アイアンは距離を刻む道具ですから、飛距離を伸ばす必要はありません。
しかしながらプロの試合でのクラブ選択を見ると、その飛距離はとても気になるものです。
どうしてプロゴルファーはあんなに飛ばせるのでしょうか。
今回はプロ並みの飛距離を出せるクラブと打ち方、また参考とするプロについてお話しします。
プロ並みに飛距離を飛ばせるストロングアイアンとは?
アイアンに飛距離は必要あるかという問いに対して、ゴルフ経験者は「必要ない」と答えることでしょう。
正確な距離と方向が求められるのがアイアンショットです。
実際のプレーでは、ターゲットをポイント(点)で定めるのがアイアンの攻め方ですが、少なくてもエリア(範囲)内にはとどめておきたいわけです。
一方で飛距離を狙い場合には、ゾーン(帯)を決めて方向を定めることで、より遠くに飛ばそうとするでしょう。
しかしながらグリーンまでのショットで飛距離を狙えば、オーバーしてしまう可能性があります。
基本は番手に合った飛距離をコンスタントに出せれば問題はありません。
ただプロの試合を見ると、明らかに一般ゴルファーよりアイアンの飛距離は飛んでいます。
そんなプロの飛距離に憧れを持つゴルファーが多いのも事実で、良く飛ぶアイアンが販売されているのです。
番手1つから2つ分上の飛距離が打てるストロングタイプは、ロフトの角度を大きく変えることで飛距離アップを可能にしています。
一般ゴルファーがこのストロングタイプのアイアンを使えば、プロ並みの飛距離が可能になります。
使い勝手が悪いとも言えるプロ並みの飛距離を出せるアイアン
飛距離を必要としないアイアンですが、プロ並みの飛距離が欲しいと思うゴルファーがいるのも事実です。
先ほど少し触れたストロングアイアンを使えば、一般ゴルファーでも飛距離アップは可能ですが、9番アイアンとピッチングウェッジの番手間の距離に歪ができてしまう可能性があります。
一般的なアイアンの番手間の距離は10ヤード刻みですが、これはロフト角が4度刻みになっていることが要因です。
ところがストロングタイプの多くは、番手間を5度刻みや5.5度刻みにしているため、距離にすると15ヤード刻みになっている場合があります。
仮にストロングタイプの5番アイアンのロフト角が、スタンダードタイプの3番アイアンと同じ21度のロフト角だとします。
そこから4度刻みにすると9番アイアンは37度になりますが、別売のピッチングウェッジは44度が一般的ですから、その差は7度もあることになります。
すると9番アイアンで距離調節が2番手分、140ヤードから110ヤードまでを1本のクラブで打ち分けなくてはならなくなります。
普通のアイアンでもプロ並みの飛距離は出せる!
