などのものもあり)
シャフト:45.25インチ/45.75インチ
(最大46インチのものもあり)
(レディースモデルは43.25インチ/43.75インチ)
一方、アマチュア向けに飛距離アップを売りにしているドライバーを見てみます。
クラブヘッド体積、ロフト角、シャフト長に大きな差はないものの、ライ角に大きな差が出ています。
ヤマハのinpres UD+2 ドライバーを例に挙げるとライ角は61°とかなりアップライトに作られています。
ヤマハのツアーモデルであるRMXシリーズのドライバーだと、59°~60.5°と他のメーカーに比べると少しアップライトになります。
ここは、メーカーの考え方の違いとなりますが、inpres UD+2 ドライバーを極端なアップライトといって良いでしょう。
メーカーによって、ライ角に違いがあるということはそこに何かしら意味があると考えるべきです。
ドライバーの標準シャフトの特徴
ここで、ドライバーのシャフトの長さについて話をします。
今後、ライ角との関係で重要になってきますので、基本的なところは押さえておきましょう。
ドライバーに標準装備されているシャフトの長さは、ある程度パターンが決まっています。
メンズモデルの場合、45.25インチ/45.75インチが主流です。
一部、45.5インチや46インチなどのものありますが、45インチ~46インチが標準と考えて良いでしょう。
46インチを超えてくるシャフトは長尺と言い、かなり長いものになります。
レディースモデルの場合、43.25インチ/43.75インチなどが主流で、44インチが標準的なものでは長いものになります。
それでは、標準のものよりもシャフトが長くなった場合、短くなった場合の影響を少し考えてみましょう。
シャフトが1インチ長くなると、ヘッドスピードが1m/s上がると言われています。
しかし長くなるということは、クラブヘッドの返りも遅れるため、一概に長くすれば良いというわけではありません。
シャフトを短いものを選んだ場合、ヘッドスピードは落ちますが、クラブヘッドを返しやすいため扱いやすくなります。
後で話しますが、ライ角とシャフトの長さの関係を考えると、アドレスにも影響が出たりします。
まずは、標準的なシャフトの長さがあり、長さの変化でどのようなメリット・デメリットがあるか理解しておいてください。
ドライバーのライ角の重要性を考える必要はあるのか
ドライバーの標準スペックにおいて、ライ角に大きな違いがあることを話しました。
一般的にアイアンでは、ライ角を非常に重要視しています。
ライ角があっていない場合、無理な前傾角度をとらなくてはいけなかったり、トゥダウンでのインパクトを引き起こすからです。
しかし、ドライバーではそのようなことは言われません。
むしろライ角はアップライトのほうが捕まりやすく、スライスが軽減する可能性があるということくらいです。
本当にその程度の理解で良いのでしょうか。
アイアンと違い、ライ角変更ができるドライバーもありますが自由度は限られます。
ライ角は、ソール面とシャフトの角度を表しています。
しかし、多くのゴルファーはライ角をあまり意識せずアドレスをとっています。
間違えではありませんが、正しくライ角を理解できれば、より自分に合ったドライバーを見つけられる可能性が高くなるのです。
ここで注目してほしいのが、ライ角とシャフトの長さの関係、ライ角とフェースの関係の二つです。
この2点を掘り下げて考えてみます。
ライ角とシャフトの長さの関係を考える
では、ライ角とシャフトの長さの関係について考えてみます。
ここでは、自分にあった適正なアドレスがドライバーで取れるかどうかという観点で話をします。
身長が高い場合は、標準よりもライ角を大きくしたほうが良いと言われます。
その理由は、標準のライ角のクラブだとグリップエンドの高さが低くなってしまい合わないからです。
具体的には、無理なハンドダウンで前傾角度がきつくなる、もしくは手元が浮いた状態でアドレスしてしまったりするからです。
シャフトの長さが変わらないことを前提に考えると、ライ角を変えることでグリップエンドの高さを変えることができます。
この考え方が、一般的な考え方と言えるでしょう。
逆に、ライ角を変わらないことを前提に考えると、シャフトの長さを長くすればグリップエンドは高くなります。
もし、45.25インチが標準であれば、46インチにすると身長が高い人でも適正にアドレスが取れるかもしれません。
この二つの観点を理解することがとても重要です。
身長が高いからライ角が大きい、低いから標準的なライ角のものでOKとは考えなくなるはずです。
ドライバーを選ぶ場合、クラブヘッドの性能もありますが、あくまでも長いシャフトをしっかり振り抜けるかが重要になります。
ライ角を固定して、適正なシャフトの長さを選び、振り抜けるシャフトを選ぶという今までとは逆の発想ができます。
それだけ、ライ角とシャフトの長さの関係は深いのです。
ライ角がフェースの向きに影響する?
次に、ライ角とフェースの関係について話をします。
ライ角、シャフトの長さが自分に合ったものを選んでいれば、適正にドライバーを構えられます。
しかし合っていない場合、どのような影響があるのでしょうか。
まず、標準的なライ角でドライバーが置かれているとします。
グリップエンドが、自分のアドレスよりも下に来てしまう人は自分の適性の高さに持ち上げて構えます。
そうすると、トゥダウン(ヒールアップ)で構えることになり、フェースは開いた状態になるのです。
反対に高い位置にグリップエンドが来る人は、自分の適性の高さに下げて構えます。
その結果は、トゥアップ(ヒールダウン)で構え、フェース面が閉じた状態になるのです。
フェースの開閉は、アイアンほど大きくはズレません。
しかしドライバーの場合、スクエアにインパクトできないと横回転が強くなり、曲がる原因になります。
そのため適切なライ角とシャフトの長さの組み合わせが重要になることが分かります。
ライ角一つとっても、これだけ大きな影響があるのです。
標準的なライ角でも自分に合ったものにできる
ドライバーのライ角をどれだけ伝えられたでしょうか。
アイアンとは違う観点でライ角をとらえると、標準的なライ角を使うためには、シャフトの長さを考える必要があると話しました。
ただ身長が高い、低いでライ角を決めるのではなく、シャフトの長さも考慮すれば、選択肢が広がります。
是非、自分のドライバー選びに役立ててみてください。