ドライバーの飛距離が男性で平均飛距離200ヤードに届かない人は意外に多くいると言われます。
なぜ飛距離が伸びないのか、そのひとつの原因にコックが上手く使えていないことが挙げられます。
今回は、コックとドライバーの飛距離アップの関係性を紹介します。
コックとは?上手い人は必ず使っている
はじめに、『コック』とは何か簡単に説明していきます。
コックとは、扉の蝶番を意味しており、海外では『ヒンジコック』と呼ばれることが多いです。
簡単に説明すると手首が折れる動きのことを言います。
プロゴルファーのドライバーのスイングを見ると分かりやすいでしょう。
トップの位置で右手首が甲側に曲がっているのが分かるはずです。
それがコックです。
コックを入れるタイミングは人それぞれ違いますが、一般的にはトップの位置ではコックが入った状態になります。
またコックを入れる量(手首の曲がり具合)も人によって違います。
どのようなスイングに基づいているか、骨格、左手/右手をどのようなバランスで使っているかでも変わってくるのです。
初心者にありがちな質問で、『意識してコックを入れるか』という問いに、多くの先輩ゴルファーは無意識と答えるのではないでしょうか。
これは入れないということではなく、基本的には自然に入っているということを表します。
仮にまったくコックを入れない場合、飛距離は伸びません。
コックを使うと飛距離が伸びる理由
それではコックを使わないと飛距離が出ない理由、逆の言い方をすれば、コックを使うと飛距離が伸びる理由をお伝えします。
コックが入る場合と入れない場合の違いは、ドライバーのヘッドの運動量の違いとなって表れます。
運動量が多いほうが単純にヘッドスピードが上がりやすく、飛距離に繋がるというわけです。
プロゴルファーのドライバーはトップの位置でどのような角度になっていますか?
ほぼ地面と平行に近いところまでクラブが横になっていることでしょう。
そこからスイング軌道を描いてインパクトを迎えるわけで、ヘッドの運動量が多いことが分かります。
アマチュアの場合、ヘッドの運動量を体の捻転で補おうとする傾向が強く、無理に体を回転させて、オーバースイングやクロス、下半身がぶれてしまってなかなかミートしないなどのエラーに繋がっています。
対してプロゴルファーのスイングを正面から見てみると、意外に腰の捻じれは少なく、クラブが地面と平行になるほどではありません。
アドレスの形を維持したままバックスイングを上げるとヘッドの可動域は短くなります。
これは手首を固定してしまうためで、クラブがトップの位置で立っている人はコックを上手く使えていない可能性があります。
手首を柔らかくすることで、ヘッドの重さを利用して自然にコックが入り可動域が広がり、飛距離アップに繋がるのです。
意外に知らない正しいコックの使い方
コックを使うことで、ドライバーの飛距離が伸びる可能性があるのは間違いありません
そのコックで大切なことは、方向です。
①ヘッドの重みでコックが入る方向
まずコックの基本となるヘッドの重みでコックが入る方向について話をします。
基本的には、右手首が背屈(甲側に折れ曲がること)方向に入ることになります。
これは正しい、バックスイングの軌道に乗れば自然に入ります。
コックの正しいイメージは、右手一本でバックスイングを上げると分かりやすいです。
人差し指の腹の付け根に重さを感じて右手の中指と薬指で支えられれば大丈夫です。
②意図的に入れるコックの方向
コックは自然に入ると伝えましたが、初めのうちはどうしても意図的に入れてしまうことがあります。
そのときに右手首を意識しても、上手くコックは入りません。
自然にコックが入ると、左手首もその動きにつられて動きます。
左手は甲が腕と真っ直ぐになるか、掌屈(手のひら側に折れる)する形になります。
決して背屈する動きはしてはいけません。
難しい場合は、手の甲を真っ直ぐ維持し、左手の親指方向に軽く曲げるようにするとやりやすいです。
間違った方向に使うと、フェースが開いたり、トップでクロスしたりする原因になるため注意しましょう。
ドライバーの飛距離が伸びない理由