プロの飛距離に憧れはしますが、アイアンの特性を考えると、全クラブが10ヤード刻みで打てるほうがメリットは高いはずです。
その上でプロ並みの飛距離を出せれば、一応の願いも達成することができます。
問題はどのようにして、アイアンの飛距離アップを図るかです。
常道はヘッドスピードを上げて、スイートスポットでインパクトをするテクニックを身につけることです。
いわゆるミート率を高めることで飛距離を伸ばすのですが、それには最低限のスイングスピードと、コックを使うスイング技術が必要です。
スイングスピードのアップは意外に簡単で、ひたすら素振りを続けることで叶う可能性が高いです。
そのためにはアイアンを左手だけで逆さまに持って、グリップ側を先にしてスイングをしてください。
慣れるまで風切り音が右側で鳴るかもしれませんが、これを左側で鳴るように振り回します。
すると体の右側でのダウンスイングがコンパクトになり、フォロースルーが大きくなり、左の壁を感じるようになるはずです。
そのスイングが体に染み付いたら、通常通りグリップ側を両手で握って、同じようにスイングをしてください。
1週間も続けると、スイングスピードは格段に速くなっているはずです。
プロ並みの飛距離が出せるコックを使うアイアンショット
アイアンの飛距離をプロ並みにするには、先ほど紹介した素振りによってスイングスピードを速くするだけでなく、その上でヘッドスピードを加速するためにコックを活用するスイングをします。
飛距離の7割はコックによると唱える人もいるくらい効果はありますが、タイミングを習得するのには練習が必要です。
まず簡単にコックを確認しましょう。
左手を地面と平行になるように突き出して、親指を立てると左手首は直角になりませんか。
これがコックで、トップの位置での正しい左手首の角度です。
アドレスからトップまでにコックは作られていき、ダウンスイングで元の角度に戻すことをリリースと言います。
普通にスイングをしていると、自然にコックができてリリースをしているものです。
しかしコックを使うスイングはリリースのタイミングをインパクトの直前で行うことが求められます。
これができると釘を打つときのハンマーと同じように、腕を振らずに手首を縦に動かしただけで釘を打ち込めるのと同じ効果を得られます。
右腿の手前でリリースすると、ジャストタイミングで釘打ちの動作ができて、ヘッドスピードは加速します。
アイアンでプロ並みの飛距離を出すためにはミート率を高める
速いスイングにリリースによる加速で、ヘッドスピードは見違えるほど速くなっています。
あとはフェースの芯であるスイートスポットでボールをとらえることができれば、プロ並みの飛距離が手に入る可能性が見えてきます。
スイートスポットで打つ練習は、ティーアップしたボールを打つようにしてください。
芯に当たれば抵抗なく、スッと抜けていくようにヘッドを振り切ることができるようになります。
そこでスイートスポットの打感が確認できたところで、人工芝の上でも同じショットができるように練習を繰り返すのみです。
ここまで来ると今までとは格段に違う飛距離にはなっているはずですが、まだプロ並みの飛距離には到達していません。
さらに仕上げとして飛距離を伸ばすためには、ボールを右側に置いてパンチショット気味にダウンスイングをすることが必要です。
参考とするプロがいます。
米国の女子プロで、日本ツアーでも人気の選手レキシートンプソンです。
彼女はスラリとした長身で、パンチショット気味のコンパクトなアイアンショットをします。
アイアンの飛距離を伸ばすためにプロのスイングを参考に!
レキシートンプソンは女子プロとは言え9番アイアンの飛距離が150ヤード、まさに男子プロ並みの飛距離を持っています。
ボールを右足側に置いてダウンブローで打ち込むため、フェースのロフト角は通常よりも立たせてインパクトします。
ボールをとらえるときにフェースを立たせることで、番手を上げた状態になり飛距離をアップさせています。
スイートスポットでボールをとらえるためボールに打ち込むことに注力し、基本的にフォロースルーは意識していないようです。
アイアンショットには必要ないと考えられる体重移動ですが、目一杯使って左足の上に体重を乗せてフィニッシュを迎えます。
彼女の身長は180センチですから、日本人の男性の平均身長よりも10センチ高いですが、外見的な筋肉は一般男性のほうがありそうには見えます。
つまり特別な筋力はなくても、コックを使ってフェースを立ててインパクトをすれば、飛距離は伸びるということになります。
ただこの男性並みの飛距離が活かされるのかは、もう少し経たないと結果は出てこないかもしれません。
昔から「飛べば良いものではない!」という言葉もありますので、正確な距離と方向を打ち分けた上での飛距離アップが条件になるのではないでしょうか。
打ち方を変えればプロ並みの飛距離は出る
アイアンショットがプロ並みの飛距離になることに憧れを持つゴルファーは多いようです。
ストロングタイプのアイアンを使えば簡単に飛距離は伸びますが、番手間の距離合わせが難しくなるので、スコアアップが本当の目的ならおすすめはできません。
飛距離アップが必要な場面では、ボールの右に置いてダウンブローに打ち込むスイングをしましょう。
それだけで今までより飛距離を伸ばすことはできるはずです。