ドライバーの飛距離に貪欲なのはいつの時代も変わりません。
ゴルフは飛距離を競うスポーツではないとは言われるものの、ある程度の距離が出ればそれなりのハンディは得られることになります。
そんな飛距離に貪欲なゴルファーたちのために登場したのが高反発ドライバーです。
しかしそれも規制されるようになりました。
公式競技でNGなのは分かりますがいったいどの範囲までが規制にかかるのでしょうか。
夢のドライバー、それが高反発ドライバー
まず「高反発ドライバー」とはどのようなドライバーなのかを説明します。
高反発ドライバーとは規制ができるほどですからある程度クラブを振ることができればそれだけ飛距離を出せるドライバーです。
実は2008年にSLEルールが改定され高反発ドライバーが規制されるまでは主流と言って良いほど多くの人が使っていました。
SLEルールとは「Spring Like Effect」の頭文字を取ったもので、ドライバーのボールを飛ばす力のことを指しています。
高反発ドライバーとは反発係数(COR)が0.83を超えている物です。
反発能力が高くなることでボールを遠くまで飛ばすことができるのです。
規制されるまではメーカー同士の開発競争が激しくなり、高反発ドライバーの進化がどんどん進んでいきました。
飛距離に貪欲なゴルファーの望み通り飛距離は伸び続け、その結果歴史あるコースの池やバンカー、木などの障がいが無意味なものになりつつありました。
当然そのためゴルフ場はコース改修に取り掛かりましたが、間に合わずパー71や70にして対応せざるを得なかったようです。
それほど飛ぶ夢のドライバーが高反発ドライバーなのです。
高反発ドライバーの規制について
それでは2008年にSLEルールが改定されてできた高反発ドライバーの規制について詳しく見ていきましょう。
このルールはただ高反発ドライバーを規制するために作られたルールです。
ルール改正が告知されたのが2006年になります。
それからなんと2年もの期間を経て2008年にルールはやっと改定されました。
その2年の間に発売されたドライバーは高反発ドライバーと低反発ドライバーが混在するゴルファーにとっては微妙な時期となりました。
この規制は「反発係数(COR)0.83を超えるドライバーは違反ドライバーになる」と定義されています。
まず最初にこのルールを施行したのは2大ゴルフ協会であるUSGAとR&Aです。
日本ゴルフ協会はそれらの規定に準じているため、当然日本でもこのルールが適用されることとなりました。
それをどうやって見極めれば良いのだと思う方もいるでしょう。
実はドライバーを良く見ると小さな注意書きで、「SLE適合モデル」と記載されています。
これが高反発ドライバーではないという印になっているのです。
高反発ドライバーの規制は公式競技だけ?
ここで多くのゴルファーが疑問に思うのは高反発ドライバーの規制がかかる範囲です。
というのも規制されてもなお高反発ドライバーを販売しているメーカーがあるからです。
使う人や使う場所がないのであれば、メーカーがあえて高反発ドライバーを販売する意味はありません。
果たして高反発ドライバーが使用できるのはどのようなときなのでしょうか。
当然「ルール不適合」のクラブになるので、プロのツアーやアマチュアの公式競技での使用はできません。
そしてメンバーになっているゴルフ場の月例競技での使用も認められていません。
また高反発ドライバー使用のクラブ競技参加やハンディキャップ申請も不可となっています。
「それでは使えるところがないではないか!?」
そう思ってしまいますよね。
ところが完全プライベート、そして気の合うゴルフ仲間たちとのエンジョイラウンドであれば使っても問題はありません。
ただプライベートであってもコンペで使用するのはモラルに反してあまり好ましくないので気をつけてください。
このように使えるシーンはかなり限られるのですが、それでも飛ぶドライバーが欲しいというニーズがあるからこそメーカーは販売し続けるのでしょう。
実際規制をしなければならないほど飛ぶのか
高反発ドライバーを知れば知るほど打ってみたいという気持ちになってきた人もいるでしょう。
