ドライバーは短く持つと飛距離がダウンするというのが定説ですが、実際には短く持っても飛距離は落ちないばかりか、かえって伸びることもあるようです。
今回はドライバー特有のスイング軌道とヘッドコントロールの習得方法、そして確実なインパクトが飛距離に直結することを説明します。
飛距離を犠牲にしたくないからこそドライバーを短く持つ
ドライバーを短く持つことで、飛距離は落ちても曲がらないと考えられています。
池やOBが気になるホールロケーションでは、トラブルを回避するための戦略が大切です。
安全策はアイアンやユーティリティを使って、フェアウェイのセンターを狙うことですが、少しでも飛距離を伸ばしたいとの思いがあれば、ドライバーを短く持つという方法があります。
指の太さ2本分ほどグリップを短く持つと、ヘッドコントロールがしやすくなって、狙った箇所にボールを運ぶことができるでしょう。
これはシャフトのしなりが小さくなることで、ヘッドの遅れがなくなり、グリップの動きとヘッドの動きが一体化することによるものです。
ドライバーは長いシャフトがしなり、インパクトの前にシャフト戻りとなってグリップの動きよりもヘッドの動きが先行します。
このしなり戻りによってヘッドスピードが加速されて飛距離は伸びるのですが、一方でタイミングが合わないとフックやスライスの原因となってしまいます。
そこでドライバーを短く持つことで、そうした余計なシャフトのしなりを減らすのです。
ドライバーを短く持つことでは飛距離ダウンにはならない!
ドライバーを短く持つことでシャフトのしなりが抑制できて、曲がらないティーショットを打てるようになります。
一方で、シャフトのしなりがなくなったことで、ヘッドスピードが落ちるのため飛距離ダウンは否めません。
軸を中心に円の軌道を描くスイングをすると、長いドライバーのほうがヘッドスピードは当然速くなります。
短く持って飛距離が落ちるのは、このヘッドスピードが減ってしまうからです。
ただし、飛距離を構成する要素はヘッドスピードだけではないため、他の要素を満たせば短く持っても飛距離が落ちないこともありえます。
ドライバーの飛距離は、ボール初速と打ち出し角、スピン量の3つの要素から成り立ちます。
ヘッドスピードの速さは、3つの要素の中の初速に関係するわけですが、速さとともに確実なミートも初速の条件に入ります。
確実なミートとは、ドライバーヘッドでもっとも反発力の強いスイートスポットでインパクトをすることです。
スイートスポットでボールをとらえることに関しては、ドライバーを短く持つほうが有利になることが多いようです。
ドライバーを短く持つのは飛距離にとって本当にマイナスなの?
ドライバーを短く持つとヘッドスピードが落ちて、飛距離にとってマイナスになると考えるのが一般的ですが、スイートスポットでボールをとらえる確率が高くなると飛距離が落ちない場合もあります。
仮に親指の太さ2本分グリップを短く持つと、指1本分が約1インチなのでドライバーはおよそ2インチ短くなったことになります。
ヘッドスピードにもよりますが、1インチの違いは5ヤードに匹敵する言われていますから、このケースでは10ヤードマイナスの計算です。
ランを含まないキャリーの場合、9番アイアンの飛距離の2倍が、そのプレーヤーの飛距離として換算できます。
9番アイアンが110ヤードであれば、ドライバーのキャリーは220ヤードで、ランを含めると240ヤードの地点にボールがあると想定されます。
9番アイアンの110ヤードは驚くほどの距離ではないでしょうが、ドライバーの240ヤードはそう簡単に出せるものではありません。
1ラウンドに数回は240ヤードをマークできたとしても、コンスタントに240ヤードを飛ばすことは難しいはずです。
短く持つと確実にミートできて飛距離は落ちない
ドライバーを短く持つことでヘッドスピードは遅くなりますが、その分だけスイートスポットでインパクトできる確率は高くなります。
9番アイアンの2倍がドライバーの想定する飛距離だと説明しましたが、コンスタントにその数値をマークすることができるプレーヤーは少ないはずです。
この飛距離ダウンの原因は、スイートスポットでボールをとらえていないからです。
現在のドライバーの大半はチタン製のヘッドになっています。
フルチタンもあれば、カーボンコンポジットのものまで登場しています。
フェースに関してはほぼチタンが採用されていますが、丈夫な金属のため、極薄い肉厚で作ることが可能で、ボールが当たるとフェースは大きくたわみます。
トランポリンの上を弾むように、インパクトしたときにボールが弾むスプリング効果を最大限得られたら、グリップを短く持ったマイナス10ヤードをカバーしてくれるほどです。
この反発力に目をつけて開発されたドライバーは、高反発クラブとして規制対象となりましたが、現在のルール適合の低反発ドライバーでも十分にその効果を得ることはできます。
さらにドライバーを短く持つことで打ち出し角の高低差、左右ブレ共に少なくなり、理想とする14度の角度でターゲットに向かってインパクトができる可能性が高くなります。
打ち出し角が安定して飛距離が伸びるのが短く持つ最大のメリット
ドライバーの飛距離は、ヘッドスピードの速さとスイートスポットのインパクトによる初速でボールが飛び出すときの勢いが決まります。
この打ち出したボールが綺麗な放物線を描くことで、最長距離を出すことができるわけです。
ヘッドスピードの速さやドライバーの性能にもよりますが、14度の角度で打ち出すと綺麗な放物線を描くことができると言われています。
ドライバーのロフト角は11度前後ですから、3度ほどアッパーブローで打ち上げなくてはいけません。
ティーアップしたボールの手前にスイングの最下点を設けて、振り下ろしたヘッドが再び浮かび上がるときにボールをとらえるのがアッパーブローのスイングです。
コツをつかめば最下点を過ぎてもヘッドスピードを落とすことなく振り切ることはできますが、ミートする確率はさらに難しくなってきます。
しかしながらドライバーを短く持つと、スイングの最下点は通常よりも高い位置にあるはずです。
ドライバーの長さが変わったとしても、グリップを構える位置が同じであれば、短くなった分だけヘッド軌道は高い位置になります。
ドライバーを短く持ちヘッド軌道が変わるとどうなる?
ドライバーを短く持つと、短くした分だけスイングの最下点は高くなります。
一般的なティーアップの高さは4センチで、そのティーから10センチ後方にドライバーのヘッドをセットしてアドレスの姿勢をとります。
指の太さ2本分は約2インチと前項で説明しましたが、つまりグリップエンドから約5センチ短く持つことになります。
この状態でスイングをすると、通常よりも5センチ高いスイングの最下点からヘッドが浮かび上がる計算となり、ボールに届かず空振りするか、フェース下部でかするようなインパクトになりトップすることになってしまいます。
そこでボールの位置を5センチ内側(中央寄り)に移動してみましょう。
この状態でインパクトをしようとすると、スイートスポットでボールをとらえることはできます。
ただし、このままでは打ち出し角が14度にはならないので、短く持つときのドライバーは12度以上ののハイロフトを選んでください。
これでシャフトのしなりを気にせず、正しいインパクトができて、しかも飛距離は短く握る前以上に飛ぶ可能性が高くなっているはずです。
ドライバーを短く持つと飛距離がアップする理由
ドライバーを短く持つと飛距離ダウンになると思い込んでいるゴルファーは多いですが、いまどきのドライバーヘッドの進化は目覚ましく、正しいインパクトをしたほうがメリットが大きいと言われています。
つまりドライバーを短く持ってでも確実なミートを優先すれば、自然と飛距離はアップするはずです。