具体的にドライバーの飛距離が伸びない理由を挙げます。
原因は人それぞれですが、良くあるケースを紹介します。
●ヘッドスピードが遅い
上手くヘッドを走らせることができず、ドライバーになるとヘッドスピードが遅くなるゴルファーです。
シャフトが長くなるため、腕の力だけではヘッドを走らせることができません。
一方、体を無理に回転させようとしても軸がぶれるため安定してスイングできません。
ここで重要なのが、少ない体の回転量でヘッドの運動量を増やすことです。
それが先ほど説明したコックが上手く使えると、問題が解消してきます。
●ミート率が悪い
プロゴルファーに比べてミート率が悪いことも原因のひとつです。
ミート率を上げる場合、ヘッドスピードを上げようとするよりも再現性を高めることが重要になります。
ヘッドスピードばかり気にせず軸を安定させることを優先しましょう。
その際、ヘッドの運動量が落ちるように感じますが、正面から動画を撮り、ヘッドがどこまで動いているかチェックしてください。
ヘッドが高い位置(ドライバーが地面に対して垂直に近い)のときは、コックを意識して手首を上手く使いましょう。
そうすることで、ヘッドスピードを落とさず、コンパクトなスイングが実現できます。
シャロ―スイングにするとドライバーの飛距離が伸びる?
最近は、シャロ―なスイングが話題になっています。
プロゴルファーはほとんどの人が取り入れているからです。
そのため、シャロ―スイングを身につければ飛距離が伸びると考えている人が多くいるようです。
それではなぜシャロ―スイングを取り入れると飛距離を伸ばすことができるのでしょうか。
まずシャロ―(浅い)にクラブヘッドを入れてくることにより、緩やかなアッパーブローでインパクトすることができます。
鋭角にクラブが入ってくると、どうしてもバックスピン量が多くなるため飛距離が伸びにくいとされています。
次にドライバーは、回転軸が傾きやすく曲がりやすい特性を持っています。
そのためシャロ―スイングでコックの形を維持し、インパクトゾーンを長くとるようにできれば、回転軸の傾きを軽減でき、かつボールを押すことができ、捕まった真っ直ぐなボール(適度な曲がり幅のボール)を打つことができるからです。
このように、シャロ―スイングを活用することで回転量や曲がりをコントロールして、飛距離アップに繋げているわけです。
ドライバーでシャロ―スイングにするには
実際にドライバーでシャロ―スイングをするにはどのようにしたら良いのでしょうか。
シャロ―スイングの特徴は、クラブヘッドが後方から見て反時計回りに動くようにすることでシャロ―にクラブを入れてくることができます。
一般的には、トップの位置から『クラブを寝かす』と言われますが、これを意図的にしようとすると右手に力が入り、逆にクラブが立ってしまうこともあります。
大切なことは、ヘッドの反時計回りの軌道をイメージすること、そして自分でクラブを寝かさないことです。
クラブを寝かすというよりは、下半身の先行によってグリップが前に出て、ヘッドが自然に落下し、最終的にクラブが寝る状態になるのが良いでしょう。
しかし下半身先行は、アマチュアにとっては非常に難しい動きのひとつです。
そこでトップの位置でコックの形を維持したまま、右ひじを左腕に向かって押し込むイメージでスイングしてください。
右ひじを押し込むことにより、自然にクラブが倒れ、シャロ―にヘッドが下りてきます。
はじめのうちはゆっくり行い、飛距離は気にしないようにしてください。
慣れてきたら、下半身先行だけ意識して練習するようにしましょう。
そうすることで、自然とクラブが寝る体の使い方が身につくでしょう。
コックを上手く使えばスイングが楽になる
ドライバーで飛距離を出すためには、長いという特性だけでなく、自分の体を効率的に使うことが大切です。
コックを理解することで、ヘッドの運動量の増加、体の動きをコンパクトにできるなど色々なメリットがあります。
必要となるコックの量、タイミングは人それぞれですが、知識として持っているだけでイメージの改善にも繋がるはずです。
コックについてもっと関心を持っていきましょう。