襟付きゴルフウェアやジャケット着用に正当性はない!

ゴルフ場では襟付きのウェアはもちろんのこと、受付時にはジャケットを着用するのがマナーとされています。

しかしこの決まりは本当に正しいのでしょうか?

今回は、世界のゴルファーが集まる東京オリンピックを目前にした、日本ゴルフ界の服装事情について考えていきます。

襟付きのゴルフウェアとジャケットはマナーに関係ない?

ゴルフ場によっては「ジャケット着用」という規定を設けていることがあります。

文明開化から程なく、「紳士たるものジャケットを着用するのがマナーである」という考え方が広まったと言う説はありますが、実際には昭和になってからこのような習慣ができたようです。

明治初期の日本人は和服を着ていて、洋服を着ている人は限られた人達だけだったようです。

しかも軽装であるジャケットを着る習慣はなく、ワイシャツにネクタイ、そして礼服やスーツを着ていたということです。

これはゴルフのウェアでも同じことで、近代ゴルフの創世記はワイシャツにネクタイそしてスーツ姿で、手袋に帽子という服装だったといわれています。

ただしその服装でゴルフができたのは夏でも涼しい英国だったからであって、ゴルフが米国に渡ると、暑さでとてもジャケットを着てゴルフをすることなどできなかったようです。

結果的にジャケットを脱いでプレーをすることを選択し、次にネクタイを外して、最終的にはポロシャツをゴルフウェアとしたようです。

そして今もポロ競技のシャツに襟が付いていたことから、ゴルフのウェアでも正しい服装とされていると言うことです。

ゴルフのウェア規定でジャケット着用は日本独自の決まり?

ゴルフが米国に渡ってから襟付きのゴルフウェアが定められたので、昔から襟付きシャツが服装のマナーだったわけではありません。

また暑くて脱いだくらいですから、ジャケットも服装のマナーには関係ありません。

しかも米国の暑さは我慢がならなかったようで、ズボンをジョキジョキと切ってしまい、半ズボンでゴルフが広まったことからニッカポッカが流行となり、現在ではトラディショナルファッションとして位置づけれています。

つまりジャケット着用が「紳士の服装」と考えたのは、日本人だけなのかもしれません。

そもそも紳士はジャケットなんて着ていなかったのです。

あるとき英国のゴルファーが日本のゴルフ場を利用して、受付でジャケットを着なければならないと言われて驚いたという逸話があります。

「紳士はジャケット?」とチンプンカンプンの日本流紳士像に苦笑したのは、当然のことなのかもしれません。

ただ受付時のジャケットの着用や襟付きのゴルフウェアは、すでに日本のゴルフ界に定着しているので、個人の想いで変えることはできそうもありません。

そういったことから、ゴルフ場の規定に従って服装を整えることがトラブル回避に繋がるでしょう。

日本のゴルフ界から襟付きウェアとジャケットが消える日

ゴルフ場でのジャケットを着た受付や襟付きのゴルフウェアは、近い将来なくなるかもしれません。

世界最高峰のスポーツ大会であるオリンピックが東京で開催され、その種目にゴルフも入っています。

そのため世界各地から国を代表して選手がやってきますので、日本独自の風習を受け入れるかは微妙なところです。

まして開催日は夏です。

しかも会場は猛暑で記録が出ている地域ですから、ジャケットを着て受付に臨むとは思えません。

そうなれば、事前にドレスコードを制定せずに選手のマナーに任せるはずです。

ただ受付でジャケットを着ると言うマナーは日本選手だけなので、おそらくこの規定はなくなるのではないでしょうか。

もしもオリンピックで着用義務がなくなれば、その後は日本のゴルフ場も見直しをしていくことになり、煩わしい慣習がひとつ消えることになるかもしれません。

また暑さの観点で考えると、「シャツイン」も消えるかもしれません。

すでに女子プロのトーナメントではシャツを外に出している人が多く、またショップでも丈の短いウェアが多くなっています。

真夏の東京近郊は気温40度前後のときもありますので、シャツインを強制するのは酷とも言えます。

ゴルフウェアとしてのジャケットに意味が変わってきている

ただオリンピック選手は、寒い国からばかりやってくるわけではありません。

世界ランクから選出することになると思いますが、中には移動の車が寒くてウェアの上にジャケットを着るかもしれません。

ここで気になるのが、その「ジャケット」です。

一般的な感覚では、スーツの上着をラフにしたタイプのテーラードジャケットだと認識していると思いますが、ファッションの観点ではブルゾンジャケットだと思うかもしれません。

「そんな馬鹿な…」と思うようであれば、ネットショッピングで「ゴルフ ジャケット」と入力すると、いわゆるジャンパーのようなライダースジャケットがたくさん出てくるのに気づきます。

年代にもよりますが、ゴルフでの「ジャケット着用」はテーラードジャケット、一般のジャケットはブルゾンと思っても良いかもしれません。

暑い国出身であっても気温40度でブルゾンを着ることはないとは思いますが、仮にドレスコードを出すのであれば、「テーラード」を入れたほうが良いかもしれません。

五輪ゴルフにおける自国ウェアとジャケット着用規定の優先度

実はこのジャケットの着用について、少し心配なことがあります。

もともと服装はマナーであって、規則で縛られるものではありません。

TPOを理解する人達が集うのが倶楽部であり、その倶楽部のメンバーが招待したゲストは自由なウェアで良いはずです。

そう考えるとオリンピックの参加者は、自国のユニフォームを着て入場しても問題ありませんが、オリンピックの公式ユニフォームは基本ジャージ系ですよね。

一応、ジャージとジーンズは禁止にしているので、オリンピアとは言え認めるかは注目されるところです。

そこで気になるのはJGTO(日本ゴルフツアー機構)がずいぶん前に定めた規則です。

入場時にジャケット着用を義務付けていて、1回目の違反は注意、2回目の違反は罰金10万円と定めています。

主催が違うので罰金は取らないでしょうが、日本選手だけがジャケットを着るのか、それとも世界標準にするのか、もしも着なければJGTOの選手のみ何らかのペナルティがあるのかも知りたいところです。

ゴルフのウェア規定やジャケット着用義務はいずれなくなる?

一般ゴルファーの場合は、ゴルフ場が定めた服装規定に合わせた服装は利用者としての義務です。

ゴルフ場が「受付でジャケット着用」「プレーは襟付きのウェア」と定めていれば、それに従うしかありません。

それを「時代錯誤だ!」と納得がいかないようなら、別のゴルフ場を探すしかありません。

その選択権がある以上は、規定を守るのがエチケットでありマナーでもあるといえます。

ただし夏の暑い日や冬の寒い日で、ジャケット姿が陳腐に見える時季であれば、ジャケットは腕にかけるか、バッグの中でも問題はないでしょう。

どうしてもジャケットをと言うゴルフ場があれば、それに見合ったエアコンを準備してもらって、ジャケット姿で快適に過ごせる環境を整えてもらうしかありません。

すでに「煩わしい」と思える服装規定も、オリンピック後には一新されているかもしれませんので、それまでの辛抱だと思って規定通りの服装を準備するしかなさそうです。

悪しき慣例であるゴルフウェアやジャケットをなくすのは誰?

ゴルフではジャケットと言えば受付で着る物と考えられていましたが、ゴルフ市場ではブルゾンのような服装のことを言います。

名称の変更だけではなく、時代の変化とともに無意味な受付のジャケット着用や、襟付きのシャツは消えていくのではないでしょうか。