現在も販売されてるとは言っても打ってみたことのない人も多くいるのではないでしょうか。
ルール改定して規制するまでなのですから、どのくらい飛ぶのか気になるところですよね。
昔の高反発ドライバーは正直現在の進化したSLEルール適合モデルのドライバーと飛距離は大差はないようです。
確かに反発係数が高い分ボールスピードは速いのですが、現在の適合モデルに比べシャフトも短く、ヘッド体積も小さいので想像ほど飛ばないと感じるかもしれません。
現在のSLEルール適合モデルは反発係数は0.83以内にはなっているものの、ヘッドの体積が大きい上にスイートスポットが広くなっているので芯を捉えやすく、さらにスピン量も抑えやすいため飛ばしやすくなっています。
ドライバー自体の進化により、実は高反発ドライバーを使わずともある程度の距離は出せるようになっているのです。
しかし現代の高反発ドライバーでは話が変わります。
進化した適合ドライバー性能に、さらに高い反発係数が加わるので、SELルール適合モデルより確実に飛ばすことは可能となります。
「誰が打っても驚きの飛距離!」は大げさな表現
現代の高反発ドライバーであれば飛距離を伸ばすのは限りなく可能です。
しかし誰が打ってもバンバン飛距離が伸びるというのはどうでしょう。
そんな魔法のようなドライバーが本当に存在すると思いますか?
高反発ドライバーを使えば誰でも遠くまで飛ばせるということはありません。
まずゴルフの基本に戻って考えてみましょう。
ボールにクラブの力が伝わって初めてボールをしっかりと飛ばすことができます。
故に高反発ドライバーであっても正しいスイングの元、ボールにクラブの力をしっかりと伝えなければ飛距離を出すことはできません。
また飛距離にはボール初速、打ち出し角度、スピン量が関係します。
反発係数が高くボール初速が速くても、打ち出し角度が高く、スピン量が多すぎたり少な過ぎたりすれば高反発ドライバーを使っても逆効果となります。
そのため規制されるほどだから誰でも飛ばせる魔法のクラブだと思うのは大きな間違いです。
プライベートラウンド用に高反発ドライバーをと考えている人も、まずは試打をして自身のスイングと合っているのかを確認するようにしましょう。
ゴルフボールにもある規制
ドライバーだけでなくゴルフボールにも規制があるのをご存知ですか。
販売されている箱に「非公認球」と書かれているボールです。
当然ルール不適合なので公式競技等での使用はできません。
ここで公認球の規格を確認しておきましょう。
重さ:45.93g以内
直径:42.67mm以上
初速:76.2m/sの+2%以下
反発係数:0.800以内
これがルールで認められている規格です。
単純に言えば、重ければ飛ぶ、小さければ飛ぶ、反発力があれば飛ぶボールになります。
ここでまた飛距離に貪欲なゴルファーはどれくらい飛距離が伸びるのか興味が湧きますよね。
一般的には5~10ヤード伸びると言われています。
ボールを変えるだけで10ヤード伸びるとなると、セカンドショットの番手がひとつ下がることになります。
これに加え高反発ドライバーを使用したらその可能性は大きく広がることになります。
ただあくまでも規制に反するので、完全プライベートの仲間内ラウンドでしか使用できないことを忘れないようにしてください。
ボールは特に非公認であることが箱にしか表示されていないため、ボールの見た目だけでは判断できる人は少ないです。
公式競技に出る人は公認球と非公認球がボールケースの中で混ざらないように気をつけましょう。
フェアプレーで楽しめるのか判断をしよう
高反発ドライバーや高反発ボールの使用を否定するつもりはありません。
飛距離が出ることに快感を求め、そこへ強い魅力を持っているゴルファーもいます。
しかしそれらを使うことで規格外の飛距離を出すことを好ましくないと思うゴルファーがいるのも確かです。
完全プライベート、かつ仲間内であったとしても同伴競技者が快くプレーできないようであればフェアプレーで楽しむため使用を控えることも考えるべきです。
みなが楽しんでゴルフをすることがスコアにも直結する一番の方法になることを心に留めておいてください。